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15準備ならわたくしが全部やります。お母様はただ、この素晴らしい折り紙という文化をもっと広めるお手伝いをしてくださるだけでいいのよ

 ささやかな趣味は娘の才能によってまた一つ、この国の文化を豊かにする新たな扉を開こうとしている。ふふッと笑う。そんな午後。


「お母様!見て! この鳥ちゃ〜んと飛ぶのよ!」


 ルミナが教えた折り方を少しアレンジして作った紙の鳥を、庭で飛ばしている。ひらひらと舞いながら紙の鳥は風に乗って、生きているかのように飛んでいく。


「まあルミナ。すごい。私が知っている折り方よりもずっと軽やか」


 思わず拍手。娘の才能は本当に底知れず。


「でしょう?これなら子供たちもきっと喜ぶわ! お母様、早く折り紙教室を開きましょ! わたくしが先生になってみんなに教えたい!」


 目をキラキラさせて詰め寄ってきた。


「ふふ。そんなに焦らなくてもいいんじゃない?まずはどんな紙がいいかとか、教える順番とか準備が必要でしょう?」


「準備ならわたくしが全部やります。お母様はただ、この素晴らしい折り紙という文化をもっと広めるお手伝いをしてくださるだけでいいのよ」


 熱意にとうとう折れた。


 数日後、工房の広間は子供たちの元気な声で溢れる。ルミナが初めて開いた折り紙教室。教えるルミナのサポート役として後ろから見守っている。


「みんな、今日は折り紙という、遊びを教えてあげるわ。これ一枚の紙が、色々な形になるのよ〜」


 子供たちは目を輝かせる。


「わあ、すごい!」


「じゃあ、まずは舟を折ってみましょうか。お母様が以前教えてくれた水に浮かぶ舟」


 ルミナは大きな紙を使い、一つ一つの工程をゆっくりと丁寧に説明していく。子供たちは真剣な顔でお手本の手元を見つめ、小さな指で一生懸命に紙を折る。


「ここをこうして、次にここを」


「できた! 私の舟!」


 小さな子供たちがそれぞれの舟を完成させ、嬉しそうに掲げる。その中には孫の姿も。


「おばあちゃま、見て! 私の舟!」


 孫が作った小さな舟は少し歪んでいたが、それがまた愛らしく見える。笑顔の輪は広がる。


「次は、あの空を飛ぶ鳥を折ってみましょうか! これは少し難しいけれど、頑張ればきっとできるわ!」


 子供たちはさらに興奮した声を上げて、子供たちの小さな手を取り、一緒に折り方を教えた。


「そう、上手に折れているわね。もう少し、ここをしっかりと押さえて……」


 子供たちが、紙を折ることに夢中になっている姿を見て、胸がいっぱいになる。教えるのも悪くない。


 一枚の紙が子供たちの想像力を掻き立て、集中力を育み、何よりも笑顔を生み出している。アランも工房の入り口から様子を温かい眼差しで見つめていた。


「セレスティーナの持ってきたものは、本当に国を豊かにしてくれるね」


 アランの言葉に頷いた。今後、広がる可能性を考慮して頭に色々と計画が巡る。

 折り紙教室は瞬く間に評判になった。工房の広間は毎週、色とりどりの紙と子供たちの歓声で溢れている。


「お母様!見て!この花、わたくし一人で折れたの」


 ルミナが教えたバラの折り方を完璧に再現して見せてくる。指先は魔法を使うかのように繊細で、紙の可能性を最大限に引き出されていく。


「本当に美しい。あなたの腕は、もう私を超えているわね。あなたが一番の先生よ」


 心から褒め称えた。娘の成長は何よりの喜び。頬が綻ぶ。


「ううん、そんなことないわ! お母様が、折り紙という素晴らしい文化を教えてくださったからこそ、わたくしはここまでできたの!」


 言葉に照れながらも誇らしげに胸を張る。折り紙の評判は子供たちだけでなく、貴族社会にも広がり始めた。

 ルミナの夫であるカイン侯爵が、妻の活動を熱心に支援してくれたおかげ。


「カイン様、今度の夜会でわたくしの生徒たちが作った折り紙の飾りを飾ってみませんか?」


 ルミナがそう提案するとカインは快く引き受けてくれる。よき夫であった。


「素晴らしいアイデアだ、ルミナ。はは。きっと皆、君たちの作品に驚くことだろう」


 夜会当日。会場に飾られた繊細で美しい折り紙の飾りは、貴族たちの間で大きな話題となる。色とりどりの鶴や花が煌びやかなシャンデリアの光を浴びて、幻想的に輝く。


「あら、この紙の飾り何かしら?とても精巧で美しいわ!」


「これは折り紙と申しまして、ルミナ様が教えてくださった一枚の紙を折るだけで作れる飾りでございます」


 侍女たちが説明すると貴族たちは驚きの声を上げた。


「まあ! 道具を使わずに、こんなに素晴らしいものが作れるなんて!」


「これはまさに芸術だわ!」


 感嘆の声。折り紙は瞬く間に貴族の間でも流行し始めた。奥様方が集まっては熱心に折り紙の作り方を教え合い、美しい作品を競い合うように。

 折り紙の広がりは教育分野にも大きな影響を与え始め、子供たちの集中力や創造性を育むために学園の教育課程に折り紙を取り入れることを提案。

 カイン侯爵の後押しもあり、ルミナの提案はすぐに採用された。ばりばりの権力。


「子供たちがね、折り紙の授業を一番楽しみにしているのよ! こんなに面白い授業は初めてです!って、目を輝かせているわ」


 どらやきを食べながら聞く。嬉しそうに報告してくる。


「それは素晴らしいわね、ルミナ。あなたの情熱が子供たちの心を動かしているのよ」


 娘の活躍に目を細める。

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