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無盃の将  作者: G
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バトル開始!

第二十三話


二人が倉庫の奥から、ゆっくりとこちらへ歩いてくる。


先頭にいるのは黒崎。


その後ろから、身体の大きな男が姿を現した。


男は三人の前まで来ると、足を止める。


「どうも。鳴神所で若頭をやらせてもらってます。増井です」


増井は軽く頭を下げた。


丸野も静かに応じる。


「龍牙連合、東雲組組長の丸野圭吾です」


「……東雲組?」


増井の視線が丸野へ向く。


そして、その隣に立つ蓮を見る。


「それで、あっちは?」


「神代蓮です」


黒崎が答えた。


その瞬間――


増井の顔から笑みが消えた。


「……黒崎」


「はい」


「お前、どういうことだ?」


「……」


「俺は荒木孝太郎が来るとしか聞いてねぇぞ」


「申し訳ありません」


黒崎が頭を下げる。


「孝太郎だけじゃねぇじゃねぇか!」


増井が怒鳴った。


「東雲組の丸野に、なんかよくわかんねぇガキまでいるじゃねぇか!」


「……はい」


「後で乳首バサミの刑な」


倉庫内に怒声が響く。


黒崎は何も言い返さない。


増井は舌打ちすると、三人へ向き直った。


「まあいい」


拳を握る。


「予定とは違うが――まとめて相手してやる」


増井が地面を蹴った。


一瞬で丸野との距離を詰める。


「――っ!」


丸野が構えた瞬間、増井の拳が迫る。


だが、その横を黒崎が走り抜けた。


狙いは――孝太郎。


「荒木孝太郎」


黒崎の目が鋭くなる。


「前回は増井の親父に邪魔されましたからね」


黒崎が拳を振り抜く。


「今回は――」


その拳が孝太郎へ届く寸前。


ガッ!


別の腕が黒崎の攻撃を受け止めた。


「……何?」


黒崎が目を見開く。


蓮だった。


「孝太郎には触れさせないぜ」


蓮は黒崎の拳を押し返す。


「蓮……!」


孝太郎が声を上げる。


蓮は振り返らない。


「孝太郎!」


「……!」


「丸野さんのところへ!」


蓮が黒崎を睨みつける。


「任務を成功させるんだろ」


孝太郎は一瞬だけ蓮を見る。


そして頷いた。


「ああ!」


孝太郎は丸野の方へ走る。


増井と激しく打ち合っていた丸野が、それに気づく。


「孝太郎!!」


「丸野さん、俺も援護します!」


「あぁ頼むわ」


増井が二人を見て笑う。


「二人で来るか」


「ええ準備運動になりそうやな」


丸野が構える。


「こちらも二人の方が都合がいい」


その一方で、蓮と黒崎も互いに距離を取った。


黒崎が右手を構える。


「あなたが私の相手ですか」


「ああ」


蓮が拳を握る。


「俺が相手になる」


黒崎の口元に笑みが浮かんだ。


「さっきの一撃を受け止めて調子に乗ってんのか」


蓮は答えなかった。


ただ静かに構える。


その身体を、魄がゆっくりと巡り始める。


――龍包囲。


こうして戦場は二つに分かれた。


増井対丸野・孝太郎。


黒崎対蓮。


そして孝太郎の視線の先には――


大量の龍魄が保管された倉庫の奥があった。

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