作戦 続き
三人は本部を出ると、そのまま目的地へ向かった。
目的地――縦須賀。
黒崎が向かった可能性が高い場所だ。
車内では、丸野が運転し、助手席に蓮、後部座席に孝太郎が座っていた。
孝太郎は窓の外を眺めていた。
頭の中にあるのは、黒崎のことだけではない。
祀のこと。
龍蝕症のこと。
そして、治療に必要な金のことだった。
「……孝太郎」
前から蓮の声がする。
「戦闘になったら戦いに集中しろよ」
蓮が釘を刺す。
「……ああ」
孝太郎は短く答えた。
「お前の立場にないからわからないけどよ、考え事や、迷いは命取りになるぞ」
蓮はそれ以上言わなかった。
しばらくして、丸野が口を開く。
「もうすぐ着くぞ」
「はい」
孝太郎が顔を上げる。
やがて車は市街地へ入っていった。
丸野は事前に本部から渡された資料を確認しながら、ゆっくりと車を進める。
「黒崎が最後に確認されたのは、この辺りだ」
「近くにいる可能性は?」
蓮が尋ねる。
「分からない。ただ――」
丸野が周囲を見る。
「龍魄を持っているなら、遠くへは移動していないと思う」
「どうしてです?」
「龍魄は簡単に持ち運べるものじゃない。それに、あれだけの量なら誰かに預ける必要がある」
孝太郎が反応する。
「つまり……」
「黒崎たちは船で龍魄を運ぶつもりなんだろう」
三人は周囲を確認しながら進んだ。
すると、丸野が車を停める。
「ここから先は歩く」
三人は車を降りた。
丸野が資料を取り出す。
「黒崎が向かったとされるのは、この先にある倉庫街だ」
孝太郎は前を見る。
「……倉庫街」
「まずはそこを調べる」
丸野が歩き出す。
二人も後に続いた。
しばらく歩いたところで、孝太郎が足を止める。
「……待ってください」
「どうした?」
孝太郎は周囲を見回した。
「誰かいます」
三人の視線が、一斉に前方へ向く。
少し離れた場所。
倉庫の陰から、一人の男がこちらを見ていた。
男は三人と目が合うと――
ゆっくりと背を向けた。
「……黒崎か?」
孝太郎が呟く。
丸野が目を細める。
「分からん」
「追いますか?」
蓮が聞く。
丸野は一瞬だけ男を見た。
そして――
「いや」
静かに答えた。
「向こうから来てもらおう」
その瞬間。
倉庫の奥から、低い声が響いた。
「……やっぱり来たか」
三人の足が止まる。
聞き覚えのある声だった。
孝太郎の拳が固く握られる。
「黒崎……!」
倉庫の影から、ゆっくりと男が姿を現した。




