北の学院vs西の学院
正月投稿出来なかったために少し遅くなってしまいましたが、新年明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
さて、4月から投稿を開始してなんとかここまで続けて来られましたが、自分としては悪くない評価をいただいていると思っています。
最近はpv数もよく伸びてきているので、このまま評価も増やしていって、せめて今年中に日間ランキングに載ることを抱負として頑張っていきたいと思っています。
炎の弾丸が猛烈な速度で和輝へと迫るなか、まともに反応出来ていない和輝ではなく、少し離れた位置にいた迅が阻止するために動いた。
「『魔力結界』!」
ズドン!ビキッ!
迅が咄嗟に『魔力結界』を和輝の頭上に張ることで、炎の弾丸を受け止めた。
しかし、かなりの硬度を持っているはずの『魔力結界』は、受け止めたと言っても半分以上が貫通されてしまっていた。
「やっぱ火力は強いな、たった1発で貫通されかけるとは……」
迅も銃に関しての知識があったからこそ、今の『魔力結界』を強めにしたのだが、それでも予想以上であったことに驚いていた。
(威力も厄介だが、1番の問題はあのゲートだな。スタート地点は分かっていても神崎の正確な位置まで分かるはずは……まさかそういう事か?)
先ほどのゲートについて確信めいたものが思い浮かぶなか、迅がいなければ撃ち抜かれていた和輝が、冷や汗をかきながら近付いてきた。
「ありがとう、ジン。助かったよ」
「礼はいいから、周りで発生する力に集中しろ。俺の予想が当たっていれば、立て続けに狙われるぞ」
「わ、分かった!」
「ジンくん、あそこ!」
迅が注意を促してすぐに、凛が先ほどと同じゲートに気付いて声を上げた。
凛の指差す方へと向くと、さっきと同じく3メートルくらい離れていたものの、今度は頭上ではなく胸の高さの所にゲートが生じていた。
そして、その面は今度は迅の方へと向いており―――
ヒュオッ!
氷の弾丸がゲートの中から飛び出してきた。
「今度は俺か!」
ギィン!
迅は自分に向かってくる氷の弾丸を、今度は『魔力結界』で防ぐのではなく、サラレスで斬り払った。
しかし、今度はゲートが一気に5ヶ所まで増えてしまい、そこから迅と和輝目掛けて次々と炎と氷の弾丸が撃ち出されてきた。
「セイドラ!」
「『雷魔硬壁』!」
集中的に狙われた2人だが、迅はセイドラも出して二刀流で斬り伏せていき、和輝は自動迎撃できる『雷魔硬壁』を使って防いでいった。
そして、和輝たちが近くに北沢たちがいると考えて視線を巡らせるなか、迅は弾丸を防ぎながらも今の状況から色々と推測を立てていた。
(撃ち出してくるのはあの北沢。ゲートはおそらく向こうの副会長。勇者でないなら能力も大したものじゃないはず)
そう考えた迅が観察した限りでは、ランダムで飛び出してきてはいるが、ゲートは5ヶ所以上には増えていないうえに、先ほどから迅か和輝の方にしか飛んできていなかった。
「くそ!一体どこから攻撃してきてるんだ!」
「ダメだ!こっちからは全然見つけらんねぇぞ!」
各々が周りに目を凝らして探しているのだが、何も見つけられずに一方的に攻撃され続けている事で、和輝と剛を中心に焦りが見え始めていた。
そんななか、観察を終えた迅は次の手を打つために、瞬時にセイドラを逆手に持ち替えて地面へと突き刺し、サラレスで目の前の何も無い場所を振り抜いた。
「『ブレイズ・ウォール』、『フローズン・キャッスル』」
迅が立て続けに唱えた直後、ゲートの目の前に炎の壁が出現し、地面に突き刺したセイドラからは氷が張られていき、迅たちを囲う氷の砦へと変化していった。
ひとまずの壁を作り終えた迅は、氷の中に閉じ込められている状態なので、まずは明かりと暖をとるためにいくつものサラレスの炎を壁際に発生させた。
そこまでしてようやく落ち着いてきた和輝たち。
ちなみに外ではいまだに攻撃が続いているのだが、氷の弾丸は炎の壁が瞬時に溶かし、炎の弾丸は氷の砦でキッチリと防いでいた。
和輝たちが落ち着いたのを確認した迅は、自らも一息つきながら全員に声をかけた。
「とりあえずこれでしばらくは問題ない。それにあのゲートも入ってこれないだろうから安心しろ。まず今の攻撃だが、おそらくはあのルイーナって女の能力で俺と神崎だけを捕捉して、かなり離れた位置から一方的に撃ち込んできてるはずだ。だからあいつらは近くにはいないと考えていい」
