シルフィの頭痛2
1時間ほど経つと、チンピラたちがイライラしはじめた。
「遅いな。いつになったら金を持ってくるんだ?」
「もう一度様子を見に行った方がいいのか?」
チンピラは身代金を持ってこない事に苛立っているけど、俺には身代金なんて用意されてないと確信が持てる。
「えっと、お金はどこに持ってくるように言ったんですか?」
「え、そりゃお前、・・・言ってねぇわ」
こいつは、本当に救いようのない馬鹿だ。ここまで馬鹿だと、むしろ憐れみを感じるレベルだ。最初は見た目で反射的にビビっていた俺だけど、さすがにここまで馬鹿だと怖さよりも馬鹿らしさが上回る。今は落ち着いているが、シルフィの事も心配だし、そろそろ屋敷に帰ろう。
「じゃあ、僕は帰りますね」
「ああ? んな事許すわけねぇだろうが! そんなことも分かんねぇ馬鹿なのか?」
馬鹿に馬鹿にされる。これほどまで腹の立つことはそうそう無いだろう。俺は立ち上がると、チンピラたちを無視して通り過ぎる。
「逃がさねぇって言ってんだろうが!」
「帰るって言っただろ」
俺は向かってきたチンピラ2人の顔面を優しく掴む。
「いててててっ! 何だこの力は! 化け物か!」
「は、はなしやがれ!」
バタバタ暴れるチンピラ達の言葉を無視して少しずつ力を入れていく。
「痛い痛いっ!」
「やめろ! くそがっ!」
チンピラは俺の手に爪を立てたり、蹴ったりしてくるが、エーテルに包まれてる俺にそんな攻撃は通らない。徐々に力を込めていくと、チンピラは静かになってアンモニアの臭いがただよってきた。
「気絶して漏らしたのか」
俺は2人をその場に捨てると、屋敷へと帰る。あいつらを通報して捕まえる必要も無いだろう。これだけ力を見せれば、次同じことをしたら殺されると分かるだろうし。
屋敷に帰ると、ルビーが素振りをしていた。
「遅かったなアキラ。用事が終わったのなら、拙者と模擬戦でもするか?」
「ルビー、シルフィの様子がおかしいんだ」
「シルフィ殿の? 一体、何があったのだ?」
俺はルビーに街で何があったかと伝えた。チンピラの事は簡単に、シルフィの事は詳細に伝えた。
「なるほど? それでシルフィ殿は静かなのだな」
いつもはなんだかんだ雑談が多いシルフィが、今は俺の頭の上で静かにしている。頭の上なので表情とかは分からないが、落ち込んでいる雰囲気を感じる。
「ルゥナ殿にもいてもらった方がいいだろう。今は部屋で休んでいたらどうだ?」
「ああ、そうさせてもらうよ」
俺はおとなしく自分の部屋へと戻った。




