《ゆづ、異界に立つ》12/20 ゆづ、戦火に巻き込まれる
そろそろ準備も出来んしたかえ。では、蹂躙を開始しんす─────『オーバーロード』
「…………」「げっほ、げほ、」「げっほ、、、」
固く閉じた目を恐る恐る開けてみると、視界は一面黒煙に覆われていた。
「(…………)」「(あ、痛ったい………)」「(目が………)」
煙が滲みたのでまた目を閉じて、取り敢えず自分の五体の無事を確かめてみることにした。
「(…………)」「(………うん、)」「(…………)」「(………うん、)」
手足を引いてみると、爆風に巻き込まれる前と同じ拘束を感じた。
「(………うん、)」「(千切れてない)」「(………大丈夫、)」
その過程でどこか別の場所に痛みを感じることもなかった。
この部屋を破壊した爆風で、私は奇跡的に怪我をせずに済んだようだった。
「(…………)」「(あ、)」「(痛いわ、まだ………)」
片目を半目だけ開けて辺りを見回すと、そこは病院ではなくだだっ広い理科の実験室みたいな部屋だった。
いくつかの据え置きの白色・横長の机の上に顕微鏡やビーカーの類がいくつも並び、その大半が倒れたり壊れたりしているのが見えた。
「(…………)」「(…………)」「(…………)」「(…………)」
私が寝ているキャスター付きのベッドの足方向右側の5mぐらい先の一角が大破していて、黒煙を上げながら燻っていた。壁が大幅に破壊されていて、そこから外の陽の光が差し込んでいるのが見えた。
「(…………)」「(…………)」「(…………)」「(…………)」
爆発が起きた割に辺りは静かで、サイレンの音だけが相変わらず鳴り響いていた。時折聞こえる爆音や振動音はここよりずっと遠い場所が発生元のようで、小さく聞こえる人の声も同等に遠い場所が元のようだった。
「(…………)」「(………アニカさん、あいっつマジ………!)」「(…………)」「(………あ!)」
私を置き去りにした結果死の危機に直面させたアニカさんに怒りが湧くとともに、頭の拘束が外れていることに気が付いた。
「(…………)」「(…………)」「(…………)」「(…………)」
他のもあわよくば、と思って再度手足に力を入れがちゃがちゃと揺り動かしてみても、そちらはやっぱり頑として外れてくれなかった。
「………ちょ、」「げっほ、」「…………」「………だ、」「誰ぁれかぁ~………」
今しがた部屋を大破させた爆発が起きたとは思えない程、辺りは静かだった。この部屋を出ていく直前の発言からするとそう遠くへは行っていない筈のアニカさんの気配さえ、全く───
「(…………)」「(………!)」「(アニカさん、まさか………)」
背中に悪寒が走った。今の爆発で、まさか………
「………ちょ、」「ちょっともう、これ………」「誰か、誰か!」
手足の拘束具を聞こえよがしにがちゃがちゃと鳴らしイラ立ち気味の呼び声を上げても辺りから反応はなかった。
遠くで散発的に聞こえていた爆発音は心なしか近くに寄ってきていて、その前に〝ヒュルルル……〟という、笛の音のような甲高い音を伴い始めていた。
「(…………)」「(………砲撃だ。)」「(砲撃なんだ、これ………)」
多分戦車だとか、迫撃砲だとかそういう重量のある大きな弾を撃ち出すタイプの兵器がどこかで火を噴いているようだった。
「(…………)」「(…………)」「(…………)」「(…………)」
状況を把握し始めるとともに、頭皮から冷たい汗が滲み出すのを感じた。
このままだと死ぬのは確実だった。
これが夢なのを忘れたわけではなかったけど、だから別に死んでもいいとは到底思えなかった。
地響きを伴う爆撃音と手足を拘束された絶望的な状況が、舐めた考えを私の頭から排除していた。
「………ア、」「アニカさん、」「アニカさん!」「返事して!」
〝ヒュルルル……〟〝ドォ……ン、〟という砲撃音が近くで聞こえる割合が増えると共に、にわかに〝キュルキュルキュルキュル、〟という機械の駆動音が聞こえ始めていた。