「そんな事が出来るのか⁉︎」
「待ってジンくん、なんでルイーナさんの仕業だって分かるの?」
和輝たちが迅の推測に驚くなか、麗奈がふとした疑問を尋ねてきた。
「今朝あいつは突然俺の前に現れたんだ。今だから分かるが、あいつは【転移石】じゃなくて自分の能力で移動してきたんだ。おそらくは対象の元へゲートを繋げるような能力だろうな。だがさっきから狙われてんのは俺か神崎だけ、しかもゲートは五つまでしか作れてないっていう事は色々と制限があるはずだ」
「なるほど、じゃあ向こうはジンくんと和輝くん自体に何かしらのマーカーを付けていて、それを目印にゲートを繋げてあの人が撃ち込んできてるってことだね」
「触られたりした訳じゃねぇが、たぶんそうだ。だが対象のすぐ近くには開けないみたいだからな、俺なら対処出来るし、神崎もあの防御技を使えば問題無いはずだ。でも一応は警戒しておけ、まだどうやって対象にされてるのかは分からねぇからな」
迅は半ば確信しながら自分の推測を伝えた。
しかし、迅の中では〝いつの間にマーカーを付けられてしまったのか″という疑問も浮かんでいた。
ルイーナと密会した時なんかは全く油断してなかったうえに、先にも述べた通りに触れられてすらいなかったのにだ。
ここにも何かしらの条件があるというのは分かるのだが、迅ですらも気付けないという事がかなり厄介であった。
しかし、迅はこのまま座して待つつもりはなく、それはずっと思考していた繭も同じのようだった。
「ん、でももし2人以外が狙われないなら大した問題にはならない。あとは向こうを見つけるだけ」
「その通りだ。俺もやっとあいつらの力を捉えたから、お前らにも分かるようにしてやる。場所を把握したらすぐにそこへ向かって、今度は俺たちの反撃だ」
〝賭けに出る″、そう言外の意味を込めて伝えた迅は、セイドラの能力で掌大の氷塊を作り、それを持ったまま氷の砦と炎の壁を解除して外へと出た。
〈北沢サイド〉
ルイーナの能力であるゲートに向けて撃ち込み続けていた北沢は、それを止めて手に持っていた大型の二丁拳銃を腰のホルスターにしまった。
「だいぶ撃ち込んだし、挨拶はこんなもんで充分か」
異世界でも凶悪な殺傷武器で滅多打ちにしながらも、〝仕留めきれてはいないだろう″と予想している北沢。
そして、〝次はどうするか″と考えていたところへ、ずっと見守っていたカグニースが歩み寄った。
「会長、あの白髪の奴だけは残しといてくれよ。あいつだけは俺の手で潰してやりてぇんだ」
顔を険しくさせながら握り拳を作るカグニース。
どうやら迅にあっさりとやられてしまった事がかなり効いているようで、その表情からはかなりの悔しさが滲み出ていた。
「分かった分かった、あいつらがここまで来れたら好きにしろ。で?聞いてなかったが誰をマークしてたんだ?」
「1番厄介だと思われるジンという方と、カンザキ様です」
カグニースに適当な返事を返した北沢は、今更ながらにゲートの対象を聞いた。
それに対して淡々と答えたルイーナだったが、目の前にいる北沢が頭に手を当てて嘆息したことで、〝やってしまった″と理解してビクッと体を強張らせた。
「おいおい、1番防がれそうな奴らじゃねぇかよ。せっかく奇襲出来るんだからもっと鈍臭い奴をマークしとけよ。1人でも減らしとかねぇと後が面倒だろうが」
「……申し訳ありません」
蔑みの目を向けられて批難されたルイーナは、体をブルッと震わせながら平謝りした。
「……まぁいい、そしたらラムスと一緒に行って、別の奴をマークしてこい。そしたらまた一方的に撃ち続けて順番に落としていくからよ」
「分かりました」
「ラムス、今から派手な音がした方向に向かえ、ただし、あいつらにバレないように行動しろ」
「あーいさ!」
北沢の命令に敬礼しながら元気良く返事したのは、褐色肌で小柄なラムスという女生徒だった。
「ルイーナ、どっちでもいいからゲートを繋げろ」
「はい」
「さて、今までのやつはどうせ防がれたんだろうが、これの速度に反応出来るか?」
ルイーナにもう一度ゲートを開かせた北沢は、ニヤリと笑いながら右手だけに拳銃を持って構えた。
すると、拳銃の先端からバチバチと電流が走りはじめた。
そして、その引き金に指をかけ―――
ヒュオッ!
「っ⁉︎」
いざ発砲しようとしたところで、目の前のゲートから氷塊が飛び出してきた。
ズドォン!
