日常編37 兄達が心配なこと
オルディアお兄様は、アドルグお兄様にあることで呼び出されていたらしい。
私がそれを知ったのは、エフェリアお姉様と盗み聞きに行ってからしばらく経ってのことであった。私とイフェネアお姉様の部屋を訪ねてきたオルディアお兄様が、それを話してくれた。
「実はアドルグお兄様から、相談を受けていてね? それは、クラリアとのことだったんだ」
「私のこと、ですか?」
「ああ、クラリア、君は以前にアドルグお兄様のことを案外知らないと言ったみたいだね?」
「え? ああ、それは……」
オルディアお兄様から事実を告げられて、私は少し驚くことになった。
まさか、アドルグお兄様は、まだあのことを気にしているのだろうか。一応、乗馬が趣味であるということは、理解したつもりだったのだが。
「アドルグお兄様に、そんなことを言ったの?」
「……実は、そうなんです」
私は、同じく部屋にいるイフェネアお姉様の言葉に頷く。
オルディアお兄様は、苦笑いを浮かべている。その表情を見ていると、アドルグお兄様の顔が思い浮かんでくる。
「……きっと、アドルグお兄様はショックを受けていたのでしょうね? クラリアからそのようなことを言われてしまったら、私だってそうなっていたかもしれないわ」
「まあ、クラリアも察した通り、アドルグお兄様はかなりショックを受けていたみたいでね?」
「あの後、一緒に乗馬したんですけど……」
「ああ、その時はそれでアドルグお兄様も、満足していたみたいなんだ。ただ時間が経つにつれて、またじわじわと効いてきたらしい」
アドルグお兄様にとって、私のあの言葉は遅効性の毒のような側面があったようだ。
どうして私は、あんなことを言ってしまったのだろうか。今更になって、後悔する。気軽に言うようなことでは、なかったのだろうか。
「でも、どうしてオルディアお兄様に相談を?」
「さあ、それはよくわからないけれど。まあ、僕が一番クラリアに近しいと考えたのかな、と僕は思った訳だけれど……」
「オルディアお兄様?」
そこでオルディアお兄様は、苦笑いを浮かべた。
その表情に、私とイフェネアお姉様は顔を見合わせる。一体、オルディアお兄様はどうしたのだろうか。
「いや、よく考えてみれば、僕もクラリアにそこまで知られているものかなと、思ったんだ。例えば、僕の趣味とか、クラリアは知っているのかな?」
「え? 悪戯、とかですか?」
「まあ、そうなるよね。なるほど、僕もアドルグお兄様のことを笑っている場合ではない、ということかもしれないね?」
オルディアお兄様は、何か悩んでいるようだった。その表情は、アドルグお兄様とよく似ている。
私は改めて、イフェネアお姉様と顔を見合わせることになった。すると、苦笑いが返ってくる。これはつまり、そういうことなのだろう。オルディアお兄様も、アドルグお兄様と同じなのだ。




