第五話 獣王国からの使者
投稿頻度をどうしようか考えてます。とりあえずは無難に1日1話以上を目標にしてます。(ストックもつかなぁ…)
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
ミアの叫び声が夜の森に響き渡る。
レオンは思わず耳を押さえた。
「ちょ、ちょっと落ち着いて!」
「無理です!」
ミアは即答した。
「落ち着けるわけないじゃないですか!」
猫耳をぴんと立てながらレオンを指差す。
「神猫様が二柱もいて!」
「しかも王様って!」
「どういうことなんですか!?」
それはレオンも聞きたかった。むしろ自分が一番知りたい。
「僕も昨日までは普通の村人だったんだよ……」
「余計に意味が分かりません!」
ミアは頭を抱えた。
フェリスはそんな二人を見て楽しそうに喉を鳴らし、クロは興味なさそうに毛づくろいをしている。
しばらくして落ち着いたミアは焚き火の前に座った。レオンたちは簡単な野営をしている。フェリスの結界のおかげで魔物の心配はない。
「それで」
レオンはミアへ尋ねた。
「どうしてあんな場所で魔物に囲まれていたの?」
ミアの表情が曇る。
「追われていたんです」
「追われていた?」
「はい」
ミアは静かに頷いた。
「私はフェリニア獣王国の王都から来ました」
レオンは驚く。王都出身ということは、ただの旅人ではない。
「私は神殿に仕える巫女見習いです」
「巫女?」
フェリスが反応した。
「なるほど。それで神猫の気配を感じ取れたのですね」
ミアは頷く。
「三日前、王都にある神猫神殿で異変が起きました」
「異変?」
「封印されていた神具が突然光り出したんです」
クロの耳がぴくりと動く。
「神具だと?」
「はい」
ミアは真剣な表情になった。
「そして神託が降りました」
焚き火が揺れる。
夜風が吹き抜ける中、ミアはゆっくりと言った。
「王が現れる」
その言葉にレオンは固まった。
嫌な予感しかしない。
「その神託を聞いた長老たちは、大慌てで私を旅に出しました」
「王を探せ、と?」
「はい」
ミアは頷いた。
「ですが途中で襲われました」
「誰に?」
ミアの顔色が変わる。
「教会騎士団です」
レオンはフェリスを見る。
やはり教会が関わっていた。
「彼らは神託の存在を知っていました」
「王を見つける前に私を始末するつもりだったんです」
クロが鼻を鳴らす。
「相変わらずだな」
「知っているの?」
レオンが聞くと、クロは不機嫌そうに答えた。
「千五百年前も同じだ」
「最後の猫使いが現れた時も、教会は真っ先に動いた」
空気が重くなる。
レオンは思わず尋ねた。
「最後の猫使いってどうなったの?」
フェリスとクロは黙り込んだ。
その沈黙だけで十分だった。
レオンの胸がざわつく。何か大きな秘密がある。だが今は聞くべきではない。そんな気がした。
翌朝。
鳥のさえずりで目を覚ますと、フェリスは朝日を眺めていた。
「おはようございます」
「おはよう」
フェリスは珍しく真面目な顔をしている。
「今日から本格的に移動します」
「どこへ?」
「フェリニア獣王国です」
ミアが元気よく手を上げた。
「案内します!」
昨日まで傷だらけだったとは思えないほど元気だ。
「王都に行けば、きっと色々なことが分かります」
「僕のことも?」
「はい!」
ミアは力強く頷いた。
その時だった。
クロが突然立ち上がる。
黄金の瞳が森の奥を睨んだ。
「……来たか」
空気が変わる。
フェリスも立ち上がった。
「何かいるの?」
レオンが尋ねる。
するとクロは面倒そうに答えた。
「人間だ」
「また教会?」
「いや」
クロの表情が険しくなる。
「もっと厄介だ」
次の瞬間、森の木々が大きく揺れた。
ドォォォン!!
巨大な何かが着地した音とともに地面が震える。鳥たちが一斉に飛び立った。
そして森の奥から現れたのは、全長五メートルを超える巨大な虎だった。
黄金の毛並み。
額には雷の紋章。
体中を青白い稲妻が走っている。
レオンは息を呑んだ。
魔物ではない。
圧倒的な存在感。
フェリスと同じ、神話の存在。
「まさか……」
ミアが震える声を漏らす。
クロはため息を吐いた。
「相変わらず騒がしい奴だな」
巨大な虎は口を開く。
雷鳴のような声が森中へ響き渡った。
「フェリス!」
「クロ!」
「ようやく見つけたぞ!」
そして黄金の瞳がレオンを捉える。
数秒の沈黙。
やがて虎は満面の笑みを浮かべた。
「おおっ!」
「こいつが新しい王か!」
レオンは頭を抱えた。
どうやらまた神猫らしい。
そして絶対に面倒なタイプだ。
その予感は、たぶん当たっている。
閲覧ありがとうございました。
そういえばなんですが当たり前のことながらうちにも猫様がいるんですよ。
仕事で心身ともに疲れて帰ると猫様がいる生活。当たり前のように享受しているわけですが、こんなに幸せで罰が当たったりしないでしょうか。(猫好きの世迷言です。聞き流してください)




