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消失済世界探記  作者: とーふ
アルスログ
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8/16

エピローグ:探記

外に出る。

風が吹く。

コケが、静かに揺れる。

アルスは、振り返った。

あの場所は、確かに存在している。


でも——


「……もう、違うんだな」

人がいたはずの世界。

でもそこには、“人”はいなかった。

ただ、安全に保たれた何かがあるだけだった。


「……消失済世界」

小さく呟く。

消えたんじゃない。


「……もう、終わってたんだ」

静かに、そう理解する。

空を見上げる。

星が広がっている。

あの日と同じ夜空。


「……あれは、何座だっけな」

小さく笑う。


『あれはねぇ、大隈座だよ!』


声が、よみがえる。


「……アンタレス」

ぽつりと呟く。


「蠍座の心臓、だったよな」

返事は、ない。

それでも。


アルスは、目をそらさなかった。

長い旅の果てに見つけたもの。

それは、希望なんかじゃなかった。


「……ちゃんと、見てきたよ」

誰に向けたのかも分からない言葉。

ただ一つ、確かなことがあった。


この世界は、もう——


取り戻せない。

それでも。

これは。


確かに、自分が見た“記録”だ。


消失済世界探記。


Fin.

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