偽造2
「待ってろって言ってたけど、いつまで待っていればいいんだ?」
「まあ、そんなに遅くはならんだろう」
「夜になる前にはお戻りになるのではないでしょうか」
俺としては20分もあれば戻ってくると思ってたんだけど、すでに1時間くらい待ってる。ルビーやライラは苦にしてないようだが、現代病みたいに暇があればスマホをポチポチしてた俺としてはこういう待ち時間が苦痛なんだが。
そろそろ腹も減ったし、ルゥナには悪いけどいったんこの場を離れようか。
「待たせたわね」
「おかえりなさいませ」
そう思っていたら、ルゥナが戻ってきた。ルゥナはストレージから本を取り出す。本の中身は映らないけど、外側は普通に写真に撮っていったので、それを見せながら作ってもらったのだろう。本物そっくりの本がルゥナの手の中にあった。
「まあ。本当にそっくりですわね」
「確かに。だが、これは木で出来てるんだな」
試しに触ってみると、それは木で出来ていた。ページに見える部分は単純に少しだけ溝が彫られているだけのようで、当然開くことは出来ない。まあ、開いたら普通に割れるわな。
「言ったでしょ、ガワだけだって。それにそもそも鍵が無いと入れない場所に入る人なんてまず居ないでしょうし、これを置いておけばバレないわ」
「確かにそうですわね。今までこの本を見せたという話は聞きませんし」
いつから置いてあるのかは分からないが、恐らく研究者以外でこの本を見ようとする人は居ないだろう。ということで、ルゥナはその本をユグドラシルの本が置いてあった場所に置き、本物をストレージに仕舞う。
これは職員にバレないように行われた。なので、職員は本が元の場所にあると確認してもらいカギを閉めて貰った。
「さすがに暗くなってきたわね。今日はもう屋敷へと戻りましょう」
「では、アキラも居る事ですしワープで送りますわ」
魔力補給係の俺が居るので、ライラは魔力消費を気にせずに屋敷のライラの部屋へとワープする。さすがにこれだけ暗いと道も見えづらい。
「食事は用意してあるようですが、冷めてしまっていますわね」
「問題ないわ。私があたためる魔道具を持っているもの」
ルゥナがストレージから魔道具を出した。それはどうみても電子レンジなんだが。
「これは中に入れたものを温めることが出来る魔道具よ。いっぱいは入らないけれど、いくつか持ってるから冷めにくいものから順番に入れていきましょう」
なんで複数持っているのか分からないけど、便利だからいいか。というか、そういうものがあるならライラの家にもありそうなんだけど、無いのかな。
「こんなに魔道具を・・・。一体、ルゥナはいくつ魔道具を持っているんですの?」
「数えたことは無いわ。いろいろなところから拝借したものだし」
なるほど。いろんな貴族の家からかっぱらってきたってことか。ということは、ライラの家にこの魔道具が無いのはたまたまなのか?
俺たちは順番に料理を温めてもらう。温める役は料理人にやってもらってる。俺達じゃどういう順番がいいか分からないからな。というか、遅くまで待っててもらって悪かったかもしれない。
「便利ですわね。この辺りでは見かけない物ですけれど、どこかで売っておりますの?」
「遠い街で販売されてたものよ。まあ、この辺りまではまだ広まっていないようだけれど、便利だからそのうち広まってくるでしょうね」
「では、その時にはお父様にお願いして一つは買ってもらいましょう」
「一つくらいならあげるわよ」
ルゥナはそう言うと、電子レンジ※実際は電気ではなく魔力で動く を一つ気前よくライラに渡す。
「よろしいのですか?」
「何個もあっても別に使わないもの。構わないわ」
確かに個人だったら何個もいらんわな。




