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第17話

 ミルラと中庭から学院内に戻ると、空き教室から、女子生徒達の会話が聞こえた。


「知ってます? 最近、ジュニパー様、ボーン殿下に相手にされてないんですって」

「聞いたことあるわ。婚約破棄も間近ではないかしら」

「まあ! ひょっとして、例の光魔法の子のせいかしら?」

「ボーン殿下と親密ですわよね」

「ジュニパー様から、略奪したのですか?」

「いえ、何でもボーン殿下の方から彼女と親密になろうとしてるとか」

「まあ、ジュニパー様のあの性格では、癒しを求めて他の女性にいってしまいますわね」


(根も葉もない噂をっ……!)


 教室の中に乗り込もうとする私の肩を、ミルラが掴んだ。そして、悲しげな顔で首を振った。


「今はタイミングじゃない。ここでホノカが乱入すると、余計ややこしいことになる」

「……詳しく、聞かせて」


 私はミルラと、誰もいない教室に入った。


「さっきの話、噂になってるの?」

「そうらしい……」

「最近、ジュニパー様が元気なかったのって、この噂のせいなの?」

「たぶん、そうだろうね」

「どうして……」

「たぶん嫉妬だよ。ジュニパーは、容姿も頭脳も完璧過ぎるが、敵を作る性格だからね……」

「こんな噂流したままじゃ、ジュニパー様が傷ついちゃう……」

「下手な火消しすると、ジュニパーのプライドに傷をつけるからな」


 そう言うミルラの顔を、じっと見つめた。


「……本当にジュニパー様のこと、誰よりも詳しいんだね?」

「昔から一緒だからな……。昔から、ボーンのことが好きで、王妃教育とか熱心に受けてたくらいだし」


 ミルラが寂しそうに苦笑した。


「……ジュニパー様のこと、好きなの?」

「いや、ない。……好き嫌いとか、そういう話じゃないよ」

「そうなんだ? ボーン殿下とは?」

「ボーンは、僕にとって友達でありライバルかな」

「……私は?」

「……っ」


 ミルラは驚いた顔をした。


「どうしたんだ?」

「私も周りの人に、よく思われていなくて……。ジュニパー様が庇ってくれたんだけど」

「この学院は、貴族令嬢が多い。そういうことは、日常茶飯事だ。だけど光魔法の君には、そんな陰湿な環境を光で照らしてほしいと思う」


 ミルラが、じっと私のことを見つめた。普段、可愛いと思うミルラだが、今は格好よく見えた。


「うん、がんばる!」


 ミルラは頷き、どこか眩しそうに目を細めた。

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