第20話
「我が婚約者・ベルリラ公爵令嬢ジュニパーへの侮辱罪だ!」
ボーンがそう声を張り上げ、周りが驚きと困惑の声に包まれた。そして、ジュニパーはポカーンと、今まで見たことのない顔をしていた。
「このパーティーは、この私、ボーン・アルヴェインが主催しているのはご存知だろう。今回、この会場の至るところに、ユエの魔法石を設置させてもらった。彼女への噂話や誹謗中傷を行う者を裁くためだ」
ボーンは、ユエに大量に作ってもらった魔法石の一つを出した。
『見て、本当に1人で来てるわ。恥ずかしくないのかしら?』
『いよいよ婚約破棄されるんじゃない? 良い気味』
『殿下の側から離れなくて、痛々しいわよね』
『公爵令嬢ってだけで、取り柄ないでしょ』
ハッキリと声の持ち主を聞き分けられる音。
ジュニパーは目を見開く。
「でっ、殿下!? 私のために?」
「ホノカに渇をいれられてな。昨晩、ホノカはもちろん、ミルラとユエ、ザインにも夜通し手伝ってもらって、会場中に設置した」
「いくら、殿下とはいえ、そんな一令嬢が、ただ陰口を叩かれた程度では、裁けませんわ」
「ただの令嬢ではない! そなたは、私の婚約者。王妃になる存在なんだぞ! そなたを悪く言う者を許せるはずがなかろう!」
ボーンはハッキリと言い切った。会場は静まり返った。気まずそうにしている人達がいる。
ジュニパーの瞳は潤んだ。
「皆の者! 私の王妃はジュニパーだけだ! 彼女に害をなすものがいたら、相応の責任を取らせる!覚えておけ!」
そういうボーンの周りに、炎が渦巻いた。彼の怒りを表している。
それを見て、会場からこっそり、何人かの令嬢達が去っていこうとしていた。私は彼女達に掌を向けた。すると、令嬢達の周りが一瞬眩しい光に包まれる。
「きゃっ!?」
「眩しい!」
「何!?」
彼女達は自ら大声を出し、周囲の注目を浴び、会場から逃げ出そうとしているのがバレていた。顔を真っ赤にして、大慌てで出ていった。
ボーンはジュニパーの手を取った。私が拍手をすると、周囲もつられ、大きな拍手が巻き起こった。
「法を曲げたり、裁くのは無理だろうけど、ジュニパー嬢への嫌がらせもこれでなくなるだろう」
「それにしても、あのなよなよした王子が、思いきった行動に出たな」
ユエとザインがそう呟いた。私も頷く。
「ボーン殿下の、ジュニパー様への想いをハッキリ知らしめられたので、良かったです。どうぞ、ジュニパー様を幸せにして下さい……」