とてつもない勢いで飛び出してきた氷塊は、北沢の制服を掠めながらカグニースとラムスの間を通り抜けて、そのまますぐ後ろにあった巨岩に衝突した。
急な事で反応出来なかった北沢たちだったが、奇跡的に誰も当たってはいなかった。
しかし、氷塊が衝突した巨岩を見るとバラバラに砕けており、自分たちが本当に奇跡的に助かっただけだというのを嫌でも認識させていた。
「あっぶねぇ……おい!全員移動するぞ!たぶん場所が割れた!あいつらが来る前に拠点を変えるぞ!」
「待てよ会長!あいつが来たら好きにしていいって言っただろ⁉︎」
冷や汗を垂らした北沢がすぐに指示を出したのだが、迅にリベンジするつもりでいるカグニースが待ったをかけた。
止められた北沢は、私怨のために反論してきたカグニースに怒りのこもった目を向けて、容赦なく殺気を叩きつけた。
「くだらねぇ脳筋思考も大概にしとけよ?いいか、いくらこの世界に来たばかりとは言ってもあいつらは勇者なんだよ。俺だって全員まとめてだと勝てるとは思えねぇ。それをお前が出来るってぇのか?」
「それは……」
絶対的強者である北沢に殺気と共に威圧の言葉を向けられたカグニースは、その無茶と言える内容を聞いて、返答に詰まってしまっていた。
「敵に勝ちてぇんなら、くだらない私情に拘るな。そんな戦い方で生き残れるほど、この世界は甘くねぇんだからよ」
何も言い返せないでいるカグニースに、自分の経験から培った価値観を吐き捨てる北沢。
そしてカグニースはというと、据わった目を向けてくる北沢の実感のこもった言葉に、ただ頷くことしか出来なかった。
カグニースが頷いたのを確認した北沢は、振り返って移動するために歩き始めた。
「分かったならとっとと移動を「歯ぁ食いしばれや」っ⁉︎」
北沢がいざ指示を出そうとした瞬間、目の前に繭を背負った迅が拳を構えながら現れた。
そして、驚くことしか出来ないでいる北沢の左頬目掛けて、迅の右の拳が迫った。
ガン!
まともに喰らった北沢は、弾かれたように吹っ飛んで木々の奥へと消えていった。
「会長!」
「次はお前たちだ、繭!」
「『黒霧』!」
ルイーナが北沢を心配して向かおうとしたところで、迅から指示を受けた繭が黒いモヤで辺り一帯を包んだ。
「なっ⁉︎」
「うわ⁉︎何これ!」
「クソが!こっちの視界を塞いで一方的に攻撃しようってか!」
黒いモヤに包まれたことで味方の位置すら把握できないルイーナたちは、下手に動くことも出来ずに身構えるしかなかった。
そして10秒ほど経ったところで黒いモヤが霧散していき、ようやく戻った視界に入ったものに驚愕することになった。
「げっ!」
「勇者も含めて揃い踏みかよ……」
そう、カグニースが思わず呟いたように、西の学院メンバー全員がこの場に揃っていたのだ。
「予定とは少し違ったけど、これで分断させることが出来た」
迅の背中から降りた繭は、自慢気に胸を張っていた。
ここで、2日前の対抗戦の作戦会議まで遡る。
「そしたらチーム戦の内容次第では、神崎以外の俺たちで他の奴らの相手をするぞ。理想としてはあの北沢の視界の外まで他の奴らを誘導したいところだな」
「それなら、ジンくんに協力してもらえれば私がその機会を作る」
「へぇ、随分と自信があるんだな」
「もちろん。作戦としてはね、私たちが向こうを見つけたら私の能力で目くらましをするから、その間にジンくんに北の勇者を移動させてもらう。これなら確実に邪魔されずに分断出来ると思う」
繭は自信満々に作戦内容を話し、それを聞いた迅は少しだけ考え込んだ。
「なるほどな……よし、繭の作戦で行くぞ。神崎も問題無いな?」
「もちろんだ!1対1なら絶対に勝ってみせるよ!」
「その意気だぜ、和輝!」
迅の確認に、やる気に満ちた返事を返す和輝。
そしてそのやる気に充てられた剛が、和輝の胸に拳を当てながら盛り上がっていた。
「あれ?ねぇ、繭。目くらましをするくらいなら、ワイバーンを倒した時みたいに串刺しにすればいいんじゃないかな?」
凛は戦いに関するものは基本任せるしかなかったので見守っていたのだが、〝どうせならあれを″という感覚で、繭が以前に使った『黒針』を指摘した。
しかし、繭は申し訳なさそうに首を横に振った。
「ごめんね、凛。それは出来ないの」
「え?どうして?」
〝何か制限でもあるのかな?″と純粋に思った凛が尋ね返すと、繭は瞳をキラリと輝かせながら答えた。
「男と男の真剣勝負だもの、それを邪魔したら面白いものが……こほん、和輝くんの決意が無駄になっちゃうからね」
