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第四十三話
古潟へ到着したのは、夕方だった。
駅を出ると、街のあちこちに龍討祭の旗が立っている。
普段より明らかに人が多い。
「思ったより賑わってんな」
蓮が周囲を見回す。
「毎年やってる大会だからな」
孝太郎が答える。
「今年は特に人が多い気がするけどな」
神崎が言うと、堂本も周囲を見ながら頷いた。
「それだけ注目されてるってことだろ」
五人はそのまま用意されたホテルへ向かった。
受付を済ませ、それぞれ部屋へ荷物を置く。
長旅だったこともあり、今日は特に予定を入れていない。
夕食もホテルで済ませることになった。
「明日の組み合わせって、まだ分からないんだよな?」
食事をしながら、蓮が神崎に尋ねる。
「ああ。明日の開会式で発表される」
「じゃあ、誰が候補になるかもまだ決まってないのか」
「五人で話して決める」
堂本はそう言って、箸を進める。
「相手が分からない以上、今決めても意味はない」
「確かにな」
蓮が頷く。
孝太郎は黙って食事を続けていた。
明日からは、これまでとは違う戦いになる。
相手も、龍牙連合の選手を倒すためにここへ来ている。
「まあ、明日になれば分かるか」
蓮がそう言って、話を切り上げる。
「今日は寝ようぜ」
「そうだな」
五人は食事を終えると、それぞれの部屋へ戻った。
翌日に備え、早めに眠りにつく。
そして――翌朝。
龍討祭の会場。
昨日とは比べものにならないほど、多くの人が集まっていた。
観客席はほとんど埋まり、会場中央には広い試合場が設けられている。
「すげぇな……」
蓮が思わず呟く。
孝太郎も試合場を見つめる。
「ここで戦うのか」
「よお」
「え?」
孝太郎は聞き慣れた声に思わず驚いた。
「俺もここに呼ばれてな」
「積田さん!」
「お前らの修行の成果を近くで見れるのを楽しみにしてるぜ」
「期待に応えれるよう頑張ります!」
「ならルール説明をするから所定の位置についてくれ」
龍牙連合の選手五人は、指定された場所へ並ぶ。
その向かい側には、不動会の選手たちが並んでいた。
やがて、試合場の中央へ四人の審判が姿を現す。
龍牙連合から二人。
不動会から二人。
その中央に立つのは積田だった。
会場全体が静まり返る。
そして、開会を告げる声が響いた。
「これより――龍討祭を開催する!」
会場が大きな歓声に包まれる。
積田が一歩前へ出た。
「まず、今回の龍討祭についてルールを説明する」
歓声が徐々に収まっていく。
「龍牙連合、不動会。両陣営とも五名を登録している」
積田は両陣営を見渡す。
「だが、一度の試合に出場できるのは四名までだ」
蓮が耳を傾ける。
「残る一名は候補選手となる」
積田は続けた。
「候補選手は、試合と試合の間に一度だけ、出場している選手と入れ替わることができる」
会場の選手たちが真剣に聞いている。
「ただし、一度交代した選手を再び戻すことはできない」
蓮が小さく頷く。
「つまり、交代したらその選手はもう出られないってことですか?」
「そうだ」
積田は短く答えた。
積田は続ける。
「試合は個人戦によるトーナメント方式で行う」
会場の空気が引き締まる。
「勝敗は、相手を戦闘不能にするか、相手が降参した時点で決する」
さらに積田が続ける。
「ただし、選手の安全を考慮し、審判が危険と判断した場合は試合を止めることがある」
そして、四人の審判へ視線を向けた。
「審判は龍牙連合から二名。不動会から二名。計四名だ」
最後に積田が自分を指す。
「俺が主審を務める」
蓮と孝太郎は積田を見る。
昨日まで自分たちを鍛えていた男が、今日は試合を裁く側に立っている。
積田は会場全体を見渡した。
「以上が、龍討祭の基本ルールだ」
会場が静まり返る。
いよいよ、ここからだった。




