試合?
第四十一話
一方その頃――
孝太郎は病院を訪れていた。
「親父、調子どうだ?」
ベッドにいる祀へ声をかける。
「孝太郎か。今日はどうした?」
「ちょっと顔見に来ただけだ」
祀の様子に大きな変化はない。
医師からも、今のところ問題なく治療は進んでいると聞いている。
「そうか。なら、ゆっくりしていけ」
「おう」
孝太郎はしばらく祀と話した。
黒崎との戦いのことは、あえて詳しく話さなかった。
今は何事もなく治療が進んでいる。
それだけで十分だった。
すると――
「積田さん」
蓮が声をかけた。
その隣では、積田の携帯が鳴っている。
「……会長からだ」
積田が電話に出る。
「はい。……はい」
短いやり取りのあと、積田は電話を切った。
「二人とも、今から会長室へ行くぞ」
「またですか?」
蓮が苦笑する。
「なんだろうか」
孝太郎が尋ねる。
「それは行けば分かる」
二人は顔を見合わせた。
そして再び、龍牙連合本家へ向かうことになった。
⸻
会長室。
「失礼します」
扉を開ける。
そこには会長、九条蒼真がいた。
「来たか」
「何の用ですか?」
蓮が聞く。
蒼真は二人を見て、口を開いた。
「重要な事だ」
二人の表情が変わる。
「今回、お前たちには試合に出てもらう」
「試合?」
蓮が首を傾げる。
「国が主催する大会だ」
蒼真が続ける。
「目的の一つは、今回の黒崎の襲撃で減った龍魄を補充すること」
孝太郎が黙って聞く。
蒼真は孝太郎を見る。
「今回の修行は、その大会に向けてのものでもあった」
「……なるほど」
蓮が腕を組む。
「どんな大会なんです?」
「実技のみだ。筆記試験はない」
蒼真は頷いた。
「この大会は、実際の龍討伐を想定した訓練だと思えばいい」
「龍討伐……」
孝太郎が呟く。
「出場条件もある」
蒼真が続ける。
「龍術を使い始めて日の浅い者。あるいは、龍術を使えない者」
孝太郎を見る。
「そして、龍牙連合か不動会に所属していること」
「その条件を満たした者だけ?」
「そうだ」
蒼真は頷く。
「条件を満たした者によるトーナメント戦になる」
「優勝したら?」
蓮が聞く。
「賞品は龍魄。そして賞金だ」
「……賞金まであるのか」
孝太郎が反応する。
蒼真はそれを見て、少しだけ笑った。
「孝太郎」
「はい」
「お前は必ず出場してくれ」
「分かりました」
孝太郎が即答する。
蒼真が蓮を見る。
「お前は出ても、出なくても構わない」
「いや」
蓮は首を横に振った。
「今回の件は、俺にも非がありますから」
少しだけ間を置いて続ける。
「それに……孝太郎と一緒に出た方が面白そうだ」
孝太郎が笑う。
「お前、怪我はもういいのか?」
「もう大丈夫だって」
蒼真は二人を見てから話を続けた。
「この大会は毎年行われている」
「へえ」
「だが――」
蒼真の表情が少し変わる。
「龍牙連合は、まだ一度も優勝したことがない」
蓮と孝太郎が顔を見合わせる。
「だから、今年はうちとしても勝ちたいというわけだ」
「なるほど」
蓮が笑う。
蒼真が最後に告げる。
「開催地は古潟」
「古潟……」
「龍牙連合の代表として、しっかり戦ってこい」
そして――
「それと、こちらからは後、三名出場させる」
蒼真が二人を見る。
「大会までに、その三人とも挨拶しておけ」
「三人?」
蓮が聞き返す。
蒼真は頷いた。
「ああ。読んであるからすぐにくると思う」
二人の視線が交わる。
次の戦いは――
龍牙連合代表五人による、武道会。




