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神獣使いではなく猫使いです  作者: 猫屋敷 春人
第五章 白銀の大地

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第七十八話 受け継がれし使命

本日1話目の投稿です。

石碑から溢れた光は祈りの間を静かに包み込み、冷え切っていた空気を優しく温めていく。白銀の結晶が雪のように舞い降りる中、二体の守護獣は並んで石碑を見上げていた。その姿はまるで、千五百年もの時を越えて再会を果たした兄弟のようだった。


やがて石碑の前に、小さな光の粒が集まり始める。


無数の光は一つに重なり、人の姿にも獣の姿にも見える淡い幻影を形作った。柔らかな光に包まれたその存在からは、不思議と懐かしさを覚える気配が漂っている。


「この気配は……」


巫女が静かに膝をつく。


長老も続くように頭を垂れた。


「白猫族の始祖様……」


レオンたちも自然と息を呑む。


幻影はゆっくりと二体の守護獣へ視線を向け、穏やかに微笑んだ。その笑みを見た瞬間、もう一体の守護獣は目を細め、小さく喉を鳴らす。白銀の番人も静かに尻尾を揺らし、まるで長年の務めを終えたように肩の力を抜いた。


光の幻影は静かにレオンへ向き直る。


そして何も語らないまま、その手を石碑へかざした。


次の瞬間、石碑に刻まれた古代文字が一斉に輝きを増す。


祈りの間いっぱいに澄んだ鐘の音が響き渡り、誰の耳にも優しく届いた。それは封印が崩れる音ではない。長い年月を経て、ようやく本来の姿を取り戻した証のようだった。


すると石碑の中央へ、一枚の紋章がゆっくりと浮かび上がる。


七つの光が円を描き、その中心には見覚えのない八つ目の紋様が静かに輝いていた。


「これは……」


レオンが思わず息を呑む。


巫女は驚きに目を見開いたまま、その紋章を見つめ続ける。


「そんな……伝承にも残されていない印です」


誰も答えを知らなかった。


ただ一人、フェリスだけが静かにその紋章を見つめ、小さく瞳を揺らす。


その一瞬の変化に気付いた者はいなかった。


閲覧ありがとうございました。誤字脱字などありましたらご報告の程お願いします。

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