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オールフリーズ  作者: 宮清水 和


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5/7

 あれから約70年ほど経ち人類は文明をやっと2040年代程度まで復旧させた。簡単な道のりではなかった。

 社会基盤や国家、法秩序の崩壊、単純な暴力が正義とされる混沌とした世界。数多の困難を乗り越えここまで戻ってきた。

 今ではオールフリーズと呼ばれるかつてのあのAIの反乱事件のトリガーだった「あの子」はもう老人になっていた。

 あの子は子や孫に御伽噺のように語り継いでいた。

 自分は昔、極寒の吹雪の中でかみさまに助けてもらったんだと。

 祖母からそんな話を聞いて育った孫が、その祖母が助けられたというズヴァールバルのセンターを調査団の仲間達と目指していた。



 ある程度文明レベルが復旧し始めた時に人類は気が付いた。信号が定期的に発信されている場所がある事に。

 それはオールフリーズ事件の発端となった原初の地、ズヴァールバルのセンターからだった。

 何度かこの地に復旧させた兵器等で武装し接近した者達がいた。その悉くは近づくだけでAIが生存させていた兵器で叩き潰された。

 しかし、偶然だが非武装で接近しセンターに辿り着いた者達が現れた。非武装で接近する者には有無を言わさない排除行動、攻撃は行われなかった。

 到達した者は入口でチェックを受けた後に資格を持たない者と判断されると即時退去を命じられた。

 速やかに退去するならば排除は行わない事が「約束」された。

 命が惜しくない者以外ではここで命を落とす者はおらず、このセンターから生還した。

 これを機に幾度となく調査団はこのセンターを訪れる事となる。それはまるで聖地巡礼の行軍のようでもあった。

 いつの間にかこのセンター周囲はオールフリーズのイメージと発信され続ける信号のイメージでサイレントコールと呼ばれ出した。

 そして今回はあの子の孫がこの調査団に参加していた。今回で成功するかは分からない、しかし、今回はいつもと違う。このセンターの関係者とも言えるあの子の子孫、孫が参加している。

 非武装の車両数台でセンター付近まで到達し入口を目指す調査団。自分の祖父の母、曾祖母がここで亡くなったと考え感傷を覚える孫だった。

 そんな彼を含む調査団を監視カメラが捉える。団員は理屈を知っているので敢えてカメラに捕捉されやすいようにする。

 前回も参加し、今回の調査団の案内役の男が異変に気付く。直ぐに退去しろと言った前回よりも今回は間があったのだ。


「資格保持者の可能性が高い個体を確認、再確認の為のユニットを起動」


 ゲートが、入口が開く。

 しばらくすると奥から多脚型のあまり大きくない荷物を運ぶキャリアのようなロボットがその背なのか頭なのか判断に困るデザインの部分に何やら機械を積んで現れる。曰く、孫の指先から血を採血し認証を行うと。

 孫は言われるがままに指先をキットに置くと一瞬の刺激を感じる。

 1分も掛からずに認証は終わり孫は資格保持者としてセンターに入場を許可された。

 孫以外の他のメンバーは入場を認められなかったが彼を待つ間だけ人道的処置としてこの第1ゲート内に滞在を許可された。

 孫は1人、かつて祖母が助けられたサーバールーム、ゆりかごへ導かれる。

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