使者
無事にユグドラシルの本を入れ替える事が終わり、あとはユグドラシルへ向かうだけだ。そう思っていた。
「お嬢様!!」
次の日、朝ご飯を食べていたら執事の人が慌てて入ってきた。えっと、執事の人の名前を聞いていたはずだが、まったく呼ぶことが無かったので忘れてしまった。とりあえず今度も呼ぶことは無いと思うから、執事の人でいいか。
「どうしましたの、カイエン。そんなに慌てて」
そうそう、そんな名前だったか。執事っぽくない名前だって事は憶えてたんだけど、まあどうせ呼ばないけど。
「エルメスから使者が来られました。領主様がおられない時に、どういたしましょうか」
「とりあえず、客室にお通しして。わたくしが話を聞きますわ」
「お、お嬢様が? ・・・かしこまりました。すぐにご用意します」
どうやらライラが話を聞くようだ。けれど、使者ってことは結構重要な話じゃないのか? ライラでいいのか? と言っても、他に誰も居ないんだけどな。ところで、エルメスの街ってどこだろうな。
さすがに部外者の俺達が同席するわけにもいかず、話が終わるまで待つ。まあ、飯は食ってたからそれなりに時間は過ごしたんだが。
使者が帰り、ライラが部屋から出てくる。
「皆さま、お話を聞いてもらってよろしいでしょうか?」
「ええ、構わないわ。急ぎなのでしょう?」
「はい・・・」
使者の慌てた様子から急ぎの用だとは思ったが、俺達に話してもいい事なのか? まあ、聞いてみないと判断つかないんだけど。
俺たちは部屋に入り、座る。お茶の用意もそこそこにライラが話し始めた。
「どうやら、エルメスにオークの集団が現れたようですわ。森に巣くっていたオークが居なくなっていたと思ったら、どうやら他の街へ移動していた様ですの」
「その移動先がエルメスって事か? ちなみに、エルメスってどこにある町なんだ?」
「ここから少し南に下った場所にありますわ。規模としてはそれほど大きくはありません。そのため、衛兵なども少なくオーク相手に対処できていないようなのです」
「私達にそのオークの排除をお願いしたいという事ね?」
「・・・はい。本来は、この街の兵士を向かわせるべきなのでしょうけど、わたくしでは兵を動かす権限はありません。ユーヤならば行ってくれるでしょうが、もし以前の様に強いオークが来た場合では勝てません・・・」
「構わないわ。私達パーティーじゃない。それに、エルメスならワープで近くまで行けるでしょう?」
「よろしいんですの?」
「ええ。ルビーも訓練ばっかりで飽きたでしょう?」
「うむ。拙者も久しぶりに実戦で剣を振るいたいと思っていた」
「ありがとうございます!」
相変わらず俺抜きで話が決まったようでよかったな。




