表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/21

最終話

 気まずさは残ったものの、パーティーは順調に行われた。


「ホノカ!」

 

 ずっと姿が見えないミルラを捜していると、ジュニパーが駆け寄ってきた。もう吹っ切れたように、表情が明るい。


「ホノカ、私のために動いて下さったと聞きました。心より感謝申し上げます」


 うやうやしくジュニパーは頭を下げる。


「そんな、おやめ下さい。私はジュニパー様が好きなだけです。好きな人には、幸せになって欲しいと思うものです。それに、ミルラがいなければ、ボーン殿下に渇をいれることはできませんでしたし、ミルラがいなければユエ様の音魔法の案も出ませんでした。彼がいなければ私は無力でした……」


 ジュニパーは少し考える素振りをした。


「……私、勘違いしてたのかも。主人公が、やたらと『ジュニパー』だけを気に掛けていたから、百合ルートだと思ってた。でも、このルートのエンディング直前で、私は車に轢かれて転生したから、このパーティーイベントを知らないんだった。で、ジュニパーと仲良くなることで新たに攻略対象ができるとするなら……」


 ジュニパーが早口で何かブツブツ言っている。何を言っているのか、さっぱりわからない。


「ジュニパー様?」


 困惑しながら声をかけると、ジュニパーの目がカッと開かれた。


「アイテムが足りてないわ!」

「へっ? えっ?」

「ホノカ。ひょっとして、ミルラを捜してるのかしら?」

「あっ、はい!」

「たぶん、教室にいると思うわ」

「ありがとうございます!」

「ただし! 教室に向かう前に、中庭を通りなさい。そして、青い花をよく見ていきなさい。そこで何か見つけたら、そのまま寄り道せずに教室に行くこと。いい?」


 ジュニパーは早口で捲し立てた。


「……? わかりました」


 とりあえず、頷いておいた。

 ジュニパーは、何か未来がわかるのか。そんなことを聞ける雰囲気ではなかった。



 中庭の青い花を眺めた。ふと、その花の側にカフスボタンが落ちてることに気づいた。


「えっ!? これって、ベルリラ公爵の紋章じゃ? ジュニパー様の?」


 会場に戻ろうとして、ジュニパーの言葉を思い出す。


『何か見つけたら、そのまま寄り道せずに教室に行くこと』


 月明かりに照らされた教室で、ミルラは何か探してるようだった。


「あっ、ホノカ! どこかでカフスボタン落ちてなかった?」


 驚いて、中庭で拾ったカフスボタンを黙って渡した。


「これだ! 良かった……。助かったよ、ありがとう」

「ミルラの?」

「そうだよ」

「だって、ベルリラ公爵の紋章……」


 ミルラはハッとした顔をしたが、すぐ微笑んだ。


「まさか、うちの紋章を覚えてるなんて……」

「だって、ジュニパー様の家の紋章だから……。えっ……、うちの?」

「改めまして、僕はベルリラ公爵家の長男・ミルラ。ジュニパーの双子の弟なんだ。この学院には、身分を偽って入学してた」

「そう……だったのですね」

「今まで通りに話して」

「ですが……」

「ジュニパーのために、いつも一生懸命な君に惹かれてた。これからも、いやこれからはもっと、君とは親しい関係になりたい……」


 普段、くしゃりと笑う彼は幼く見えていた。しかし、今目の前にいる真剣な表情の彼に、ドキドキしている。気づけば私は、ジュニパー様と同じくらい、ミルラのことを考えるようになっていた。

 それに、この表情はジュニパーと似ている気がする。


「私も……、あなたのこともっと知りたい」


 ミルラはいつもみたいに笑う。私もつられて微笑んだ。

 そして、視線が重なり、ミルラの顔が近づいてくる。ゆっくり目を閉じた。




 学年末のテストも終わり、年度末休みになった。

 ジュニパーとミルラの実家、ベルリラ公爵家に招待され、中庭でジュニパーとミルラとティータイムを楽しんでいた。


「公爵家の礼儀作法は、ジュニパーが教えてくれるって。だから、今度学校が休みの時、うちに通っておいで」


 ミルラはそう話してきた。ジュニパーは頷いている。


「ジュニパー様、お忙しくないのですか!?」

「ええ、とっても忙しいわ。妃教育もあるし」


 ジュニパーが澄ましてそう言うが、ミルラは笑う。


「ボーンの婚約者になりたくて、子どもの頃から、巻きで王妃教育終わらせたから、余裕があるはずだろ」

「ホノカばかりに時間取れないわよ」

「私、頑張りますね!」


 抱きつきたい衝動を抑え、力強く言うと、ジュニパーはそっぽを向いた。


「で、ホノカへの教育終わったら、ジュニパーは王宮に入るって……」

「やっぱり、私頑張らない」

「えっ……」

「はっ!?」


 ジュニパーは驚いて思わず立ち上がっていた。


「ジュニパー様と離れたくない!」

「私は早く離れたいわよ!」

「やだー」

「我が儘言わない!」


「相変わらず、ジュニパーへの想いは妬けるくらい重いね……」


 ミルラは困ったように笑っていた。


 終わり


ここまで読んで下さり、ありがとうございました。


悪役令嬢ものが好きで、「自分でも書いてみたい!」と思い、書き始めた作品でした。


初投稿で不慣れなことばかりでしたが、ChatGPTに投稿方法など相談しつつ、何とか完結まで辿り着くことができました。


少しでも楽しんでいただけたなら嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