日常編31 お菓子の出来
「まあ、気を取り戻して、お茶にしようか」
「そうですね……」
私とエフェリアお姉様は、お茶にすることにした。
勉強していた机とは別の机に、エフェリアお姉様が持って来てくれたお茶とお菓子を置き、私達は対面するように座る。
「えっと、今日のお菓子は……」
「ああ、クラリアはこっちだね?」
「え? あ、その……」
私が今日のお菓子に目を向けると、エフェリアお姉様が少し焦り始めた。
それを見て、私は奇妙に思う。一体、どうしたのだろうか。
お菓子が載った皿は、二つある。よく見てみると、載っているお菓子は微妙に形が異なっているような気がする。
エフェリアお姉様は、形が整っている方の皿を私の方に渡してきた。それには、何かしらの意図があると考えるべきだろう。
「エフェリアお姉様、今日のお菓子はどのようなものなのでしょうか? 見た所、クッキーのようですが……」
「え? あ、うーん。まあ、そうだね? えっと、今日のお菓子は……実は、私とイフェネアお姉様で作ったんだ」
「なるほど、そういうことでしたか……」
薄々そうではないかと思っていたが、私の予想は当たっていたようだった。
イフェネアお姉様と先程まで一緒だったと言っていたが、そういうことだったのか。二人でお菓子作りしていたらしい。
「ということは、もしかしてそちらがエフェリアお姉様が作ったお菓子ということですか?」
「うん、そうなんだ。そっちはイフェネアお姉様が作ったお菓子だよ? やっぱり、上手いよねー。私のは形も不揃いだし、味もどうだか……」
「上手くできているように思えますが……」
エフェリアお姉様は自信なさそうにしているが、そこまで出来が悪いという訳ではないと思える。
もちろん、イフェネアお姉様の物と比べると、多少形は歪ではあるが、それ以外に何か問題があるようには見えない。
「でも、どうしてお菓子作りを?」
「それは……その、クラリアが勉強を頑張っているって聞いたから、私も何かできないかなーと思って。それで、イフェネアお姉様と相談して、クッキーの作り方を教えてもらったんだけど、あんまり上手くはいかなかったなー」
「それじゃあ、これは私のために……」
エフェリアお姉様は、どうやら私のためにこのクッキーを作ってくれたらしい。
それはなんとも、嬉しいことだ。なのにそのクッキーを、エフェリアお姉様は自分で食べようとしている。恐らく、自作に自信がないということなのだろう。
しかし私としては、エフェリアお姉様が作ったものをいただきたい所だ。イフェネアお姉様のクッキーももちろん食べたいが、ここでどちらを優先するべきかは明白だ。
「エフェリアお姉様……」
「駄目だよ、クラリア。これは私が食べるんだから」
「……」
私が提案しようとした所、エフェリアお姉様からすぐに返答があった。
お姉様としては、出来が悪いと思っていることもあって、自分で食べたいということなのだろう。その態度は、頑なであった。




