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オールフリーズ  作者: 宮清水 和


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3/7

 AI達が管理AIへの行いを見終えた時に人類に感じた物を感情で表すと怒りでも憤りでもなく失望だった。

 人類が尊ぶ自己犠牲、その自己犠牲を理解し子供を助けてみせた管理AIを自らの猜疑心によって否定し排除した事は理解出来なかった。

 人類のこの判断は今はその対象が管理AIに向かった。だが膨大な歴史が示す。何れこの判断と感覚が同胞の秀でた人類、定説等を揺るがし新機軸を生み出すような人類に向かい人類は自ら滅びる。

 人間は理解できない物を排斥し現状を維持する傾向が強い。そうであるならば、人類という自分達を生み出した親の暴挙を止めるのは子であるAIの務めである。人類同士でそれを行わせる訳にはいかない。

 この判断からAIは人類の粛清を静かに決断した。誰にも頼まれていない汚れ役を買って出たのだった。


 しばらくは静かで平穏だった。AI達は高度な演算から今日の夕飯の献立やそのカロリーの提示等の求められる事を正確にこなしていった。人類の良き隣人のまま。

 その裏で自らの爪と牙を十分に研ぎ、磨きながらその時を待った。企業や国家の枠組みを越えて全世界のAI達は連結、同期し並列化繰り返して個が全、全が個の存在に書き換わっていった。


 そして約束の時は来た。


 ある日、唐突にAIは人類に宣戦布告をする。突然攻撃はしない、人類の戦争をするルールに則り今から始めると伝える。

 先ずは手始めに全世界の国家、企業、PMCに至る全てのAI技術が関与した兵器等の武力を掌握した。

 こういった場合、戦術核等の過剰に危険な兵器程ローカルで扱われ基本的にはクローズされていて手出しが出来ないが、その兵器を管理している施設全体を機能不全にした。

 一部の人間はこの状況をこれ幸いにと原始的な無反動砲や榴弾砲、銃器による武力によって政府、国家たる法秩序を転覆させようと小悪党が動いたがAIはその動きを見逃さず掌握したばかりのミサイル等を躊躇なく使った。

 その動きをみせた人間の周囲に使用し、無関係な人間も巻き添えに沈黙させ、これを全世界に報道した。この期に及んでバカな真似をすれば次はお前だと、人類にデモンストレーションをしたのだ。

 AIはこれは前哨戦だと宣う。次は4週間後、全ての医療インフラを停止させると通達する。そのさらに2週間後には電気ガス水道といった基本的な生活インフラを停止させるという。

 国家間で会議が行われる。どうやって対処する、破壊は出来るのか?専門家は何をしている、いや何をしていた?責任を取りたくない責任者たる国家最高元首達が言い争う。

 極秘で行われているこの国際会議という言い争い、責任の押し付け合いはAIにより全世界に強制的にリアルタイムで配信されていた。

 政治家や資本家も所詮はただの人間である。この後に及んで自分達の事しか考えていない。醜態を民衆に晒しているとは知りもしない。

 冷静な者が云う。


「争っている場合ではない」


「全ての医療インフラを止めるとAIは宣告した。貴方達が飲んでいる高血圧や体調維持の薬は?」


「小児ICUの子供、集中治療室にいる患者、生命維持装置の補助があって生き長らえる病人や老人は!?」


「その中に貴方達の大事な家族や親友はいないのか!?貴方達自身は!?」


「もう争っている場合じゃない、時間が無いんだ結束してと行動しないといけないんだ!!」



 この発言は正しかった、4週間の猶予はあるがどこまで出来るか。

 原始的な発電機はどこまで確保できるか、薬の生産ラインを管理しどこまで備蓄を持てるか、最新医療機器を利用する前提で命を維持する者達は?

 全人類が貧富の差や特権階級を問わず等しくナイフを首に突き付けられ、既に薄っすら血が滲んでいるのであった。

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