初陣 続き
その答えが見えた気がした。
「……仁」
「ん?」
隣を歩く仁に、蓮は声をかけた。
「俺にも……戦い方ってあるのかな」
仁はすぐには答えなかった。
しばらく歩いたあと、ちらりと蓮を見る。
「あるだろ」
「……本当に?」
「ああ」
あまりにもあっさりと言われて、蓮は少し驚いた。
「でも俺、龍術使えねぇぞ?」
「知ってる」
「龍術も使えない。身体能力だって、別に特別高いわけじゃない」
「それも知ってる」
「じゃあ、なんで――」
「だからだ」
「……え?」
仁は足を止めた。
蓮もつられて立ち止まる。
仁は蓮の右手を見る。
「お前は龍術を使えない」
「……うん」
「だったら、龍術を使える奴と同じ戦い方をする必要はねぇだろ」
蓮は黙った。
確かに、その通りだった。
これまでずっと。
自分には龍術がない。
だから弱い。
そう思っていた。
けれど――
「……俺にしかできないことを探せってこと?」
「そういうことだ」
仁は再び歩き始める。
「今日の戦いだってそうだったろ」
「今日……?」
「お前、最後に何した?」
蓮は思い返す。
獣の動きを見て。
距離を測って。
攻撃をかわして。
最後は――
「……殴った」
「そうだ」
「普通じゃね?」
「普通にできるなら、あそこまで追い詰められてねぇよ」
「……」
仁は小さく笑った。
「お前は龍術を使えない分、別のものを見るしかない」
「別のもの?」
「相手の動き。癖。呼吸。間合い」
仁は指を一本ずつ立てていく。
「自分の身体。武器。地形」
そして最後に。
「頭だ」
「頭?」
「力がないなら、頭を使え」
「……なんか地味だな」
「戦いなんてそんなもんだ」
仁は即答した。
「派手な龍術をぶつけ合うだけが戦いじゃねぇ」
蓮は少し考え込む。
そして――
右手を握った。
「……じゃあ俺」
仁を見る。
「俺なりの戦い方、探してみる」
「探すだけじゃ駄目だ」
「え?」
「身につけろ」
仁は前を向いたまま言った。
「次に龍化獣と戦った時、同じように勝てるとは限らねぇ」
その言葉に、蓮の表情が引き締まる。
「……分かってる」
「ならいい」
二人は再び歩き出す。
少しして、蓮がふと思い出したように口を開いた。
「なぁ、仁」
「なんだ」
「俺の戦い方ってさ」
「うん?」
「もしかして――めちゃくちゃ地味になるんじゃね?」
「……」
仁が黙る。
「おい」
「……知らん」
「絶対そう思っただろ!」
「うるせぇ」
「ひでぇ!」
山道に、二人の声が響く。
その笑い声の奥で。




