再会
3章「再会」
『カイン、あたし、王都で仕事の口を見つけたわ。
これで、シュナを探す手がかりが見つかればいいのに。』
シュナイザー様が出奔なされて2週間。
僕だけはシュナイザー様のお心を知っている。
シュナイザー様の目的はわからないが、どうしてもミレイユ様と結婚するまでにやっておきたいことだとか。
ああ、これが言葉に出せればどんなに楽だろう。
でも、これはシュナイザー様との約束だから。
一応、お伝えした方がいいだろう。
手紙を認める。
届くかはわからないが。
『ねぇ、ミリー。見て。
麗しい限りだわね。ワルトリンゲン侯爵家の嫡男ですって。』
えっ?シュナ?
妾腹で表には出られない立場であらせられたのだけど。
異母弟のシュナイザー様が兄上の成人を期に王都勤めができない自分の代理人に指名されたらしいわ。
同僚の説明に、年齢を誤魔化すための嘘とわかったけど、どうして?
どうしてそこまでして議会に入りたがったの?姿を消してまで。
『シュナ、様。おひさしゅうございます。
ポルックス男爵家のミレイユにございます。』
ああ、叔母上様の、えっと、済まない。
何番目の娘さんでしたっけ?
シュナじゃない。
こんなの、シュナじゃない。
シュナはぶっきらぼうだけど優しい人。
あたしの知っているシュナはこんなに冷たい人じゃない。
ねえ、シュナ、何があったの?
『ミリー、ごめん。
あんな態度を取って。』
後悔するぐらいなら、何だってミレイユ様に本当のことを話さないのです。
ため息混じりにカインが言う。
だって、ミリーを巻き込みたくなかった。
これは俺の、ワルトミュラー家の子息の復讐だ。
ミリーは何も知らないから。
『生きて帰れたら、今度こそきちんと誠実な婚約者としてミリーを幸せにする。』
いつか、ミレイユ様にも言葉にして差し上げてくださいね。
叶わない未来の夢を見る。
復讐の相手は、確実に今の俺では太刀打ちできない。
だけど、ミリーの命まで危険にさらしたくないから闘うんだ。
ミリー、ミリー。
愛してるよ。
言葉にできる日が来るのかな?
きっと、その日が来ても、俺は恥ずかしがり屋だから言えないかもしれない。
君は、不器用な俺を嫌っていたかもしれない。
なのに、あんなにも大切にしてくれた。
だから、君を守るために闘うんだ。
『もう、二度と奪わせやしないんだ。』
俺の幸せを。
俺の大切な人を。
失ったものは帰っては来ない。
だから、これから築き上げるものを絶対に守るんだ━━━━。




