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09セレスティーナも妊娠してしまう

「セレスティーナ様、アラン様……お孫様でございます」


 生まれたばかりの小さな命を抱き上げた時、これまでの人生で感じたことのない温かさが広がった。柔らかい髪、小さな手足、未来への希望に満ちた寝顔。


 この子がルミナとカインの愛の結晶なのだと思うと、言葉にならない感動が込み上げる。孫の誕生は、セレスティーナに祖母という新たな役割を与えてくれた。


 祖母としての役割は、今までのものとは全く異なる喜びと責任を伴うものである。小さな命が自由に、幸せに育っていけるように惜しみない愛情を注ごうと決めた。


 過酷な運命とは無縁の素晴らしい未来が待っていると信じている。


 孫が生まれ、人生はさらに豊かなものになった。ルミナの家族と共に賑やかで温かい日々を送っている。


 お店は相変わらず繁盛し、魔導映画制作も順調に進む。ルミナは子育てをしながらも、変わらず国の発展に貢献し続けている。


 アランはこれまで以上に優しい眼差しで、家族を温かく見守ってくれていた。


 孫が生まれ、生活は新しい喜びに満ち溢れ、小さな手がこの指を握るたび温かさに心が溶けるようで。ルミナもカインも初めての育児に奮闘しながらも、幸せに満ちた日々を送っている。


 ある日、ルミナが少し困った顔をしていた。


「お母様、この子の離乳食が始まって食卓に座らせるのが大変で……普通の椅子だと、まだ大きすぎるんです」


 そうか、と膝を打つ。この世界の一般的な椅子は大人向けに作られているものばかり。小さな赤ちゃんが安定して座れるようなものは、ほとんど存在しない。


 自身の経験から子どもの成長に合わせて使える椅子があれば、どれだけ便利かと痛感していたけれど。すぐに夫のアランに相談した。


「アラン、孫のために特別な椅子を作ってもらえないかしら?赤ちゃんが安全に座れて、大きくなっても使えるような椅子を」


 アランは言葉に目を輝かせる。彼は孫の誕生を誰よりも喜んでいたし、何よりも木工職人としての腕を振るう機会を与えられることが嬉しそうだ。

 共同作業の始まり。アランに地球のベビーチェアやハイチェアの概念を伝えた。


「座面や足置きの高さが調整できて、安全ベルトも付けられると良いわね。それに簡単に移動できるように、あまり重くない方がいいわ」


 アランは説明を熱心に聞き、すぐに設計図を描き始めた。伝えたアイデアを、彼の持つ卓越した木工技術と国の木材の特性に合わせて機能的で、美しいデザインへと昇華させていく。


 セレスティーナもデザインや素材選びに加わった。木材は温かみがあり、手触りも良い。

 ルミナが開発した新しい染料を使って、可愛らしい色合いにすることも考え、孫が安全で快適に使えることを第一にした。


 工房での作業は夫婦の絆を深める時間。アランがノコギリを使い、木材を丁寧に削り出す音。横で磨き上げるための布を準備する音。

 互いのアイデアを出し合い、時には冗談を言い合いながら一つの作品を作り上げていった。



 数週間後。二人はついに、孫のための特別な椅子を完成させた。温かい木のぬくもりを感じさせる可愛らしい椅子。

 座面と足置きは小さな孫の体に合わせて高さを調整でき、万が一の落下を防ぐための安全ベルトも備わっている。


 ルミナが開発した鮮やかな染料で、椅子の背もたれには孫の名前と家族の絆を象徴する、小さな鳥の模様が描かれていた。


「プレゼントよ」


 椅子をルミナの家へ届けたとき、ルミナは感動のあまり目から大粒の涙をこぼした。


「お父様、お母様……こんなに素敵な椅子を、ありがとうございます!」


 ルミナはそっと椅子に手を触れ、愛おしそうに孫を座らせた。孫は新しい椅子が気に入ったのか、にこにこしながら周りを見回す。


 祖父母から孫へ、親から子へ世代を超えて受け継がれる家族の愛情と、未来への希望が込められたかけがえのない贈り物。



 孫のための特別な椅子を作り、家族の温かい絆を感じていた日、セレスティーナの体に小さな異変が起きていることに気づく。

 朝起きると少し気分が悪かったり、これまで何ともなかった料理の匂いに敏感になったり。

 まさかそんなことはないだろう、と最初は思い違いだと思っていた。日に日に増していく体の変化にもしや、と心をざわつかせ。


 信頼する医者に診てもらった結果、告げられた言葉にボーっと呆然と立ち尽くす。


「セレスティーナ様、おめでとうございます。新しい命を授かっていらっしゃいます」


「え、でも、えっ?」


 この歳になって?

 ルミナが立派な母親となり、孫が生まれたばかりだというのに?


 驚きと共に言葉にできないほどの喜びと、少しばかりの戸惑いが押し寄せる。夫のアランに、このことをどう伝えればいいだろう。


 喜んでくれるだろうか。不安が頭をよぎるが、それ以上にもう一度小さな命を腕に抱けるという、奇跡のような歓喜に包まれる。


 夕食時、アランに意を決して伝えた。


「アラン……私、あなたの、新しい家族を授かったわ」


 言葉を聞くと、最初は目を丸くして固まる。すぐに表情はこの上ないほどの喜ばしさと、優しい愛情に満たされた。セレスティーナの手を握り、涙ぐんで言う。


「セレスティーナ……ありがとう。こんなにも素晴らしい贈り物を」


 手に包まれながら、幸福の涙を流す。

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