第14話
「このままでは百合ルートになってしまう……。でも、生き残るには百合しかない……」
最近、ジュニパーは教室の隅でボソボソそう言っている。意味はわからないけど、とても悩んでるようだ。
「皆さん! 来月は舞踏会があります。貴族や庶民関係なく開かれた舞踏会です。自由参加ですが、令息令嬢の皆さんは庶民との交流を、庶民の皆さんは社交界の体験をできるまたとない機会です。是非、参加してみましょう」
先生の話を聞き、真っ先にジュニパーのところへ行った。
「ジュニパー様!」
「ヒッ……」
「ジュニパー様は、舞踏会参加されるんですか?」
「すっ、するわよ。それが何か?」
「それなら、私も参加することにします」
「あなた、ドレスやエスコートはどうするのよ?」
「ドレスは学院のレンタルあるって言ってましたが……」
「ドレス、私が用意しようか?」
そう言ったのは、いつの間にか近くにきていたボーンだった。
「いっ、いえ! お茶会の時も用意していただいたのに……」
「気にするな。私が、ホノカのことを気に掛けていても、他の者は気にしないだろう」
「ボーン殿下」
ジュニパーが刺々しく言う。
「仮にあなたがドレスを用意したとして、王子が用意したドレスを着た女性を、誰にエスコートさせますか。まさか、婚約者を置いて、ご自身がされるとか言ったり……」
「そっ、そんなことあるわけないだろう。ジュニパー、一緒に行こう」
そう言って、二人は教室を出ていってしまった。
「それなら、俺がエスコートしようか?」
「僕も、力になれますよ」
そう言ってきたのは、ザインとユエだった。
「ザイン様、踊れるのですか?」
「得意ではないな」
「ユエ様は、足を踏んだら根に持たれそうで怖いです」
「いや、そんなこと……あるかもしれないけど!」
「それに、先生が庶民のためにと、レンタルドレスと、社交界マナーは無視で良いと言ってくれました」
私はそう言い切って、その場を離れた。
放課後、教室で一人のミルラを見つけた。
「ミルラは、舞踏会出るの?」
「僕はパスかな」
「そっか……。ミルラがいれば、心強いのに」
「ボーンは無理だとしても、ザインとかユエでもいいじゃないか」
「二人とも優しいのはわかってるんだけど、ミルラといる方が楽しいかな」
「光栄です。だけど、目立つわけにいかないからな……」
「舞踏会で目立つの?」
「君といると、目立つんだよ。光属性のホノカさん」
ミルラの言葉は、どこか私を遠ざけるように聞こえた。




