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無盃の将  作者: G
1

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37/82

長引く戦い 続き

孝太郎は最後のケースへ手を伸ばした。


「……これで最後だ」


ケースを掴む。


その瞬間――


足元に、黒い影が伸びた。


「……!」


孝太郎が飛び退く。


ザンッ!!


影の刃が床を切り裂いた。


「まだ終わってねぇぞ」


黒崎の声が響く。


「最後の一個は置いていけ」


孝太郎はケースを抱え直す。


「断る」


「だったら――」


影が一気に広がる。


「力ずくで奪うまでだ」


影の刃が次々と飛んでくる。


孝太郎はケースを抱えたまま走った。


右。


左。


頭を下げる。


「くそっ……!」


逃げるだけでは埒が明かない。


その時――


「孝太郎!」


蓮が駆け込んできた。


「蓮!」


「大丈夫か?」


「大丈夫だ。」


蓮が孝太郎の前へ出る。


黒崎が笑った。


「二人まとめてか?」


「そうなるな」


蓮が拳を構える。


孝太郎もケースを抱えたまま構えた。


「俺は龍術使えねぇぞ」


「知ってる」


蓮が笑う。


「だから俺が前に出る」


「……なるほどな」


黒崎が龍印を結ぶ。


「影方印・影牢!」


二人の足元から影が広がる。


蓮が踏み込む。


「龍包囲!」


バキッ!


伸びてきた影を拳で叩き壊す。


その瞬間、孝太郎が横から飛び込んだ。


「おらぁ!」


ドッ!!


黒崎の脇腹へ蹴りが入る。


「ぐっ……!」


黒崎がよろめく。


「今だ!」


蓮が一気に距離を詰める。


「龍包囲・攻」


拳が黒崎の胸へ叩き込まれた。


ドゴォン!!


黒崎の身体が吹き飛ぶ。


「がはっ……!」


壁に背中を打ちつける。


黒崎はすぐに立ち上がろうとする。


だが――


「逃がさねぇぞ」


孝太郎が目の前に立っていた。


「……お前」


「全部返してもらうぜ」


黒崎の表情が歪む。


「ふざけるな……!」


龍印を結ぶ。


「影方印・影牙!!」


無数の影が孝太郎へ襲いかかる。


「孝太郎、下がれ!」


「いや!」


孝太郎はケースを抱えたまま踏み込む。


「蓮!」


「任せろ!」


蓮が真正面から影へ突っ込んだ。


「龍包囲!!」


拳が影を次々と打ち砕く。


その隙間を――


孝太郎が走る。


「なっ……!」


黒崎の目が見開かれる。


孝太郎の拳が迫った。


「これで――」


ドンッ!!


「終わりだ!」


黒崎の身体が大きく吹き飛んだ。


二人の連携に押され、黒崎は初めて大きく後退した。


「……チッ」


黒崎が立ち上がる。


だが、その顔から余裕は消えていた。


目の前には蓮。


その後ろには、最後の龍魄を抱えた孝太郎。


「二対一……か」


黒崎が呟く。


蓮が拳を握る。


「そういうことだ」


孝太郎もケースを抱え直す。


「ここからは、俺たち二人で相手してやるよ」


黒崎は二人を睨みつけた。


初めて――


追い込まれていた。

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