第11話
「さすがに殿下の花を、プレゼントに使うのはまずいよね……」
何かアイデアがないか、学院中ウロウロしていると、運動場で剣術の練習中のザインを見かけた。
ザインはこちらに気付き、手を振ったが、私は彼の剣を見て思い付いた。
「ザイン様! ザイン様は、刃物の扱い得意ですか?」
「大剣、片手剣、短剣、ナイフ、槍、包丁、小道具刀は、結構上手く扱えると思う」
「騎士は、そんなに特技必要なんですか?」
「ありとあらゆる場面を想定して、修行している。得意不得意はあるがな」
「……そんなに真剣なんですね」
珍しくザインは微笑む。
「父の跡を継ぎたいからな。それより、何か用なんだろう?」
「はい!」
ザインを真っ直ぐ見つめた。
「付き合って下さい! 彫る練習に!」
ジュニパーの誕生日当日になった。何とか間に合った。
きっと、公爵家やボーン殿下は高価なものを用意しているだろう。みすぼらしく見えるかもしれない。
緊張しつつも、廊下で前を歩いていたジュニパーを呼び止めた。
「じゅっ、ジュニパー様っ!!」
ジュニパーはビクリとし、おそるおそる振り返る。
「また、あなた?」
「あっ、あの! お誕生日、おめでとうございます」
ジュニパーは顔をひきつらせる。
「ちょっ、何であなたが私の誕生日知ってるのよ!?」
「あの、これっ!」
ジュニパーの好きな青い花をモチーフにした、ガラス細工の髪留めを渡した。
ジュニパーは、しばらく髪留めを見つめていた。
「綺麗……」
「ジュニパー様に似合うかと思って」
「でも、この花モチーフにしてるものなんて、なかなか見つからなかったんじゃ……」
「作りました」
「きゃー!」
怪我だらけの手を見せて、ジュニパーは飛び跳ねる。
「何で、回復魔法使わなかったの!?」
「あれ、結構疲れるんですよ。魔法で疲れてたら、誕生日まで完成できないと思って……」
自分は魔法使わなかったが、研磨などでザインの土魔法ありきだったのは、黙っておこう。
「……まったく」
ジュニパーはそう言って、制服のポケットから、傷薬を取り出し、手に塗ってくれた。
「ジュニパー様」
「以前、ボーン殿下からいただいた、王宮薬師の調合した薬だから、結構効くはずよ」
「あっ、ありがとうございます」
「こっちこそ、ありがと……」
ジュニパーは顔を赤らめながら、そうボソリと言って去っていった。




