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第5話

 先日行われた、魔法学院中間テストの成績が貼り出された。私は、微妙な順位だった。極端に悪くはないし、良くもない。


「ジュニパー様、殿下を差し置いて1位ですって」

「婚約者なんだから、少しくらい殿下に花持たせればいいのに」


 クラスの女子達のヒソヒソ声が聞こえる。


(ジュニパー様……、1位なんてやはり凄い方。あの方のようになりたいな……)


 返却されたテスト用紙を机に並べて、ため息をついた。


「あら? ずいぶんと低い点数ね」


 背後から声を掛けられ振り向くと、ジュニパーが腕組みして立っていた。


「マナーや教養系が、壊滅的ね」

「庶民……なので」

「あ~ら、そうだったわ! 田舎の小娘が、いくら図書館で『馬や鹿でも分かるマナー&教養本』を読んでも、効果ありそうにないわよね。図書館にでも行って攻略……本と会うといいわ!」


 そう笑いながら、ジュニパーは去っていった。


「つまり、図書館に行って『馬や鹿でも分かるマナー&教養本』を読めって、言ってるようにしか聞こえないな」


 入れ違いに、今度はミルラが現れた。


「なるほど! ジュニパー様のアドバイス、しかと受け止めました」

「まあ、そんなに重要じゃない学科だと思うけどね」



 学院の図書館には初めて入った。薄暗く人が全然いない。

 お目当ての本を見つけ、手に取った。すると、近くを通った眼鏡の青年が笑った。


「そんな本読むの?」

「……? ジュニパー様に勧められたので」

「あの公爵令嬢? 馬鹿にされてるんじゃない?」

「あなたは? 私達のことなんて、知らないのではないですか?」

「僕はユエ。教会の司教の後継者さ」


 ユエとは、どこかで名前を見た気がする。そういえば、成績表でジュニパーの横に名前があった。


「ジュニパー様の、次の順位で学年2位の人!」

「嫌な覚え方してるね」

「そういえば、同じクラスの人でしたね」

「それさえ覚えてなかったの?」


 ユエはため息をついた。


「本当にそれ読むの?」

「ジュニパー様が勧めてくれた本なので」

「彼女のこと信用して大丈夫なのかい? 彼女は、下々の者を小馬鹿にしてる節があるじゃないか」

「……信用してから考えます」


 ユエは笑った。


「気に入ったよ。わからないことがあれば、僕に聞いてもいいよ。2位とはいえ、彼女とは僅差な成績だから」

「……無理だと思います」

「何?」

「ドレスの裾の持ち方や、ドレスでのお辞儀の仕方わかりますか?」

「さすがに、その女性向け学科はわからないね。それ以外なら……」

「生憎、これ以外は問題なさそうなので」


 『魔法学』『実技』『魔法薬学』の満点のテスト用紙を見せると、ユエは黙った。


(マナー・教養が0点だったから、全体の成績が下なんだよね……)

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