第17話 国益優先
機巧暦2139年12月・イギリス連合王国ロンドン議事堂廊下
「首相、相変わらず爆弾発言かますわね」
「フッ、ロドネー陸軍大将か・・・・・・・・」
「久しぶりね」
議会での仕事を終えた首相・アルバート=ヨークは廊下で陸軍大将のウィリアム=ロドネーと鉢合わせた。
「そちらはどうなんだ? 植民地経営は上手くいっているのか?」
「な~に~ いきなり仕事関係の話~? もう少し体調どうとかないのかしら?」
「はぁ、ロドネー大将は相変わらずフランクだな」
「まあ植民地経営は上手くいっているわ。小規模の反乱は起こっているけどね」
「そうか」
ウィリアム=ロドネーは連合王国の陸軍大将兼植民地総督の職に就いている。金色の短髪には赤い瞳が特徴的な人物だ。お嬢様でかなりズボラな性格ではあるが軍人としての指揮能力はそれなり高い。
「それでドイツ帝国への対処はどうなの?」
「ドイツは追い詰められたネズミ同然だ。ここで手を差し伸べるべきだとは思う。我らが戦争をするのは利益が得られると思った時だけだ。そうだろう?」
「そうね」
「ドイツから絞るだけ絞ることは出来なくはないが・・・・・・それはやりたくない」
「確かに追い詰めるだけ追い詰めたら戦争になる可能性もあるからね」
「ここは多少なりとも譲歩して仮をつくるの上策だとは思うが・・・・・・・」
ヨークの言葉にロドネーは頷いた。
「ドイツは現皇帝になってから弱者を助け強者を挫くという方針にしているらしいがどういうつもりなんだか・・・・・」
「正義面でもしてるんじゃないかしら。助けた相手はいずれも大国から虐げられた小国。弱い者を助けて自分たちの正義を見せつけているんじゃないかと思うわ」
「正義だけで国が成り立つはずが無い。国益を優先する国こそが覇権を握り強国となるのだ・・・・・・・・」
「まあ国益を優先しすぎて恨みを買うこともあるわね」
ロドネーは笑いながらそう言う。
「余所のことを考えられる程の余裕など無い。我らは我らの道を進むまでだ。道を塞ぐ奴がいれば蹴散らすまでだ」
「そうね。で、どうするのかしら? ドイツは?」
「北フランスや西フランスの意見を聞いていては締結に何十年かかるかわからん。連合王国がフランス共和国の代表としてドイツ帝国に講和条約を持ちかける。それしか無いだろう」
「いかにも貴方らしいわね」
「やることをやらなければ次に被害に遭うのは自国の民草だからな。民を守るのは首相としての義務だ」
そう言うとヨークはロドネーの前から去っていった。




