13冷たくて甘い誘惑最中アイス。ブランコ作成
試行錯誤の末についに赤い豆を甘く、なめらかなあんこに仕上げることに成功。
特定の種の赤い豆を選び、何日もかけて丁寧に煮込み、特別な魔法の粉。重曹の代わりを加えることで独特の舌触りが再現できた。
「できたわ。 お母様見て! これがあんこよ」
ルミナが熱々のあんこをスプーンに乗せて見せてくれて、一口食べると故郷の記憶が甘く優しく、心いっぱいに広がる。
「ああ、ルミナ……これよこれ! この味」
感動に打ち震えているとアランが笑顔で言う。
「よし、あんこができたなら、次は皮だ。どんな道具が必要だい?」
独特のふわふわとした皮を焼くための、薄い鉄板のイメージをアランに伝えるとすぐに工房へ向かい、求める形を完璧に再現した特製の焼き板を作り上げてくれた。
いよいよどら焼き作りの本番。アランが作った特製の焼き板をコンロに乗せ、ルミナが完璧な生地を作り、慣れた手つきで焼いていく。
厨房には甘く香ばしい、新しい匂いが満ち溢れる。
「見て。 ちゃんと膨らんだ!」
ルミナが興奮した声で言い、焼きあがったばかりの皮にたっぷりのあんこを挟み込む。
「できたわ……どら焼き」
言葉とともに目からはまたしても温かい涙があふれ出す。
あんこの完成と念願のどら焼きができた喜びは、家族にとって大きなもので。ルミナの探求心はこれで終わらない。
「あんこをどら焼きに入れるだけじゃもったいないわ。 もっと色々なものに使えそうな気がする」
目を輝かせながら言われ、同感で地球には、あんこを使った様々なお菓子があるので頷く。ルミナが目をつけたのは夏の暑い日にぴったりな、ひんやりとしたお菓子。
「あんこと私が作った冷気の魔石を組み合わせたら、何かできないかしら?ひんやりと甘くてでも重すぎないお菓子がいいわ」
ルミナのアイデアを聞いた瞬間、脳裏に最中アイスの姿が浮かぶ。アイスクリームのような冷菓は存在していたが、あんこと組み合わせる発想はない。
「それは素晴らしいアイデアねルミナ! アランが作ってくれた軽くてサクサクするもなかの皮に、冷やしたあんこと冷気の魔石で冷やした甘いクリームを挟んでみたら……どう?」
試作に取り掛かり、アランは冷気の魔石を組み込んだ特別な冷気庫を作り、あんことクリームを最適な温度に保てるようにしてくれた。
あんこと甘いクリームの配合を何度も調整し、口どけの良いバランスを探す。完成した陽光あんこの冷菓は外はサクサク、中はひんやりとろける甘さで爽やかな陽光の実の香りがアクセントになった、まさに絶品。
特に暑い日には飛ぶように売れ、お店の新たな目玉商品となった。
「うわぁ、最高に美味しいわ! 夏の暑さも吹き飛ぶわね!」
お客さんたちが笑顔で感想を語るのを聞き、喜ぶ。ビジネスの可能性をもたらし、ルミナのアイデアは尽きることがなく。彼女はあんこと様々な食材を組み合わせる実験を続ける。
温かいお茶によく合うあんこ餅や、香ばしいあんこパイなど次々と新しいお菓子が生まれていく。どれもこれも美味だ。分かち合える幸せは最高の贈り物。
「お母様、あんこと焼いたお芋を一緒にしたら、どんな味がすると思う?」
新しいアイデアを話しかけてくる。
「おばあちゃま、おばあちゃま! これなあに?」
晴れた午後、庭で遊んでいた孫が古びた絵本を見せにきた。絵本には木の枝から吊るされた板に、子供が楽しそうに乗っている絵が描かれていて、地球で見たブランコの絵。
「あら、これはね、ブランコ。こうやってギューンと空高く、漕いで遊ぶの」
身振り手振りで説明すると孫の目はキラキラと輝く。子供はこういうのが好きだろうと、頷く。楽しいのはわかっているから。
「わあ! 空、飛べるの!?あたちもやりたい!」
孫の無邪気な願いを聞いて、この子に空を飛ぶような楽しさを体験させてあげたいと思って、夫のアランと娘のルミナに相談してみることに。
「アラン、ルミナ。ブランコで遊びたいって言ってるの。庭に作ってあげられないかしら?」
切り出すとアランは腕を組み、庭を見回す。
「ブランコか。しっかりとした木が必要だな。安全に揺らせるような頑丈な設計も重要だ」
すぐに職人としての顔になって視線は、既に庭の木の選定や材料の強度計算へと移っているようだ。プロだ。
「ブランコってどんな形?絵本だと棒がぶら下がっているだけみたいだけど」
絵本を覗き込みながら尋ねられる。公園にあるような板状の座面と、吊るす鎖のブランコを説明する。自分の時代のときもあまり遊具はなかったが、説明くらいは辛うじてできたのでよかった。
「座る部分が板になっていて、太い綱で吊るすの。えっと、一番大切なのは安定性と安全性。揺らしても倒れない、しっかりと地面に固定された支柱か丈夫な木の枝を見つけること。座面が滑らないように木材の表面を加工する必要もある」
孫が安心して遊べるように安全面について熱心に説明した。危険な経験はさせたくないし、愛情込めて形にする
「なるほど、安定性と安全性か……よし、最高のブランコを作ってやろう!」
力強く頷き、すぐに工房へ向かう。どんな職人よりも正確で美しい木工品を作り出すことができるので期待も大きい。ルミナも目を輝かせながら述べる。
「わたくし、ブランコに合う可愛らしいクッションを作ってあげるわ。陽光の実に似た、黄色と緑の模様はどう?」
「素敵ね! その子もきっと喜ぶでしょうね」
孫の笑顔のために家族皆がそれぞれの得意なことを持ち寄る。




