バトル開始! 続き
孝太郎は倉庫の奥へ駆け込んだ。
背後から、激しい衝突音が響いている。
「――孝太郎」
丸野の声。
振り返る余裕はない。
「分かってます!」
孝太郎は並べられた容器の間を走り抜ける。
目的は一つ。
龍魄の確保。
これを持ち帰らなければ、今回の任務は終わらない。
一方、倉庫の中央では――。
「俺の剛が、お前の吸をぶっ壊せるか試してみようぜ」
増井が地面を蹴った。
「剛方印――剛拳!」
拳が振り抜かれる。
「――吸方印・喰流!」
丸野が手をかざした瞬間、増井の拳にまとわりついていた魄が引き寄せられた。
「なに……!」
拳の勢いが僅かに落ちる。
その隙に丸野が身体を捻った。
「吸方印・返魄!」
増井の拳から奪った魄が、そのまま丸野の腕へ流れ込む。
「そのまま返すわ」
ドンッ!!
丸野の掌底が増井の胸へ叩き込まれた。
「ぐっ……!」
増井の身体が後ろへ飛ぶ。
だが、空中で身体を捻り、そのまま着地する。
「……面白ぇ」
口元を拭う。
「俺の力を使って殴り返すってわけか」
「あぁ」
丸野が構える。
ち、相手の魄は量が多い。全部を吸い切る無理か。
「だったら――」
増井が両手を組む。
「一気に叩き込めばいい!」
「剛方印・轟砕!!」
ドンッ!!
今度は先ほどとは比べ物にならない。
増井の拳から放たれた衝撃が地面を砕き、一直線に丸野へ迫る。
「――吸方印・呑界!」
丸野の前に魄が渦を巻く。
轟音。
衝撃と魄が正面からぶつかり合う。
「ぐ……っ!」
丸野の足が地面を削る。
「まだだ!」
丸野が手を握り込む。
増井の放った魄が、渦の中へ吸い込まれていく。
「返魄――!」
「させるか!」
増井が一気に踏み込む。
「剛方印・破砕!!」
ドゴォン!!
拳が渦ごとぶち抜いた。
丸野の身体が吹き飛ぶ。
「丸野さん!」
孝太郎が叫ぶ。
「振り返るな!」
丸野は空中で体勢を立て直し、地面に着地する。
「……大丈夫だ」
ゆっくり立ち上がる。
「だがな」
丸野が増井を見る。
「お前の魄……少しだけ貰った」
増井の眉が動く。
「……何?」
丸野の手の中で、奪い取った魄が渦を巻いていた。
「次は、これを」
一方――。
少し離れた場所では、蓮と黒崎も激しくぶつかっていた。
「影方印・影渡り!」
黒崎の姿が消える。
「またそれか!」
蓮が振り向く。
背後。
「遅ぇ!」
黒崎の拳。
蓮は身体を沈めてかわす。
そのまま踏み込み――
「龍包囲!」
ドッ!!
拳が黒崎の腹へ入った。
「ぐっ……!」
黒崎が吹き飛ぶ。
だが、地面に落ちた黒崎の影が不自然に揺れた。
「……まだ終わってねぇよ」
黒崎が笑う。
「影方印・影縛!」
伸びた影が蓮の足へ絡みつく。
「っ!」
蓮の動きが止まる。
黒崎が一気に距離を詰める。
「これで終わりだ!」
その拳が蓮へ迫った――。




