日常編27 誇張されたこと
ウェリダンお兄様から譲ってもらった本は、本当にとても読みやすいものだった。
歴史がわかりやすく記されており、この国ができる前のことも含めて、色々と頭に入ってきた。
それらを学んで、私は少しだけ不思議な気持ちを抱いていた。そこに記されている人達の仲には、私の先祖にあたる人もいるからだ。
「ロヴェリオ殿下は、この国の歴史についてはご存知ですよね?」
「うん? ああ、それはもちろん。勉強させられたからな……」
私は、ヴェルード公爵家に遊びに来ていたロヴェリオ殿下にも、ウェリダンお兄様との間にあったことを話していた。
王家であるロヴェリオ殿下は、当然歴史については既によく知っているようだ。それならこの不思議な気持ちも、わかってもらえるだろうか。
「ここに記されている人は、私やロヴェリオ殿下にとっては先祖にあたる方なんですよね?」
「そういうことになるな……」
「こういったことを学んで、初めて知りました。すごい人達が、私の先祖なんですね」
「まあ、その辺りについては色々と誇張されている部分もあるんじゃないか?」
「え?」
熱く語ろうとしていた私は、ロヴェリオ殿下に出鼻をくじかれてしまった。
なんだろう、反応が少し冷たいような気もする。ロヴェリオ殿下は、本当に知っているのだろうか。この国を作ってきた人達のことを。
「ロヴェリオ殿下は、あまり歴史に興味がないのですか?」
「いや、そういう訳じゃないんだが……もしかしたら、クラリアの夢を壊すことになるかもしれないが、王家というのは時に誇張することがあるんだ。例えば、ランスルドがいい例だ」
「ああ、その剣技で一騎当千の活躍をしたという方ですよね? 私達にとっては、遠い先祖にあたる人だとか」
「そもそもその活躍が作り話と言われている。後、俺達とも血は繋がっていないそうだ。多分、後年で英雄視されるようになった時、当時の王家が血筋だったということにしたんだろう」
ロヴェリオ殿下の言葉に、私は固まることになってしまった。
偉大なる先祖様が、そもそも偉大かどうか微妙で、血も繋がっていないなんて。
それでは、この本に書かれていることは真っ赤な嘘ということになる。せっかく歴史を学ぶのが楽しいと思えてきたのに。
「それじゃあ、ランスルドを含めた十二人の英雄の話も?」
「まあ、それに該当する人はいたそうだが、立派な人達だったかというと、微妙な所だな。そういう本には書かれていないかもしれないが、色々とあったらしい」
「……」
ロヴェリオ殿下は、何やら色々と私が知らないようなことを知っているようだった。
それを聞いていると、色々と考えさせられる。一体私は、何を信じて何を信じなければ良いものなのだろうかと。
「ああいや、俺が知っていることも、一説ではそう言われているということだからな。本当の所、どうなのかなんて、誰にもわからないものさ」
「そうですか……」
私が落ち込んでいるからだろうか。ロヴェリオ殿下は励ましの言葉をかけてくれた。
ただなんというか、歴史を学ぶ意欲というものが失われかけていた。これは、ウェリダンお兄様と話した方がいいのかもしれない。