「(…………)」「(キャタピラ………)」
複数の男性の怒声までもが合わせて聞こえ始めたことで、私はとっさに息を潜めた。
誰かを呼ぶより隠れてやり過ごす方が得策なのは明らかだった。
「(………死んじゃう)」「(死んじゃう、)」「(死んじゃう、死んじゃうよ)」「(本当に………)」
いよいよ近くで聞こえ始めたキャタピラの駆動音に混じって、
「ぉ………」「…………」「っ、」「………りん」「…………」
と細く、誰かが遠くで叫ぶ声が聞こえた。
「(…………)」「(………?)」
「………ぉ、」「………ぃ、」「っりん………」
「(…………)」「(…………)」「(アニカさん………?)」
の声ではなさそうだった。いくら遠くてもあの重低音のハスキーボイスはこんなに細くは響かない筈。
「(…………)」「(…………)」「(…………)」
「………ゃ、」「…………」「……つりん」
「(…………)」「(…………)」「(…………)」
絶倫、と言っているような気がした。
何となくだけど、イントネーションとか、言い終わりの感じで。
「(…………)」「(…………)」「(…………)」
私もまだまだ余裕があるのかな、と思った。
定期的に弾ける砲撃の音は着弾音より発射音の方が近くで響くようになっていて、地面や壁を揺らすそれが鳴る度耳を塞ぎたい衝動に駆られた。キュルキュルキュル………というキャタピラの駆動音とそれに入り混じる複数の男性の怒号は、恐らくもうこの部屋の壁を一枚挟んだ向こう側にまで迫っていた。
「…………」「………ぉ」「………ぃ、」
「(…………)」「(…………)」「(…………)」
「…………」「………絶倫、」「…………」「…………」
「(…………)」「(…………)」「(…………あぁ、)」「(夢なんだ、これやっぱ………)」
そんな危機的状況の中にあって今私の耳は絶倫という言葉をはっきりと聞き取った。
あの(推定)キャタピラ戦車を駆動させている兵士達に見つかることやその砲撃に巻き込まれて死ぬことは変わらず恐ろしかったけど、やっぱりこれが夢なのだけは確かなようだった。
「おい、どこや絶倫!」
というはっきりとした発声が一瞬聞こえた後に、大破した壁とは反対側にあるドアがばん、と押し開かれた。
「おい!おるんか!」
「…………」「…………」「…………」「あぁ……!」
M.E.K.A.舞子先輩だった。
昨日よりは少しラフに着崩した赤い着物に身を包んだM.E.K.A.舞子先輩が、押し開けたドアの枠に銀に光る左手をかけ拘束されて仰向けに寝そべったままの私を一直線に見ていた。
「………あ、」「あ………」
「…………」「…………あんた何してんの、こんなとこで」
「…………」「あぁ……」「た、助けて」
「昨日の子………」「白河ゆづちゃん、やろ?あんた………」
「…………」「た」「助けて………」「助けて、」「どすえ、ちゃん………」
つかつかつか、と足早に歩み寄るどすえちゃん先輩は右手に黒く光る拳銃を握っていた。
「…………何?」「何これ………」「…………」「これ、あれか?」
「………う、」「ぐじゅ」「………うぐゅ、」「…………た、助けて、助けて………」
「あの赤毛のアホがやったんか?」
「と、とって、これ」「とって、この………」
と言いながら手をガシャガシャ鳴らすと、窮屈だった掛け布団を引き抜いて状態を確認してくれた。
「………あぁ、」「着てるやん!この………」「これ!」
「………あぁ、あ」「早っく、とって………」
「取れへんのかいな、自分で」
「早っく、」「うぅ………」「………し、」「死んじゃっ、う」
「………わ、」「分かった分かった」「泣きな、すぐ取ったるから」
話している間もどんどん近くに寄って来ていたキャタピラの駆動音は、手を伸ばせば届くんじゃないかという程近くにまで迫っていた。
音の発生元は丁度大破した壁の方向だったけど、恐過ぎてそっちに顔は向けられなかった。
