無情な力量差
黒を基調としたドレスを着て、剣を両手に持つ少女。
「やっぱり、精霊の方が面倒か」
榊原はエアリスが精霊であることを看破する。
「俺を追ってこれたのも君が先導したからってとこかな」
榊原は仕方ないと首を振り、腰に差していた剣を抜く。
「まあ、君を持って帰ったら、喜ばれそうだからついでに回収しておくか」
榊原はそう呟き――
気づいたら、姿を消していた。
感情に揺さぶられている静華は視認することができなかった。
しかし、エアリスは榊原の動きを認識できていたようだ。
いつの間にかエアリスの上方に姿を現した榊原。
頭の上から振り下ろされる剣をエアリスは見事片方の剣で防いだ。
華奢に見える細腕一本で榊原の剣を抑えている光景は、エアリスの正体を知らない者が見たら、卒倒することだろう。
エアリスはもう片方の腕で剣を薙ぐ。
榊原はすぐさま後ろに跳び、それを回避した。
「チッ! やっぱり、精霊術は面倒だな。それも上級精霊が使うとなると厄介か」
榊原は舌打ちをしてぼやく。
榊原が【逃げ】の選択をできないのはエアリスがいるせいだ。
エアリスを撒くには、榊原は相性が悪かった。
「ちょっと、手加減してどうこうなる相手じゃなさそうだ」
榊原がエアリスの強さを評価し終わると、気配を変えた。
それは、背筋が逆立つような悪寒。
榊原が何かをしたのだろうか。
静華には理解できる範疇を超えていた。
ただただ、理解できない恐怖を生存本能が知らせ、警鐘を鳴らしてくる。
「やっぱりね」
エアリスは納得したかのように頷く。
「その感じだと、俺の正体をわかっていてここまで追ってきたみたいだな」
榊原は口角を上げる。




