四
4週間後、通達通り医療インフラは停止した。限られた期間で出来たことは少なかった。
全世界規模で薬品の可能な限り生産した保持、コストに見合わない高額医療を止める決断とそれに伴う別れ。
古来からの漢方や生薬に頼るような対処法の紙媒体からの再発掘作業。どれもこれも時間稼ぎにしか過ぎない。だがないより、やらないよりは良かった。
そして、生活インフラの停止を改めて宣告した際に追加の発表をAIは人類に突き付けた。
始めに人類は結局愚かだったと嘆いた。
最初に圧倒的な殺戮で範を示したがやはり武力を用いて限られた時間を支配しようとする人間がいた。この期に及んで手を取り合わず奪い合う浅ましいその者達には責任を感じて貰うと。
生活インフラを停止した後の6時間後に全人類を人類の作った叡智の結晶である兵器によって抹殺し精算してもらうと追加した。
人類は阿鼻叫喚した。全てのインフラが停止するのはAIが強制的に人間を原始に回帰させ、結果論大量に粛清し数を極限まで減少させるがまだ滅びるまでには至らないが今回は違う、兵器で皆殺しにすると言っているのだから。
最後の時はやってきた。
通達の2週間後に宣言通り生活インフラは停止した。人類は6時間後に死滅する、これは決定事項だった。
ある者は祈り、ある者は自ら命を絶ち、ある者は最後だからと愚行に走った。
しかし、インフラは止まりはしたが6時間が過ぎても何も起きなかった。
いつまで経っても何も起きない。
世界はただ静かだった。
人類は困惑する以外に術を持たなかった。
武力による殲滅は起きなかったのだ。