「………は、やく」「はや、くして」「どすえちゃん、」「………あぁ、」
「分かった分かった、ちょい待ち」「…………」「固ったこれ何や………」
どすえちゃん先輩が難儀している間に、大破した壁の方向から確実にこっちを見ながら会話している男性複数人の声と、〝ウィーーーーン、、、、〟という大音量の機械の駆動音が聞こえた。
「(………あぁ!)」「(もう………)」「(これは、もう………)」
戦車の砲塔がこちらに向けられつつある状況なのがありありと分かった。恐怖のあまりどすえちゃん先輩の方だけに顔を向けている、この状況でも………
「…………」「………あー、何これもう」「面倒くさ、」
「(…………)」「(…………)」「(………あぁ助けて、)」「(助けて、ジル様………)」
「ちょっと待っとき」
「…………」「…………」「………!?」
どすえちゃん先輩はさっと傍を離れ、仰向けに寝ている私の頭方向に移動した。
「…………」「………何?」「何するの、どすえちゃん………」
「ええから、ちょっと待っとき」
そのまま私の頭方向右側に足早に遠ざかった後、どすえちゃん先輩は右手に持っていた銃をパンパンパン、と天井に向けて乱射した。
「………ひっ、」
「こっちや!ボケ!」「撃ってこい!」
反射的に右側の足方向に目をやると紺×赤の色味の軍服に身を包み銃を手にした兵士が数人立っていて、その中の一人が背後にある戦車の砲塔に顔を向けながらどすえちゃん先輩を撃つように手で合図を送っていた。
「………い、」「いいいい、そんなの………」「そんなのしなくて………」
「早よせえ!」「ボケ!」
どすえちゃん先輩に狙いをつけて動きを止めた砲塔から、撃ち出された楕円形の鉄の塊がはっきりと見えた。
軽く身を屈めたどすえちゃん先輩に向け突っ込んだそれは、〝ゴォン、〟という鈍い音を立てて明後日の方向───私の頭方向の視界の外に飛んで行った。
「あぁ………!」「どすえちゃん………!」
数秒経って煙の中から現れたどすえちゃん先輩は、直立していた。後ろで一つに纏めた髪が乱れて赤い着物が煤けて所々黒ずんでいたけど、どすえちゃん先輩は直立したまま兵士達がいる方向を真っ直ぐに見据えていた。
「…………」「………嘘、どすえちゃん………」
煙が晴れるにつれて、銀色に光る左腕が長く伸び、地面に垂れ下がっているのが分かった。
「…………」「…………」「そうか………!」
信じられないことに、どすえちゃん先輩は左腕の義手で戦車の砲撃を防いだようだった。
昨日夜に近くで見た時も義手以外の部分は全て生身だったように見えたから、多分………
それ以外に考えようがなかった。
「…………」「…………」「…………」「…………」
ダメージを受けたせいかだらりと地面に垂れ下がったまま戻らない左腕を引き摺りながら、どすえちゃん先輩は兵士達に向けゆっくりと歩み寄って行った。
兵士達に目をやると、さっき砲塔に向けて指示を出していた兵士が〝次弾装填!〟の身振りをまた砲塔に向け全体を使ってやっていて、残りの兵士達が手にしていた銃を一同に構えるのが見えた。
「あぁ………」「どすえちゃん………!」
遠慮無く銃を乱射する兵士達とゆっくりと前進するどすえちゃん先輩との間で、どすえちゃん先輩の伸びきった左腕がぶんぶんと躍動していた。
「(…………)」「(あぁ、)」「(………あぁ、)」「(…………)」「(な、何なんじゃ、あれぇ………)」
目が慣れてくると伸びきった左腕がさらに裂けるチーズのように何本にも分裂しているのが分かった。
ゆっくりと前進しているだけのどすえちゃん先輩の体の動きとは対照的に蛸か、あるいは烏賊の足に似た形状に変化した銀の腕がブンブンと音を立てて躍動していた。
「(…………)」「(弾いてる)」「(弾いてる、弾いてる………)」「(………銃弾を、弾いてるんだ)」
