第4話
運動場につくと、丁度ザインは休憩中だった。
私が来たことに気づくと、気まずいのか慌てて剣の練習に戻ろうとする。
「ザイン様!」
声を掛けると、ザインは動きを止め勢いよく振り返った。
「……俺の名前、覚えてたのか?」
「ミルラから聞きました。ザイン様に、お礼を言い忘れていたので」
「礼?」
「私がジュニパー様に叩かれると勘違いして、庇ってくれましたよね。ありがとうございました」
「いや……。俺の勘違いだったし……」
「ですが、ザイン様の優しさからの行動です」
ザインは照れたのか、視線を逸らす。
「ザイン様の日々の頑張りで手に入れた、逞しく格好いい腕と、女子……特に令嬢のか弱い腕では筋力の差があり過ぎただけです。力を入れたのは、無意識でしたよね?」
「ああ。……悪かったと思ってる」
「きっとザイン様は、女性のピンチを救える素敵なヒーローになりますね」
「そうか……」
ザインの顔は赤かった。
「ホノカ嬢は、本当に優しいな」
「ザイン様も、私の名前、ご存知だったんですね?」
「お前は、入学した時から目立っていたからな。気づくと、何故か目で追ってしまうんだ……」
「私にとっての、ジュニパー様みたいな感じかな?」
ザインは少しの間黙った。
「俺は、ジュニパー嬢をあまり好けない」
「……どうして」
「高飛車な態度や物言い……。それに、お前をいつ傷付けるかわかったもんじゃない」
心の中がモヤモヤし、ザインに背を向ける。
「……私、ザイン様とはわかり合えそうにないですね」
「えっ?」
「お時間をいただきありがとうございました。では……」
ザインは何か言いたそうにしていた。
けれど、私は振り返らず、足早に運動場から去った。




