↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
8/19

08娘の吉報:新しい命の誕生

 娘ルミナが魔導映画という新たな文化を創造して国を豊かにしていくのを、間近で見ていたセレスティーナの中で情熱が湧き上がってきた。


「ルミナがこんなにも素晴らしい物語を映像で表現できるのなら……私も、私の経験や想いを魔導映画を通して伝えてみたい」


 昔、悪役令嬢として生きてきた経験。ゲームのシナリオに抗い、娘を守り、この異国で新たな人生を築いてきた己の物語はきっと誰かの心に響くはずだ。そういうわけで、ルミナに自分の想いを打ち明けた。


「ルミナ、私も魔導映画を作ってみたい。私の経験したこと、感じてきたことを映像を通して表現してみたくて」


「え?」


 母の言葉に目を輝かせた。


「まあ、お母様が! 素晴らしいわ! ぜひ、わたくしがお手伝いさせていただきます!」


 ルミナは映画を作るためのあらゆる知識と技術を、惜しみなく教えてくれた。今や彼女が専門書のようなもの。脚本の書き方、撮影記録のコツ、映像の編集。音響効果の付け方まで。

 定番の悪役令嬢の極意と秘訣を教えたように、今度はルミナが映画作りの全てを教えてくれる。夫のアランも新たな挑戦を心から応援してくれた。


「やりたいことをすればいい」


 映画に必要な道具を作ったり、撮影のロケーションを探してくれたりと裏方として支えてくれた。

 初めての映画制作はこうして始まる。制作した映画の題材は、セレスティーナの半生を描いた物語。


 令嬢として生きた過去、ゲームのシナリオとの葛藤。娘ルミナへの深い愛情、この異国でアランと出会い、新たな人生を歩むまでの道のり。


 最初は戸惑うことばかりだったけれど、ルミナの丁寧な指導とアランの温かいサポートのおかげで少しずつ形になっていった。

 一つの山をちょっとずつ登るような感覚。自分を演じる役者を選び、ルミナと共に撮影を進めた。


「お母様って、過酷な人生を歩んでいたのね」


「確かに、緊張が途切れないのは辛かったかもしれない」


 映像を通して過去の自分の傲慢さや愚かさを改めて見つめ、娘への愛情や夫への感謝の気持ちを再確認。過去を清算し、新たな一歩を踏み出すための、大切な時間。


 映画の試写会の日。とても緊張していた。観客として集まってくれたのは、ルミナやアランやごく親しい友人たち。

 それでも、自分の内面をさらけ出すことに大きな不安を感じていた。映画が終わると、会場は温かい拍手に包まれる。


 友人たちは涙を浮かべながら、映画に感動したと言ってくれた。ドキュメンタリー映画は常に自分との語らいなのだと、思い出す。

 ルミナは誇らしげな笑顔でセレスティーナを抱きしめてくれた。


「お母様、素晴らしい映画でした! わたくし、お母様の娘であることを改めて誇りに思います!」


 アランは手を握り、優しく微笑んでくれた。


「セレスティーナ、あなたは本当に素晴らしい才能を持っている。物語はきっと多くの人の心を打つだろう。自信を持ってくれ」


 皆は優しく声をかけてくれた。


(映画作りは楽しい)


 初めての映画制作を通して新たな夢を見つけた。自分の物語だけでなく、生きる様々な人たちの物語を魔導映画を通して世界に伝えていくこと。


「ルミナ、専門の会社を作らない?」


「お母様!私も丁度どうかしらって、構想を練っていたのよ」


 ルミナと共に映画制作会社を立ち上げ、彼らは次々と新しい映画を作り始めた。美しい風景。温かい暮らし。歴史に埋もれた感動的なエピソード。

 作られた映画は国内だけでなく、徐々に他の国々でも上映されるようになっていく。多くの人たちの心を捉えた。

 断罪されるだけの存在だったセレスティーナが、今では映画監督として心に希望や感動を与えることができる。


 人生とは本当に不思議なものだと感じた。魔法のような映像を通して、世界に物語を届け続けていきたい。


 魔導映画の監督として新たな道を歩み始め、ルミナと共に映画制作に情熱を注いでいたある日、彼女から嬉しい知らせが届く。


「お母様、お父様……わたくし、子どもを授かりました!」


 ルミナがはにかむように告げたその言葉にアランと顔を見合わせ、喜びの声を上げた。アランは目を潤ませながらルミナを抱きしめ、感激のあまり涙が止まらない。


 追放され、国へ逃れてきた時、まだ幼かったルミナを抱きしめながらも彼女だけは幸せにしてやりたい、と心に誓ったのだ。そのルミナが愛するカイン侯爵との間に新しい命を授かった。


 これほど喜ばしいことはない。ルミナの妊娠は国中を明るい喜びに包んだ。国の発展に大きく貢献し、深く尊敬されていたからこそカイン侯爵もまた喜びを隠しきれない様子で、ルミナを大切に労う。


 お腹が少しずつ大きくなっていく間に彼女の体調を気遣い、支え続けた。つわりで辛そうな日には持っている地球の知識を活かし、少しでも楽になるような食事を作ったり。気分転換になるような場所へ連れて行ったりした。


 アランもルミナのために、これまでにないほど細やかな気配りを見せてくれる。季節が巡り、祝福された日にルミナは元気な男の子を出産した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。