ブンブンブン、という風切り音とともにキンキンキンキン、という小さな衝突音が絶え間なく聞こえ、いくつかの固い粒が近くの床に転がる音も聞こえた。
「…………」「…………」「………?」
銀の腕………というより最早触手と化したそれのリーチ圏内に入った兵士の一人が銃を捨てて地面に両膝を突き、腹を押さえて悶え始めた。
「(…………)」「(…………)」「(あぁ、お腹に………)」
どすえちゃん先輩の銀の触手の一本が突き刺さっているのが見えた。ぐいぐいと躍動して自身を持ち上げにかかるそれに対して〝待って、ちょっと待って、〟みたいなリアクションを返しているのが見える。
「(…………)」「(や、)」「(やれ………)」「(………やるんだ、)」「(やってしまえ、どすえちゃん………)」
銀の触手は一人、また一人と手前から順に兵士を手に掛けていった。後生大事に抱えていた銃を地面に投げ捨て、代わりに全身を使って触手を抱きかかえる兵士が続出していた。
「(…………)」「(あ、あぁ………)」「(………何この、万能感………)」「(ふ、ふはは………)」
驚いたことに、どすえちゃん先輩は戦車を伴った兵士の一個小隊に勝ってしまいそうだった。
「(…………)」「(…………)」「(あぁ………!)」
ばたばたと倒れていく兵士達の最後尾に待ち構える戦車が、さっきの指示役の兵士の身振りに促されてまた砲塔を回転させ、どすえちゃん先輩に狙いをつけ始めていた。
「………ど、」「どすえちゃん!」「戦車!」「戦車!」「大砲!」
背中の左斜め後ろだけをこちらに向けてゆっくりと前進して行っているどすえちゃん先輩はそれに気が付いていないように見えた。
「どすえちゃん!戦車!戦車が!」
言っている間にまた爆炎を伴って発射された砲弾が、今度は空中で止まった。
「…………」「………?」「………???」
砲弾は、それが射出された時に主砲の先端から上がったものとそっくりな赤い煙に巻かれ、空中で静止していた。
「(…………)」「(何………)」「(何、あれ………)」「(どういう、現象………)」
それでもどすえちゃん先輩に向けて空中をゆっくりと前進しようとする砲弾を赤い煙は〝バチ、バチバチ、〟と赤い稲光を内部で発生させながら空中に押し止めていた。
「(…………)」「(…………)」「(…………)」「(はぁ………?)」
砲弾射出の爆音を聞いてとっさに身構えたどすえちゃん先輩も、砲塔に向けて指示を出していた兵士も、遅れて砲塔の上部扉を開けて顔を出した砲手も、黙ってその様を見上げていた。
目の前の空中で起きているそれはこの場にいる全員にとって、紛れもない超常現象だった。
諦めた砲弾が赤い煙からぼろん、と零れて地面にどすん、と落ちるのと同時に、上空から風切り音を伴って降ってきた何かが戦車の砲塔の上に落ち、〝ゴン、〟という爆発音に近い轟音を轟かせ、戦車はひしゃげた。
「…………」「…………」「…………」「…………」
キャタピラのベルト部分がべろりと剥がれて砂の地べたに張り付き、それが包んでいたローラーがいくつか転がり、横倒しに倒れた。
「…………」「…………」「…………」「…………」
二発の凶弾を放った主砲は軽く弧を描き、斜め上45度の角度を指して固まっていた。
「…………」「…………」「…………」「…………」
落ちてきたのは人だった。
スーパーヒーロー着地の姿勢をしばらくキープしているその人の髪は、燃えるように赤かった。
「…………」「…………」「…………」「アニカさん………!」
手に持った物干し竿ぐらいの長さがある黒い棒、
「(…………)」「(…………)」「(………いや、あれは)」「(………槍?)」
を突いて立ち上がり、あの低く響く声で
「ゆづ、無事か!」
とこちらに向けて呼びかけながら戦車の上から飛び降りつつ、我に返って慌てて逃げようとした指示役の兵士にそれをどすり、と突き立てた。
「(………痛っ、)」「(た………)」
