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41メロディがメガネの専門家と知りこれはもう作るしかないなと

 メロディは開発したパンケーキや遊園地、魔導車、花火について故郷の情報として知っていたようで一つ一つに熱烈な感想を述べる。


「特に魔導車の設計思想には本当に驚きました! 故郷の自動車工学の知識を魔導技術と融合させるなんて! 天才的な発想です」


 身振り手振りで興奮を表現し、熱意は伝わる。


「メロディは故郷では何をしていたの?」


 尋ねるとメロディは少し恥ずかしそうに誇らしげに説明する。


「故郷では光学機器の研究者をしておりました。特にメガネや望遠鏡などのレンズ技術を専門を」


「え!メガネ!?」


 思わず声を上げる。まだメガネという概念がないので視力の悪い人は生活に不便を感じていても、改善策がない。

 自身もたまに細かい作業をする際に故郷のメガネがあったらと思うことはたくさんあった。メロディは驚いて得意げな顔をする。


「視力の悪い方がたくさんいらっしゃることに気づきました。もしかしたら、知識がここでも役に立つのではないかと」


 胸が凄く高鳴る。メロディは常識外れな発想とは異なり、非常に重要で実用的な技術をもたらしてくれるかもしれない。


「メロディ、もし良ければ私たちと一緒にメガネを開発してみない?多くの生活をより豊かにすることができる」


 真剣な眼差しで伝えるとメロディの瞳は提案に再び熱く輝き始めた。


「はいもちろんです、セレスティーナ様! 故郷の知識を役立てることができるなんて!協力させてください」


 返事にルミナもアランも会話の内容を全て理解できたわけではないが、何か素晴らしいことが始まる予感を感じ取ったのか嬉しそうに頷く。


「アラン、ルミナ。メロディの力を借りれば新しい魔法を生み出すことができる」


 故郷の記憶を持つメロディという最高の協力者を得て、今度はメガネという人たちの生活に密接に関わる発明に挑戦する。生活を豊かにし、幸福をもたらすだろう。そうと決まれば行動するのみ。


「メロディ、レンズの素材、本当にこの国の素材で再現できる?故郷のガラスとは組成が違うから強度や透明度を調整するのが難しくて」


 後日、工房は今やメガネ開発のための実験室となっていた。アランはレンズを削り出すための精密な魔導工具を開発し、ルミナは様々な素材の配合を試しながら、最適なレンズの強度と透明度を探っている。メロディは故郷の光学知識を惜しみなく提供してくれた。


「大丈夫です! 水晶石は非常に純度が高いですから、加工次第で故郷のガラス以上の透明度を出せるはずです。問題はそれぞれの視力に合わせて、どのように正確に削り出すかです」


 目を輝かせながら、複雑な数式を書き込んでいく。知識と情熱は新たな視点と、大きな希望を与えてくれた。


「でもお母様、問題は視力測定よ。視力検査表というものがあったのでしょう?概念がない」


 ルミナが難しい顔で言う。メガネを作る上で最も重要なのは、視力に合わせた正確なレンズを作ること。そのための方法論がない。


「そうねぇ。どうすれば人の視力を正確に測れるか」


 考え込んでいるとメロディがふと、ある絵本を指差す。ルミナが描いた藍色の空に、星々が瞬く幻想的な絵本。


「絵本の中の星の大きさや、色合いを基準にできないでしょうか?例えばこの大きさの星が距離から見えれば、これくらいの視力というように」


 メロディの言葉にハッとなる。絵本の緻密な描写力と、美しい藍色の星空が視力測定の新たなヒントになるかもしれない。


「それは素晴らしいアイデア」


 アランも発想に感嘆の声を上げてすぐに、ルミナの絵本の絵を参考に視力検査の仕組みを考案し始める。視力検査の仕組みを考案していく中で壁にぶつかる。


 正確な図形や文字を繰り返し、均一な太さで描くための道具がこの世界には存在しなくて、羽根ペンでは均一な線を描くのが難しく木炭ではすぐに擦れてしまう。


「芯に黒鉛を使った鉛筆というものがあったけれど」


 呟くとアランの目が鋭く光る。


「なるほど、 硬度が高い魔力炭を加工して芯を作ってみよう! 木で包めば君の言う鉛筆に近いものが作れる!」


 工房に戻り、新たな発明に取り掛かった数日後。工房からは削る音が響く。アランが誇らしげに持ってきたのは故郷で使っていたような鉛筆。

 なめらかな書き心地はこれまでの筆記具とは比べ物にならない。絵を描いた甲斐がある。


「これで、視力検査表も正確に描けるわ」


 ルミナは大喜びで鉛筆を受け取り、試し書きをする。


 道具が生み出す可能性に鉛筆という新たな筆記具が、日常に足跡を刻み始めた。


「視力検査表、完璧。藍色の星の濃淡で細かな視力の違いまで分かるようになったもの」


 工房に響き渡るのは鉛筆で丁寧に描いた、様々な濃淡の藍色の星が並んだ検査表は初めての正確な視力測定を可能にした。


「これで、一人ひとりにぴったりのレンズが作れる。メロディ、ありがとう」


 心から感謝し、知識がなければ精密な視力測定は不可能であった。


「いえ、皆さんの協力があったからこそです! あとは、視力に合わせて、アラン様が作ってくださったレンズをフレームに組み込むだけですよ」


 メロディの瞳は完成への期待でキラキラとなる。

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