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神獣使いではなく猫使いです  作者: 猫屋敷 春人
第五章 白銀の大地

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第七十七話 白銀の守護者

本日3話目の投稿です。

第七十七話 白銀の再会


淡い白銀の光が、祈りの間を静かに満たしていく。


黒い影を覆っていた瘴気は雪解けのように溶け始め、禍々しかった姿は少しずつ本来の姿を取り戻していった。荒々しく逆立っていた毛並みは透き通るような白銀へと変わり、その身を包んでいた憎悪も、長い眠りから覚めるように静かに消えていく。


「助かったんだ……」


ミアは胸の前で手を組み、小さく微笑んだ。


生命の共鳴から伝わってくる苦しみは、もう感じられない。代わりに、どこか懐かしく穏やかな温もりだけが心へ流れ込んできていた。


白銀の番人はゆっくりと歩み寄る。


救われた守護獣も静かに顔を上げ、その姿を見つめ返した。


互いの距離があと一歩まで近づく。


やがて二体はそっと額を重ね、小さく喉を鳴らし合った。


言葉はない。


それでも、その姿だけで十分だった。


長い年月を越え、ようやく再会できた喜びが、静かな仕草の一つひとつから伝わってくる。


「よかった……本当に……」


巫女の瞳から、一筋の涙が零れ落ちる。


長老も静かに目を閉じ、二体へ深く頭を下げた。


「千五百年もの間……よくぞ、この世界を守り続けてくださいました」


その言葉を聞いた瞬間だった。


ライが不意に胸を押さえ、小さく息を呑む。


「……なんだ、これ」


「ライ?」


アカネが心配そうに顔を覗き込む。


ライは戸惑ったように首を振る。


「分かんねぇ。でも……あいつらを見てると、胸の奥が熱くなる」


その横で、クロも二体の守護獣をじっと見つめていた。


普段は滅多に感情を表へ出さないその瞳が、ほんのわずかに揺れる。


「……懐かしい」


小さく漏れた一言に、レオンが振り返る。


「クロ?」


クロは我に返ったように静かに首を振る。


「……違う」


それ以上は何も言わないが、理由の分からない感情だけが残っていた。


アカネもまた、二体を見つめたまま目を丸くしている。


「変だなぁ……」


目元をそっと擦り、小さく笑う。


「なんでだろ。嬉しいはずなのに、泣きそう」


レオンは仲間たちの様子を見つめながら、初対面のはずの守護獣に対して皆がどこか懐かしさを覚えていることに気づく。


その時、フェリスが静かに二体へ歩み寄り、小さく頭を下げる。救われた守護獣も穏やかに目を細め、互いに無言の挨拶を交わした。


その光景にレオンは違和感を覚えるが、答えはまだ見えない。


やがて守護獣はレオンの前に来て頭を垂れる。


「礼なんていいよ」


レオンは優しく微笑み、その頭を撫でる。


「君を助けたかった。それだけだから」


守護獣は安心したように目を閉じ、小さく喉を鳴らした。


その音が祈りの間に響くと同時に、奥の石碑が淡く光り始めた。まるで長い使命を終えた守護者たちを迎えるかのように。


閲覧ありがとうございました。誤字脱字などありましたらご報告の程お願いします。

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