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06新たな発明:コンロの誕生、魔導の映画

 ルミナが国の発展に貢献する中で、彼女の尽きない探求心は、人たちの日常生活にも向けられるようになった。


 ある日のこと。営むお店の厨房でルミナが首を傾げていた。


「お母様、なぜ火をおこすのはこんなに大変なの?って考えたことがあってね。もっと簡単に必要な時にだけ使える方法はないのかしらね?」


「言われてみればそうかもしれない」


 この世界の料理は薪や炭を燃やすのが主流。火加減の調整は難しく、煙も出るため厨房はいつも熱と煤でいっぱい。

 知識からコンロというものが存在することをもちろん知っていたが、この世界でそれを一から作り出すのは至難の業。そんな困難さ。


 ルミナの探求心はこちらの想像を超えていたらしい。工房でアランが木材を加工する様子。魔法使いが炎の魔法を使うのを見て、あるひらめきを得たよう。


「お父様。木材を細かく砕いて固めたものに、特別な石の粉を混ぜてみたらどうかしら?それを熱すると、炎が安定して燃えるかもしれない」


 ルミナはアランが木材の加工で出るおがくずや木屑に着目した。コツコツ、研究をし始める娘。採れる特定の鉱石が、熱することで炎の性質を変える力を持つことを突き止める。

 この後の試行錯誤と画期的な発明により、この国は天才を産んだと言われるようになるとはこの時、想像もしていなかった。


「火を起こすものか……」


 アランは、ルミナの突拍子もないアイデアに驚きながらも、可能性を信じて、共に研究に取り組み出す。


「七輪、ガスコンロ」


 セレスティーナは日本の七輪やガスコンロの仕組みを思い出し、ルミナにヒントを与えた。


「火は、空気の流れを調整することで、強くなったり弱くなったりする。調理するものを直接火にかけるのではなく、熱を伝える板の上で調理できたら、もっと便利かもしれない」


 昔見た化学の放送。


「なるほどね、ありがとう、お母様」


 ルミナは言葉を熱心にメモし、アランと共に試行錯誤を繰り返す。数えきれないほどの失敗を重ね。


「大変っ、煙!」


 工房中が煙で真っ白になったり、変な匂いが充満したりすることも一度や二度ではない。


「まだまだ、やれるから!」


 ルミナは決して諦めなかった。


 彼女の情熱はアランをも動かし、ついに、彼らは一つの発明品を完成させたのだ。


「お父様!完成したわ!」


「よく頑張ったね、ルミナ」


 細かく固めた木材と特殊な石の粉を燃料とする、四角い箱型の装置。内部には空気の量を調整する仕組みがあり、上部には熱を均一に伝える鉄板が取り付けられている。


 燃料に火をつけると、炎は箱の中に閉じ込められ、鉄板を効率的に温めることができるのだとか。煙は外に排出される仕組みも備わっている。昔見たコンロだ。


「見て、お母様。これなら、火加減も簡単に調整できるわっ」


 ルミナが興奮した声で告げた。


 実際に調理してみると、これまでの薪や炭を使うよりも格段に楽で、料理の質も安定している。


「すごい……火がこんなに早く点火して」


「点火?」


「点火というのは、今の状態のことでね」


 革命をもたらす魔法の箱。新しい発明は瞬く間に魔法の箱、炎の箱と呼ばれ、国の台所事情に革命をもたらした。


「便利になった」


「ねー?」


 火おこしの手間が省け、煙も少なく火事の心配も減る。これまで以上に料理が簡単に美味しく作れるようになった。

 お店でもコンロを使って作った料理はより美味しく、提供時間も短縮できるようにと嬉しい悲鳴が。

 ルミナのアイデアとアランの技術が結びついた奇跡の発明。


 二人はコンロをさらに改良し、様々な大きさに対応できるようにした。これも囁いた内容の一部。

 コンロは貴族の邸宅から一般家庭まで広く普及し、国の生活水準を飛躍的に向上させることになる。

 無実の罪で断罪された娘は異国で才能を爆発させて、暮らしを根底から変える偉大な発明家となっていた。


 すごいと単純に思えた。ルミナの発明家としての才能は、これからも国に大きな変化をもたらすことになるかもしれない。ワクワクしてしまう。


 コンロの発明で国の生活を一変させたルミナの探究心はとどまることを知らない。ある夜、セレスティーナとアラン、ルミナが星空を眺めている時だ。


「ねえ、お父様、お母様。空に輝く星たちを多くの人に見せることはできないかしら?本の挿絵や絵画ではなく、そこにいるかのように動きも音もそのままに」


「ルミナ、よく覚えてたわねぇ?」


 ルミナは以前聞かせていた、地球の映画の概念を覚えていたようだ。動く絵を描く魔法具はあるが、それはごく一部の貴族の娯楽に過ぎないもの。音はなく物語を連続して見せるものではない劣化品。


「魔導具で物語を映し出すことはできないものかしら?光と影を使って目の前に物語が広がっていくような」


 アイデアは、二人を驚かせた。


 物語を映し出すという発想に非凡な才能が光っていた。具体的なことは言ってないのに着想で考えられる娘の才能が凄い。


 ルミナはすぐに新たな着想に取り組み始めた。まず、アランの工房で光と影の実験を始める。見ているだけでも面白い。


 特定の魔石を配置することで光の屈折や反射を操り、別の魔石を組み合わせ、その光を記録する装置を考案。アランはルミナのアイデアを具体的な形にするため、繊細な魔導レンズや精密な歯車を組み合わせた複雑な機構を作り上げた。

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