表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/19

第八話 炎神猫アカネ

本日4話目です。こうやって人間は自ら苦しんでいくんだなぁ(遠い目)

黒煙が空へ立ち上っていた。


フェリニア獣王国の王都を目前にしたレオンたちは、急いで街へ向かっていた。


「急ぎましょう!」


ミアが焦った声を上げる。


「王都で神猫が暴れているなんて聞いたことがありません!」


ライも珍しく真面目な表情だった。


「嫌な予感がするな」


「第四席か?」


クロが首を振る。


「いや。第四席ならこんな騒ぎにはならん。もっと面倒な奴だ」


その言葉にフェリスが小さくため息を吐いた。


レオンは嫌な予感しかしなかった。


やがて城門へ到着する。しかし門は破壊されていた。周囲には兵士たちが倒れている。幸い命はあるようだが、誰も近づけないらしい。


「何があったんですか!?」


ミアが兵士へ駆け寄る。


獣人の兵士は青ざめた顔で答えた。


「赤い猫だ……」


「突然現れて……」


「誰も止められない……」


直後――


ドォォォォォォン!!


王都の中心部から巨大な爆発音が響いた。赤い炎が空高く噴き上がる。


レオンは思わず目を見開いた。


「火事!?」


「違う」


クロが即答する。


「あれは魔力だ。神猫の炎だ」


再び轟音が響く。空気が震えた。


フェリスの顔が険しくなる。


「急ぎます」


一行は王都へ駆け出した。


街中は大混乱だった。住民たちは避難し、兵士たちは遠巻きに様子を見ている。そして広場へ到着した瞬間――


レオンは言葉を失った。


巨大な炎の竜巻。その中心に、一匹の猫がいた。


燃えるような赤毛。


紅玉のような瞳。


小柄な体。


しかし放たれる魔力はフェリスやライにも劣らない。いや、怒りによって増幅された魔力は、それ以上にすら感じた。


「アカネ……」


フェリスが呟く。


赤猫が振り返った。


その瞬間、周囲の炎がさらに激しく燃え上がる。


「フェリス!」


少女のような声。しかし怒気に満ちていた。


「やっと来たか!」


「何をしているんです!」


フェリスが叫ぶ。


「街が壊れます!」


「知るか!」


アカネは尻尾を振る。


それだけで火柱が発生した。兵士たちが悲鳴を上げる。


ライが頭を抱えた。


「あー……」


「いつも通りだな」


「知ってるの?」


レオンが聞く。


ライは苦笑した。


「怒りっぽいんだよ」


「七神猫第五席」


「炎神猫アカネ」


「昔からな」


アカネは広場の中央へ降り立つ。紅い瞳がギラリと光った。


「教会の連中がいたから焼いた! 全部焼いた!」


フェリスが頭を押さえる。


クロも呆れていた。


「馬鹿かお前は」


「馬鹿じゃない!」


「教会は敵だろ!」


どうやら本人なりの正義らしい。だが街の被害が大きすぎる。住民たちは完全に怯えていた。兵士たちも武器を構えている。このままでは戦闘になる。そして神猫相手では王都が消し飛ぶ。


フェリスが前へ出る。


「落ち着いてください」


「嫌だ!」


「話を聞いて――」


「聞かない!」


会話にならなかった。


ライが肩をすくめる。


「いつもこうだ」


「じゃあどうするの?」


レオンが聞く。


するとクロがレオンを見る。


「王」


「え?」


「お前の仕事だ」


「は?」


突然振られた。


レオンは目を白黒させる。


「無理だよ! 相手は神猫だよ!?」


「だからだ」


クロは当然のように言った。


「猫使いだろ」


レオンは言葉を失う。確かに猫使いだ。だが相手は普通の猫ではない。神話の存在である。


しかしフェリスも頷いた。


「レオン様ならできます」


ライも笑う。


「やってみろ」


ミアまで期待の目を向けていた。


逃げ道がない。


レオンは大きく息を吐いた。そしてアカネへ近づく。


周囲から悲鳴が上がった。だがレオンは止まらない。


アカネが睨む。


「何だ?」


「お前も説教か?」


レオンは少し考えた。そして正直に言った。


「違う」


「ただ聞きたい」


アカネが眉をひそめる。


「何をだ」


「どうしてそんなに怒ってるの?」


その瞬間だった。


アカネの表情が止まる。炎も少しだけ弱まった。


「……は?」


予想外だったのだろう。


レオンは続ける。


「教会が嫌いなのは分かった。でも本当に怒ってる理由は別じゃない?」


沈黙が落ちる。


風だけが吹いた。


やがてアカネは小さく呟く。


「……遅かった」


「え?」


「ずっと待ってたんだ」


その声は先ほどまでと全く違っていた。


怒りではない。


寂しさだった。


「千五百年だぞ」


アカネが俯く。


「皆いなくなった」


「フェリスも、クロも、ライも」


「王も」


紅い瞳が揺れる。


「また一人になったと思った」


レオンは何も言えなかった。その感情が伝わってきたからだ。長い孤独。誰もいない時間。神猫だからこその苦しみ。


そしてアカネの周囲の炎が消えていく。


広場が静まり返った。


フェリスが微笑む。


ライも笑った。


クロだけは少し視線を逸らす。


照れ臭いのかもしれない。


アカネはレオンを見る。


「お前、変な奴だな」


「よく言われる」


レオンが苦笑すると、アカネは初めて笑った。


「気に入った」


そして小さな体で胸を張る。


「七神猫第五席、炎神猫アカネ! 今日からお前についていく!」


その瞬間、フェリスが満足そうに頷いた。


こうして四柱目の神猫が仲間になった。


だがその直後、王都の遥か上空。誰にも気付かれない場所で、一羽の黒い鳥が飛び去る。その足には小さな手紙が括り付けられていた。


行き先は聖王教会総本山。


そして手紙にはこう書かれていた。


『猫使い確認。神猫四柱が集結』


世界最大の宗教組織が、ついに本格的に動き出そうとしていた。


閲覧ありがとうございました。

筆が乗っているうちにどんどん投稿です。そう、まさに猫のような自由さ。

いやぁあの気まぐれな感じがいいですよね。普段つんけんしてる猫様がいたとしましょう。

機嫌がいい時にゆっくり近寄り”すりっ”とされてみてください。

はい。いちころです。当たり前ですね。猫様ですもの。(いつもの世迷言です)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