戦い方
恐怖で足に根が生え、思うように動かない。
グランゾアは目を瞑ってしまい、自分がどうなったかわからなかった。
いや、死を覚悟して、何もできない自分から目を逸らすために瞑ったのかもしれない。
だが、グランゾアが思っていた結末にはならなかった。
視界が暗い中、声が降ってくる。
「おい、あんた。さっきのやつ、どうやったか教えてくれないか」
自分が目を瞑っているせいで暗いのだと自覚するのに数舜かかった。
気づいてゆっくり瞼を開く。
琉海が片手でグランゾアの鎧の襟首を持っていた。
グランゾアの足は投げ出され、引きずられた轍が地面にできている。
「聞いているのか?」
琉海は常にドラゴンに視線を向けつつ、言葉を投げる。
「あ、ああ、すまない」
グランゾアは状況を整理することで頭がいっぱいだった。
「さっきのは、どうやった」
琉海は再び聞く。
琉海はグランゾアに一瞬、視線を向けた。
「口で教えてもできないと思うぞ。それに、あれはドラゴンに効かなかった」
後半は尻すぼみになってしまうグランゾア。
「それはやってみなきゃわからない。教えてくれるのか、無理なのかはっきりさせてくれ」
そう言っている間に再び、ドラゴンの尾が琉海たち迫ってくる。
琉海は片手にグランゾアの鎧の襟首を持った状態で跳躍。
ドラゴンの尻尾を飛び越えるように跳んだ。
「うおッ!?」
あまりの膂力と浮遊感にグランゾアの口から驚きの声が漏れる。
巨体と評される自分を軽々と片手で持ち上げてしまう琉海に、グランゾアは勇者の姿を見た気がした。
そして、軽やかに着地する琉海。
「教えれば、あれを倒せるのか?」
「それはやってみなくちゃわからない。けど、教えてもらわないことには、打開策も思いつかない」
「わかった。教えよう」
グランゾアは説明した。
剣に魔力を通す技法、武器強化。
剣を自分の腕の延長だと解釈し、自分の体のように魔力を巡らせること。
この最初が一番難しい。
できる者はあっさりとできてしまうが、できない者はいつまでもできない。
できる兆しを見せることができるだけで、素質があると判断できる。
そして、次はその魔力を通しているだけではなく、留まらせる。
魔力が通っているだけでは、それは体と変わらない。
魔力を留まらせることで、魔力が性質を帯びる。
帯びる性質は触れている物体によって異なる。
剣であれば、剣の性質に依存していく。
つまり、斬ること、硬いこと。
この二つを強化することになる。
魔力量によってその性質の強さも変わってくる。
さらにここから、魔力を魔法へと昇華させることで属性を帯びた剣となる。
「これが、さっきの技の技法だ」
グランゾアは一息に説明して、琉海の顔色を伺う。
「わかった。じゃあ、離れていろ」
琉海は襟首から手を離し、後ろに下がっていろと命令する。
「いや、無理だ。武器強化はそう簡単にできない。それにできたとしても通用しないことは俺が証明した」
グランゾアの忠告も聞かず、琉海は一歩一歩とドラゴンに近づいていく。




