第11話 ポツダム攻防戦 その2
機巧暦2140年1月・イギリス連合王国軍
「ニーナ、四回の攻撃は全て失敗だ。他の手を考えた方がいいんじゃないのか?」
「・・・・・・・しかしどうすれば良いか分からないな」
「兵糧攻めはどうだ? 時間はかかるが此方の損害はゼロだぞ」
「あの学園都市は兵糧攻めには向いてない。後方にベルリンがあって絶え間なく兵糧を運んでるらしいから兵糧攻めは無理だろうな」
「・・・・・・・・・・」
側近の言葉にニーナはイライラしていた。精鋭部隊による機動戦を得意としていたニーナにとって籠城している敵を相手にするのは分が悪かった。
「強硬手段に出るぞ。8千の兵力で無理矢理やる!!」
「8千だと!? 突き崩したと言えども城門の入口はまだ狭い。狭い場所に大軍を殺到させてどうする!! 上から銃弾の雨を浴びて壊滅するぞ」
「強硬手段だ。やるぞ」
「・・・・・・・・わ、分かった」
こうして8千の決死隊が編成された。兵士らには手榴弾を持たせていて自爆してでも城門の入り口を破壊しろという意味だった。
ーーーー学園都市内
「負傷者を大講堂に運べ!! 亡くなった者は学園の裏手にある広場で火葬しろ!! 急げ!!」
「書記!! 大講堂が負傷者で溢れてもう無理だ!!」
「ならば他の講堂を使え!!」
「書記、消毒液が足りねぇんだがどうすりゃいいんだ!!」
「ベルリンにある薬屋にでも買いに行け!! 代金は後で会計がやってくれるだろうよ」
前線指揮は会長や副会長が行い、後方は会計、書記が対応することとなっていた。負傷者で廊下や講堂が溢れていてさらに消毒液や包帯といった医療品が不足していた。
「書記、大丈夫か?」
「か、会長!? な、なんでこんな場所に?」
「頑張っている役員らを見て回るのは会長として当たり前のことだからな。それにしても想像以上に苦戦するな」
「・・・・・・・ぜ、前線は大丈夫なんですか?」
「アハハ、副会長に任せたから大丈夫だ。敵の攻撃も今は止んでる。今が君らの顔を見て回れる最後のチャンスかもしれないからね」
会長は顔に付いた血を拭いながら笑ってそう言う。腰には刀を差し外套を羽織っている。副会長、書記、会計はドイツ出身だが会長だけは大日本帝国出身だった。精神も大日本帝国らしく狂戦士的なところがあった。
「最後のチャンスってことは明日から・・・・・・・」
「私は生徒会長であると共にユズキ教官の教え子でもある。玉砕するときは私が先頭立って敵に向かうつもりだ」
「まさか・・・・・・勝ち目がないとでも?」
書記の言葉に会長は頷いた。
「物質不足でどう戦えようか? 日に日に死傷者も増えているし武器も足りなくなってきている・・・・・・援軍なしでは厳しい」
「・・・・・・・・・・・」
会長の言葉に生徒会組は下を向く。連日の連合王国軍の猛攻により学園都市は陥落寸前だった。




