第四話 猫耳の少女ミア
本日3話目の投稿になります。
テンポ感を考えると文の行間をどうするか迷います。
あとこの調子で投稿して後でストックがなくなって痛い目に合いそうなんて考えてません。ほんとですよ?
「最初の仲間?」
レオンは思わず聞き返した。
フェリスが見つめる先には夜空しかない。しかし白猫の瞳は確信に満ちていた。
「間違いありません」
「神猫の魔力です」
「かなり弱っていますが、生きています」
レオンは空を見上げる。当然ながら何も見えない。だがフェリスほどの存在が言うのだから本当なのだろう。
「行こう」
レオンは頷いた。
「助けられるなら助けたい」
フェリスが一瞬だけ目を丸くする。
「どうしました?」
「いえ……」
フェリスは小さく笑った。
「やはり猫王の資質がありますね」
「だから王じゃないって」
「ふふ」
フェリスは楽しそうだった。
そんな様子にレオンも少しだけ肩の力が抜ける。昼間までは人生が終わったと思っていた。だが今は違う。不安はある。けれど不思議と前を向けていた。
二人は森の奥へ進んだ。
いや、一人と一匹と言うべきか。
月明かりだけが頼りの夜道。普通なら危険極まりない。しかし魔物は一匹も現れなかった。むしろ気配を感じると逃げていく。フェリスの存在を恐れているのだろう。
数時間ほど歩いた頃、フェリスが立ち止まった。
「近いです」
その直後、風に乗って何かが聞こえた。
金属音。
叫び声。
戦闘の音だ。
「誰か戦ってる!」
レオンは駆け出した。
木々を抜けた先、小さな開けた場所があった。
そこで一人の少女が魔物に囲まれていた。
「くっ……!」
少女は短剣を構えている。
年齢はレオンと同じくらい。銀色の髪。琥珀色の瞳。そして頭には猫耳が生えていた。
「猫耳!?」
「獣人です」
フェリスが答える。
少女を囲んでいるのは三体のウルフ型魔物だった。既に少女の服は破れ、肩から血が流れている。かなり危険な状況だ。
「助けよう!」
レオンは叫んだ。
しかし武器など持っていない。戦えない。それでも体が動いていた。
「おい!」
大声を出す。
魔物たちの視線がこちらへ向く。
少女も驚いたように振り返った。
「逃げて!」
だが遅かった。
一体の魔物がレオンへ飛びかかる。
鋭い牙が迫る。
死を覚悟したその瞬間――
黒い影が走った。
――ザンッ!
魔物が真っ二つになる。
レオンは目を見開いた。
「え?」
いつの間にか、そこには黒猫がいた。
漆黒の毛並み。
黄金色の瞳。
小柄な体。
しかし放たれる気配は尋常ではない。
残る二体の魔物が後ずさる。
恐怖しているのだ。
黒猫は面倒そうにため息を吐いた。
「相変わらず世話の焼ける王だな」
レオンは固まった。
また猫が喋った。
しかも今度は少し不機嫌そうな声だ。
「フェリス」
黒猫が言う。
「久しぶりだな」
「クロ」
フェリスが静かに頷く。
「無事で何よりです」
レオンの脳が追いつかない。
黒猫。
クロ。
まさか――
「神猫?」
「そうだ」
クロは当然のように答えた。
「七神猫第二席」
「黒影神猫クロだ」
その瞬間、残っていた二体の魔物が逃げ出した。
クロは追わない。興味もないらしい。
ただレオンをじっと見つめる。
「なるほど」
「こいつが新しい猫使いか」
値踏みするような視線。
少し居心地が悪い。
「よ、よろしく」
「ふん」
愛想の欠片もなかった。
その時だった。
ドサリと音がした。
猫耳の少女が倒れたのだ。
「大丈夫!?」
レオンは慌てて駆け寄る。
少女の意識は朦朧としている。傷も深い。かなり無理をしていたらしい。
「水……」
「待ってて!」
レオンは水筒を差し出した。
少女は少しだけ飲み、ほっと息を吐く。
「ありがとう……」
近くで見ると綺麗な顔立ちだった。猫耳がぴくぴく動いている。
「君の名前は?」
「ミア……」
少女は弱々しく答えた。
「ミア・フェルナ」
「私は……フェリニア獣王国の……」
そこまで言ったところで、ミアの視線がフェリスへ向く。
そして完全に固まった。
「え……?」
「し、白銀神猫白……?」
フェリスは軽く前足を上げた。
「お久しぶりです」
ミアの顔色が変わる。
次にクロを見る。
さらに驚愕した。
「黒影神猫まで……」
数秒後、少女は震える声で言った。
「嘘……」
「神話が本物だった……?」
レオンは苦笑した。
自分も数時間前に同じ反応をしたからだ。
だが次の瞬間。
ミアの視線がレオンへ向く。
そしてフェリスとクロが当然のようにレオンの隣へ座った。
ミアの顔から血の気が引く。
「まさか……」
「その人……」
フェリスが静かに答えた。
「はい」
クロも不機嫌そうに頷く。
「そうだ」
二柱の神猫が同時に頭を下げる。
ミアは息を呑んだ。
レオンは嫌な予感しかしない。
そして案の定。
フェリスが言った。
「我らが王です」
ミアの思考が停止した。
数秒後、少女は勢いよく立ち上がる。
傷の痛みも忘れたように。
そして――
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
夜の森に絶叫が響き渡った。
こうしてレオンは最初の仲間と出会った。
そして彼の運命は、さらに大きく動き始めるのだった。
閲覧ありがとうございました。
黒猫、良いですよね。見た目はとてもミステリアス。巷では不幸になるなんて言われてますが、何を言ってるんですか。猫様に会えたんですよ?もう幸せではないですか。何を罰当たりなことを言ってるんですか。
不敬罪にしてもいいのでは思う今日この頃。(猫好きの世迷言です。聞き流してください)




