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武器強化

 やり方はわかった。後はやるだけだ。

 一度できたことなんだ。

 できないことはない。

 ただ、あの感覚だけでは、難しかった。

 だが、完成させるまでの順序とやり方、そして、経験があればできないことはない。

 琉海はそういう能力を持っている。

 琉海は二振りの剣を《創造》する。

 二振り剣が両手に顕現する。

 偽りの剣。

 この二本の剣が自分の体の延長だと思う。

 そして、魔力を通す。

 剣に魔力が通っていくのがわかる。

 一度やっていることができないとは思えなかった。

 琉海はさらにここで自然力も流す。

 魔力と自然力が混ざり、マナへと変わっていく。

 マナは魔力の比ではない勢いで流れようとする。

 それを琉海は留まらせる。

 瞬間、剣からキーンという高音の音が聞こえくる。

 まるでモスキート音のようだ。

 ドラゴンは三度尻尾を振ってくる。

 両手の剣が悲鳴を上げているが、琉海はおかまいなしに薙ぐ。

 ピキンッという音が響く。

 そして、ドラゴンの尻尾は空を切った。

 いや、空を切ったのは半ばで斬られた尻尾だった。

 まだ斬られたことに気づいていないのか、傷口から血は流れていなかった。


「なッ!? ドラゴンの鱗を斬っただと!」


 次第に斬られたことに気づいた傷口から血が流れてくる。


「GUAAAAAA!」


 ドラゴンも今更になって斬られた痛みで吠えだした。

 斬られた尻尾は琉海の横に転がっている。

 ドラゴンはそれを見て、瞳に怒りの炎を灯す。

 琉海の片方の剣は柄から先の刀身がなくなっていた。


「一振りしか耐えられないか」


 刀身を失った剣を放り捨て、新たに剣を生み出す。

 二振りの剣から高周波音が鳴り響く。

 二本の剣から異様な圧力を感じたのか、ドラゴンが一歩退いた。

だが、その事実をドラゴンは認めたくないのか、雄叫びを上げる。

 強がりもいいところ。

 それで琉海の足が止まることはなかった。


「GAARRUU!!」


 ドラゴンは唸りを上げ、首を後ろに引き、息を大きく吸う動作をする。

 そして、ドラゴンの口から火炎の咆哮が襲いかかる。

 琉海は片方の剣を薙ぐ。

 炎は剣の一振りで火の粉を残して消える。

 パキンッという音が琉海の手元で鳴ると、琉海は剣の柄を放って新たな剣を顕現させる。

 琉海が歩みを進める中、ドラゴンは唸るだけ。

 観念したのだろうか。

 琉海がさらに近づいた瞬間、再び吠える。

 ドラゴンの声で動き出した三人。

 魔薬によって強化された身体能力。


「避けろ!」


 グランゾアは三人が琉海に襲いかかるのを察知する。

だが、琉海は避けようとはしなかった。

両手の剣を逆手に持ち、地面に突き刺し手を離す。

 刀身に留まっていたマナが琉海の手元から離れることで行き場を失う。

 行き場の失ったマナは刀身を支点に暴走し、爆発を生み出した。

 一気に三人が琉海に襲い掛かるはずだったのだろうが、圧倒的な出力を生み出した爆風によって跳ね飛ばされるようにコロシアムの壁へと突き刺さった。

 爆風に巻き漏れた琉海は――

 砂塵の中から姿を現す。


「なるほど、マナの制御を手放すとこうなるのか」


 予想はしていたのか、驚きはなく、ただ実験を進めているようであった。

 琉海がドラゴンに視線を向け、再び剣を《創造》しようとしたとき、琉海の動きが止まった。

 それも数舜、剣を生み出し、武器強化を行う。


「時間がなくなった。終わらせてもらう」


 琉海はそう呟いた瞬間、姿を消す。

 神速の動きをドラゴンが捉えることはできない。

 自分の頭上にいるとも知らず。

 気づいたときには、もうすでに首が落ちていた。

 一瞬の出来事だった。


「き、君は何者だ……」


 グランゾアの問いに答えることもなく、琉海は走り出した。

 凄惨な爪痕。

 ドラゴンが破壊したことよりも、琉海の残した爪痕の方が多く甚大だったかもしれない。

 そんな闘技場でグランゾアはぽつんと一人取り残された。

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