「…………はぁ〜」
いつもの癖で本音を隠しきれていない繭の考えを察して、深いため息をついた凛。
漏れた言葉から察するに、勇者同士の対決を見たいようだった。
このやり取りは迅たちも聞いていたのだが、〝せっかくの強者と戦える機会だから″ということで、分断させるだけとなった。
ちなみに、〝北沢以外のメンバーには使ってもいいんじゃないか″という話も出たのだが、迅が〝敵の連携を崩す練習になるから″と言ったことでお流れとなった。
ただの練習相手として見られたことで瞬殺は避けられたルイーナたちは、絶対的支柱である北沢が殴り飛ばされたことで焦りを見せていた。
そんななか、分断させることに成功した迅は、北沢が吹っ飛んだ方を指差しながら和輝に声をかけた。
「神崎、あいつは向こうに吹っ飛ばしておいた。誰にも邪魔させねぇから、確実に倒してこい」
「分かった!」
「負けんじゃねぇぞ、和輝!」
「頑張ってね、和輝くん!」
「おう!」
剛と麗奈からも声援を貰った和輝は、身体強化をかけて走りだした。
しかし―――
「させませんよ、『マッド・ティエラ』!」
片目を布で覆っている男がステッキのようなものを一振りして、和輝が進もうとしていた地面をドロドロの沼に変化させてしまった。
「くっ!」
なんとか沼に入り込む前に跳び上がった和輝。
しかし、着地するであろう場所を見るとそこも沼に変化しており、その事に和輝は表情を強張らせた。
〝このままでは沼に捕まる″と焦った直後、この場で1番頼もしい男の淡々とした声が響いた。
「『魔力結界』」
和輝が着地する前に迅が『魔力結界』を空中に張り、即席の足場を作った。
それに着地した和輝は、迅が木々を避けられるような位置に作った『魔力結界』に跳び移りながら移動し、山奥へと進んでいった。
「なっ⁉︎」
まさかの方法で沼地を回避されたことに、思わず声をだして驚く片目の男。
「さすがに魔力そのものは柔らかく出来ねぇだろ?」
ニヤリと笑みを浮かべながら片目の男に声をかける迅。
するとそこへ、迅の死角を突くようにして褐色肌の女、ラムスが飛びかかった。
「厄介な君は眠っててね!」
身体強化をかけているラムスは全身に白い光を纏いながら、仮◯ライダーばりの華麗な跳び蹴りを放ってきた。
「させない、『黒繭』!」
「っ⁉︎うぁいたー!」
迅に向かって勢いよく足を突き出していたラムスは、繭が瞬時に作り上げた『黒繭』に衝突し、自らの蹴りの反動を受けて涙目になった。
足の痛みで地面に転がったラムスに対して、その隙を逃すまいと剛が右の拳を引いて構えた。
「『裂傷撃』!」
ボッ!
剛が拳を突き出した瞬間、衝撃波の塊が飛び出した。
「うわっと!」
狙われたラムスはすぐに体を起こし、地味に痛む足も使ってその場から退避した。
そして、器用に片足で着地して、自らの足を回復させるために詠唱を始めた。
それを見た剛は、阻止するためにもう一度右の拳を引いた。
「ふふ、ひひ、させないんだな、『ホワイト・スプラッシュ』!」
しかし、丸々と太った男がその体型には見合わない短い杖を振り、真っ白な水を剛へ飛ばした。
ラムスに対して集中していた剛は驚くだけで咄嗟に動くことは出来なかったが、代わりにもう1人の守り手が緑色の長杖を構えていた。
「『ワールブロウ』!」
凛が詠唱した直後、長杖の先から突風が発生し、剛に迫っていた白い水を吹き飛ばした。
「きひひ、わてのも防げるもんなら防いでみんさい。『ベ〜リ〜タ〜ス〜、ヴィ「『イグニッション・レイ』!」ぎゃあああっ!」
今度は背が低い男が片眼鏡を光らせながら詠唱しようとしていたのだが、大仰なポーズを取っている間に麗奈の放ったレーザーを喰らい、着弾と同時に起こる爆発に呑まれていった。
そして、たった1発で白目を剥きながらドサッと倒れこんだ。
ちなみに制服の仕様に関しては北の学院でも変わらないため、爆発を受けた制服はボロボロなうえに煤けており、見るも無惨な状態になっていた。
「まず1人!」
麗奈が次の標的を決めるために視線を巡らせたことで、ルイーナたちは思わずたじろいでしまった。
「さて、俺たちも早めに終わらせようか」
そう言いながら指の関節を鳴らしている迅は、残っている北の学院メンバーに不敵な笑みを見せていた。
感想やレビュー、評価などをお待ちしています。
※1月6日、終わりの部分がイマイチだと感じたので、加筆修正させていただきました。




