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機巧魔術師の異聞奇譚  作者: 雨月狂華
第二章 翔ぶ鶴
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第10話 ポツダム攻防戦 その1

機巧暦2140年1月・ポツダム高等士官養成学園



「学園長、陸軍第一師団長が学園長にお会いしたいとのことですがどうなさいます?」



「第一師団長? 誰だ?」



「アーチゾルテ=レーゲル陸軍大将にございます」



「陸軍が? 何か火急の用なのか・・・・・・・会おうか」



「分かりました」



学園長は緊張した面持ちでそう言う。







その後ーーーー



「お久しぶりです。学園長」



「ハハハ、君も立派になったものだな。それで今日は何か用があって来られたのであろう?」



レーゲルが席に座ると学園長は懐かしげにそう言う。



「はい。単刀直入に言わせてもらうとこの学園を対連合王国軍の拠点としたい。ここを破られれば帝都内に侵入を許してしまいます。拠点とする上で生徒らの安全を確保するために避難して頂きたい」



「わ、分かりました」



「ありがとうございます」



「ところで敵はどれ程で?」



「情報が途絶えている故・・・・・・確実ではありませんが偵察部隊の報告によれば五、六師団はいるらしいです」



「10万・・・・・・ですか」



レーゲルは躊躇いながらそう言う。



「勝ち目はあるとは言い難いですが最大限やってみます」



「・・・・・・・武運を祈る」



「ありがとうございます。ではこれにて失礼致します」







ーーーー大講堂



「これより学園長から話しがある!! 心して聞くように!!」



広々とした大講堂に学園と生徒全員が集まっていた。もちろん学園を避難するように伝えるためだった。



「諸君らの事だ。噂は耳にしていると思うが連合王国軍がこの学園に・・・・いやこのポツダムに攻め込もうとしている!! 私たちは諸君らの安全を考え明日学園から退去するよう命ずる!! なおこの学園は第一師団の拠点として機能すると聞いている。明日にでも帝国軍が占拠するだろう」



「・・・・・・・」



「・・・・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・・」



学園長がそう言うと生徒らは特に取り乱すこと無く落ち着いて聞いていた。








そんな中ーーーーー





「学園長!! 俺らも戦います!!」



「祖国のためにやります!!」



「御旗の元に勝利は必ずや得られます!!」 



声を上げたのは生徒会や生徒会長を信奉する者らだった。



「諸君らの気持ちもよく分かるが、今諸君らを散らせるわけにはいかないのだ!! 若い者は未来のためにその命を燃やすのだ!!」



「いえ!! 軍人たる者、国に殉じて悔いはありません。今こそ国に報いる機会!! 寧ろ本望で御座います!!」



「・・・・・・・・・・・」



学園長がそう言うが生徒会長は引き下がらない。



「が、学園長・・・・・・・彼らは言っても聞かぬ者ばかり、好きにさせてはどうか?」



「・・・・・・・」



学園長の側近が耳打ちする。結果的に全学園生徒1万5千人の内、生徒会長や生徒会役員や信奉する者ら千人が学園に残ることになった・・・・・・・・

 






ーーーーポツダム高等士官養成学園



学園都市防衛軍はレーゲルの第一師団《2万》と学園の生徒会役員らで募った義勇軍千人の編成となった。



「会長!! これでいいか?」



「ああ大丈夫だ」



生徒会は敵を校舎内や都市に入れないために階段や廊下を椅子や机を積み上げてバリケードを築いた。さらに都市の武器庫から全ての弾薬や砲弾や武器を放出させ生徒らに持たせた。本丸は最上階の5階にある学園長室となった。



「会長!! レーゲル大将から敵が来襲、義勇軍は交戦に備えろとの報告です!!」



「分かった」









ーーーー学園・屋上



「大将・・・・・・策はありますか?」



「この陣容を突き崩すにはブレーメンにいる航空戦隊に援軍を頼むしか打開策はない」



「やはりユズキ頼みですか・・・・・・」



「不満かな? ユズキは今は入院中で出撃は出来ない。ユズキがいない分、戦力は落ちるが航空戦隊単体でも充分な戦力にはなるだろ」 

 


レーゲル大将と側近は屋上から敵の陣容を見ながら話していた。敵は二個師団《4万》を四つの陣に分けて弧を描くように配置していた。



「4万と2万1000・・・・・・か」



「厳しい状況ですね」



「絶望を見るな!! 希望を見ろ。さぁ!! 勇ましき帝国軍!! 戦争の開始だァァァァ!! 神は我らと共にある!! 勝利を信じて戦え!! 後は見るな!! 前を見ろ!!」



レーゲルは手に持っていた無線にそう叫ぶ。 


  





ーーーー学園都市・城門



「ニーナ、準備は出来たぞ。あとはニーナの攻撃命令だけです!! さぁ命令を!!」



「好戦的だな~ まあ士気が高いうちにやっちゃうか」



「ああ」



ニーナはそう言うと右腕を上に上げ全軍に合図した。



「進め!! 連合王国の勝利のために全軍はその命を燃やせ!!」



「「うぉォォォォ!!!!」」



連合王国軍の最前列にいた部隊が全速前進で学園都市を護る門へと殺到したちまち大砲で門を粉砕すると学園の中庭に雪崩れ込む。



「進めぇェェェェ!!」



「グハッ!!」



「うっ!!」



「ひっ!!」



「隊長!! これ以上は進めません!!」 



都市内の川沿いから学園の入り口を見つけて突撃を敢行するも入り口のバリケードに伏せていた義勇軍の兵士らに次々と狙撃されていく。 







さらにーーーーー



ガラッ!! ガラガラッ!! ガラガラッ!!



「ギャァァァァァァ!!」



「石が降ってくる!! 逃げよ!!」



「ヒッィィィ!!」



建物の上から兵士らが石や丸太を落としてくる。その後、追い討ちをかけるように彼方此方から都市ゲリラ兵が涌き連合王国軍の背後を寸断し包囲する。その結果隊長が戦死し、連合王国軍の前衛部隊2千の兵士はたちまち総崩れとなり撤退した。

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