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無盃の将  作者: G
1

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35/81

バトル開始! 続き


孝太郎は倉庫の奥へ駆け込んだ。


背後から、激しい衝突音が響いている。


「――孝太郎」


丸野の声。


振り返る余裕はない。


「分かってます!」


孝太郎は並べられた容器の間を走り抜ける。


目的は一つ。


龍魄の確保。


これを持ち帰らなければ、今回の任務は終わらない。


一方、倉庫の中央では――。


「俺の剛が、お前の吸をぶっ壊せるか試してみようぜ」


増井が地面を蹴った。


「剛方印――剛拳!」


拳が振り抜かれる。


「――吸方印・喰流!」


丸野が手をかざした瞬間、増井の拳にまとわりついていた魄が引き寄せられた。


「なに……!」


拳の勢いが僅かに落ちる。


その隙に丸野が身体を捻った。


「吸方印・返魄!」


増井の拳から奪った魄が、そのまま丸野の腕へ流れ込む。


「そのまま返すわ」


ドンッ!!


丸野の掌底が増井の胸へ叩き込まれた。


「ぐっ……!」


増井の身体が後ろへ飛ぶ。


だが、空中で身体を捻り、そのまま着地する。


「……面白ぇ」


口元を拭う。


「俺の力を使って殴り返すってわけか」


「あぁ」


丸野が構える。


ち、相手の魄は量が多い。全部を吸い切る無理か。


「だったら――」


増井が両手を組む。


「一気に叩き込めばいい!」


「剛方印・轟砕!!」


ドンッ!!


今度は先ほどとは比べ物にならない。


増井の拳から放たれた衝撃が地面を砕き、一直線に丸野へ迫る。


「――吸方印・呑界!」


丸野の前に魄が渦を巻く。


轟音。


衝撃と魄が正面からぶつかり合う。


「ぐ……っ!」


丸野の足が地面を削る。


「まだだ!」


丸野が手を握り込む。


増井の放った魄が、渦の中へ吸い込まれていく。


「返魄――!」


「させるか!」


増井が一気に踏み込む。


「剛方印・破砕!!」


ドゴォン!!


拳が渦ごとぶち抜いた。


丸野の身体が吹き飛ぶ。


「丸野さん!」


孝太郎が叫ぶ。


「振り返るな!」


丸野は空中で体勢を立て直し、地面に着地する。


「……大丈夫だ」


ゆっくり立ち上がる。


「だがな」


丸野が増井を見る。


「お前の魄……少しだけ貰った」


増井の眉が動く。


「……何?」


丸野の手の中で、奪い取った魄が渦を巻いていた。


「次は、これを」


一方――。


少し離れた場所では、蓮と黒崎も激しくぶつかっていた。


「影方印・影渡り!」


黒崎の姿が消える。


「またそれか!」


蓮が振り向く。


背後。


「遅ぇ!」


黒崎の拳。


蓮は身体を沈めてかわす。


そのまま踏み込み――


「龍包囲!」


ドッ!!


拳が黒崎の腹へ入った。


「ぐっ……!」


黒崎が吹き飛ぶ。


だが、地面に落ちた黒崎の影が不自然に揺れた。


「……まだ終わってねぇよ」


黒崎が笑う。


「影方印・影縛!」


伸びた影が蓮の足へ絡みつく。


「っ!」


蓮の動きが止まる。


黒崎が一気に距離を詰める。


「これで終わりだ!」


その拳が蓮へ迫った――。

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