日常編36 ばれてしまって
「エフェリア、何をやっているのかな?」
「オルディア……」
「クラリアまで、こんな所に来て。いけない子だね?」
「す、すみません……」
オルディアお兄様の言葉に、私はゆっくりと頭を下げることになった。
当然のことながら、盗み聞きはよくないことである。私ももう少しで、エフェリアお姉様に乗っていた所だし、ここは素直に謝っておいた方がいいだろう。
「オ、オルディア? クラリアは悪くないんだよ? 私が誘った訳だし……」
「エフェリア、どうしてそんなことをしたのさ。別に、こんな呼び出しはよくあることだろう?」
「いや、やっぱり気になちゃってさ。その、事前に色々とあったし……」
「色々?」
エフェリアお姉様は、オルディアお兄様の言葉に頬をかいていた。
事前に色々とあったというと、クッキーのことだろうか。もしかして、お姉様はまだ平民のクッキーを安物などと評したことを、気にしているのかもしれない。
そこから空気というか、気分を変えたかったということだろうか。それならそうだと、言ってくれれば良かったのに。
「……よくわからないけれど、エフェリアにも何かあったみたいだね? まあ、それでも盗み聞きは良くないよ?」
「……オルディア? なんか最近さ、ちょっと品行方正過ぎないかな?」
「え? ああ、まあ、うん、そうかもしれないね」
オルディアお兄様は、エフェリアお姉様の指摘に一瞬だけ目を丸めた。
それからお兄様は、私の方を見てくる。どうかしたのだろうか。
「まあ、クラリアという妹もできたことだからね。僕もそろそろ、自分の立ち振る舞いを見直さなければならないと思っているのさ。エフェリアだって、婚約も決まったことだし、もう少し大人としての振る舞いを心掛けた方がいいと思うよ?」
「そう言われてもねー。私は私なんだし、そう変わることはできないって。ここは家だし、もっと自然体にいたいかなー」
「その気持ちも、理解できない訳ではないんだけれどね?」
エフェリアお姉様とオルディアお兄様は、最近は少しだけずれてきているということだろう。
双子として、同じような行動をしていた二人に変化が起こっている。それがいいことなのか悪いことなのかは、よくわからない。
ただ二人の仲の良さというものは、変わっていないように見える。私には、それがよくわかった。
だってエフェリアお姉様は、もう元気になっている。オルディアお兄様と話したことで、気分転換になったということだろう。そのことに、私は少し安心するのだった。




