偽造
「シルフィ。調子はどうだ?」
図書館から出た後、改めてシルフィの様子をうかがう。見た目はいつもどおりに戻っている。
「特に問題はないですよー。とりあえず、アキラから十分にエネルギーを貰えればー」
そう言えば、セフィラ様は結局シルフィをどうしたのだろうか。俺と契約した時まで戻したんだろうか? だとしたら、結構すぐにまたシルフィの調子が悪くなりそうだけど。それによっては、すぐにでもユグドラシルの所へ急がなくてはならない。と言っても、いまでもルゥナとライラが急いでポータルの設置をがんばってくれているから、これ以上急かすこともできないけど。
「エネルギーがあれば大丈夫ならいいんだが」
俺はいつも以上にシルフィに魔力を渡すように念じる。あれ? そう言えば、俺がダダ洩れの魔力をしぼったことがあったっけ。それが原因だとしたら、シルフィの調子が悪くなったのは俺のせいか? うん、とりあえず黙っておこう。その代わり、十分に魔力を与えるようにしないとな。
「というか、エーテルの一部をシルフィの腕に腕輪みたいにつけとくか」
「それって効果あるんですかねー? ぼくって今、アキラと繋がってる線みたいなものからエネルギーを貰っている感じですがー」
「まあ、エーテルはシルフィにとって必須みたいだから、念のためみたいなものだって。どうせ見えないし」
俺はそう言うと、エーテルの一部を腕輪状態にしてシルフィにつける。完全に切り離すことはできないので、細い糸でつながっているような感じだけど。
「あぁ、見えないのに腕が少し重くなった感じですねー。というか、邪魔っぽいんですがー」
「それは我慢してくれ。これで万が一にも離れる事はなくなったからな」
もし、前みたいに調子悪くなって地面にもぐりこまれでもしたら助けられなくなるからな。一応、このエーテルは俺が意識しなければ他の人やものには触れられないから、何かにひっかかったりすることもない。
「本を持ち出す許可が欲しいけど、伯爵様はいつ帰ってくるんだろうな?」
「そろそろ帰ってきてもおかしくはないのですけれど。今回は交渉もありますし、時間がかかっているのではないでしょうか」
「勝手に持ってったらやっぱり怒られるかな?」
「怒られるだけで済めばいいですけど、大変貴重な本ですから、最悪投獄されますわ」
「仕方ない。投獄されてもいいから、勝手に持ち出すか」
「それをわたくしの前でおっしゃられるのですか・・・。分かりましたわ。その時はわたくしも一緒に投獄されますわ」
「え。それはダメだろ。貴族であるライラが犯罪者になるなんて話が広がったら、大事になる」
「それほど大事なのですけど、シルフィの命には代えられませんわ」
「仕方ないわね。どうせ開けない本なら、ガワだけそっくりに作って置いておけばいいわ。しばらく待ってなさい。そういうのが得意な者をすでに見つけてあるから」
ルゥナはそう言うと、街中へと消えていった。いつのまにそんなツテを作っていたのかは分からないけど、こういうときはすごく頼りになるな。
「むぅ。拙者は何の力にもなれん、すまん・・・」
「いや、ルビーは何も悪くないし、旅の途中で魔物に襲われたら戦ってくれるだろ?」
「それは当然だが、拙者もシルフィ殿の力になりたいぞ」
「ユラもなりたいでち」
「ぼくは大丈夫なんですけどねー?」
気合を入れるルビーとユラとは裏腹に、いつも通りお気楽なシルフィに見えた。




