第7話
あれからミルラに、マナーの特訓に付き合ってもらい、お茶会の知識は叩き込んだ。だけど、ただのお茶会じゃない。王族主催のお茶会なのだ。
お茶会の招待状を渡された時、断るつもりだった。……少なくとも、最初は。
中庭で招待状を差し出され、硬直する。
「ボーン殿下、私のような庶民が参加して良いのでしょうか」
「誰にでも開かれているお茶会だ。それに、君はただの庶民じゃない。国で貴重とされている、光属性の娘なんだ。堂々としていれば良い」
「それに貴族令嬢に混ざるなんて、礼儀作法が……」
「ミルラと練習してただろ? ジュニパーと練習していたミルラなら、安心だ」
「あと、お茶会用のドレスなんて、持っていません」
ボーンは少し考える。
「そうか……。それなら、私からドレスを贈ろう」
断る口実を失ってしまった。
「いつもジュニパーが、お茶会で中心になっているから、困ったことがあれば頼れると思うが……」
「参加します」
ジュニパーの名前が出ると、条件反射で反応してしまった。
(きっと、お茶会のジュニパー様も優雅で美しいんだろうな)
「一人でお茶会行くの、怖いな……」
「なら、俺がついていこうか?」
教室で机に突っ伏して独り言を呟いていたら、いつの間にかザインが横にいた。
「ありがとうございます。でも、ザイン様はお茶会に向いてなさそうですよね……」
「なっ!?」
「それはそうだろう。筋肉と体力だけの君が、繊細な場には似つかわしくないよ」
気づいたら、ユエまでいた。
「僕が一緒に行ってあげてもいいよ?」
「もう少し、気楽に参加したいので、ユエ様とはちょっと……」
「ん?」
ため息をついた。
(ミルラには、人が多い場は無理だと断られてるしな……)
「私が一緒に行こうか?」
そう言ったのは、いつの間にか近くに来ていたボーンだった。
「えっ!? 殿下と!?」
(ジュニパー様とは!?)
「ジュニパーは主催者側として、最初からいるんだけど、私は邪魔になるから後から来るよう言われてるんだ」
(願わくは、ジュニパー様と行ければ良いなと思ってたけど、元々無理だったか……)
「良ければ、一緒に行かないか? 君のドレスも出来上がったし、着替えなども、こちらでメイドを用意できる」
そのセリフを聞いた教室中の生徒から、ざわめきが起こった。
(殿下からの誘い、断るわけにいかないものね……)
「よろしくお願いいたします」
お茶会当日、城のメイドに着飾られ、ボーンに連れられ、お茶会を訪ねた。
会話の輪の中心にいたジュニパーが、こちらに気付き、手にしていたティーカップが、僅かに揺れる。二人を見つめたまま、呆然としていた。
「何故、ボーン殿下がホノカ嬢と……?」