地面に突き刺さった長々とした黒い槍と一体化して早贄のようになった指示役の兵士は、勢いよく手足をばたつかせてもがいていた。
「ゆづ、大丈夫なのか!」
と言いながらこちらに向かって駆け寄ってきたアニカさんは、部屋に入った瞬間はたと足を止めて室内をぐるっと見回し、どすえちゃん先輩を完全に無視した上で
「ああ!研究室が!」
と頭を抱えて言った。
【登場人物・用語】
白河ゆづ…………人生で初めて戦火に巻き込まれた人。今いる部屋を破壊した爆撃から運で助かった認識だが運で助かったわけでは実はない。運任せだった場合ゆづはこの爆撃により死ぬか重傷を負うかしていた。爆音の鳴り響く環境で手足を拘束されたまま放置されても発狂せずにいられるのは能天気で強メンタルな性格故。
京家M.E.K.A.舞子…………控えめに言って男前過ぎる人。今回戦車の主砲による砲撃を左腕に装着した義手のフックで弾いているが、義手以外の体の部位は全て未改造。右手で銃器を扱い左の義手で敵をなぎ倒すのがベースの戦闘スタイル。昨日夜に創国祭会場で上げた成果を手短に祝われた後今日夜の同会場でのシフトに備えて家で就寝しようとしていたところを〝敵襲〟に巻き込まれて戦闘・救助活動に当たっていた。つまり徹夜でこの場にいる。アニカに対しては〝絶倫〟〝キモ赤毛〟〝動物声〟など散々な呼び名をローテさせて呼びかけるが、その理由は「そうでもしないとうっかりメス出しちゃいそうだから」。あだ名は〝どすえちゃん〟だがその語尾を口にしたことはなく、また西方の古都出身でもない。
M.E.K.A.舞子の左腕…………銀色に光る通常勤務用の義手。鋼鉄以上の強度で銃弾を弾き、伸縮・膨張して敵を蹂躙する。奥の手として4m弱の長さにまで伸長した後五本指の谷間の部分で分裂してさらにその五本がそれぞれ半分ずつに分裂し、10本の触手と化した上で暴れ回る今回の形態と手のひらの中央から砲身を生やして超威力の量子砲を一発だけ放つ形態があるが、どちらも一度使用すると義手が故障して機能しなくなるか、基本形態以外に変化出来なくなる。第二皇室お抱えの兵器開発企業「煌.corp」製。
アニカ・サンドルート…………ただ事ではない身体能力を発揮した人。「戦車を押し潰す程の頑強と怪力」+「物干し竿ぐらいの長さの黒い槍」で人や物を破壊して回る。ゆづが拘束されたまま寝かされていた〝大きな理科室みたいな部屋〟はアニカが代表を務めるナノテクノロジー化学研究所のメイン研究室。今回の〝敵襲〟により半壊してしまった研究所の被害総額は7~8億程度。拘束されたままのゆづをしばらく放置しているが、忘れてどこかに行っていたわけではなく研究所周辺の脅威を排除して回っていた。
〝敵襲〟…………濃紺×赤のカラーリングの軍服に身を包み、銃器で武装した兵士達により行われた白昼の凶行。祝賀ムードの首都スレイトアールの中心部を襲い、街に多大な被害を与えた。スレイトアール王国の首都、首都スレイトアールは人口一千万人を超す超・大都市だが今回の〝敵襲〟により死者はまだ出ていない。戦車が王国首都の中心部にまで侵入してしまっているが、首都の郊外からそこまでの道のりで戦車や兵士を見かけたという報告は一つも上がってきていない。
早贄…………雀とよく似ていて体のサイズは一回り大きい百舌鳥という鳥が本能により行う行動。捕まえた得物を木の枝のような刺突物に突き刺して捕食・あるいは保存する。ある程度自然の豊かな土地なら人里でも見かける。虫程度ならまだいいかも知れないが蛙や鳥、鼠等が早贄されている光景は大人にとってもトラウマ。
ジル・スレイトアール…………旧スレイトアール城~新スレイトアール城を繋ぐ山道の途中にある高級ホテル「ホテル・レス・クォート」にて二度寝中にアニカからの一報を受け、急いで身なりを整えた上でシキとともにこちらに向けて急行している最中。昨晩アニカとゆづはその距離を車で30分近くかけて移動して来ているが、出発から5分弱でジルとシキはもう到着するところ。




