第一七話 前代猫王
やばい…なれないことをしたら話が消えてしまった…。一応投稿しますが変な箇所などあればご指摘の程よろしくお願いします。
白い世界に静寂が広がる。
レオンはユウを見つめていた。先ほどから胸の鼓動が収まらない。災厄の真実、教会の罪。それだけでも十分衝撃だった。
だがユウは今、それ以上の話をしようとしている。
「僕がここにいる理由って……何なんですか?」
ユウは少しだけ笑った。
「その前に一つ聞く」
「はい」
「お前は猫王の力をどう思っている?」
突然の質問だった。
レオンは少し考える。猫王になってから色々なことがあった。神猫たちと出会い、災厄と戦い、黒竜を助けようとしている。
「みんなを助ける力……だと思います」
「らしい答えだな」
ユウは苦笑した。
「間違いじゃない」
そう言うと、ユウはゆっくり歩き出す。その瞬間、白い世界の景色が揺らぎ、一つの村が現れた。
小さな家々が並び、畑が広がる。どこにでもありそうな田舎の風景だった。
「ここは?」
「私が生まれた村だ」
レオンは目を見開く。
景色の中では一人の少年が猫たちに囲まれていた。黒猫、白猫、茶トラ。たくさんの猫たちが楽しそうに少年の後を付いて歩いている。
「もしかして……」
「昔の私だ」
ユウは少し恥ずかしそうに笑った。
レオンは思わず見比べる。確かに面影がある。だが今のユウよりずっと幼かった。
「僕と似てますね」
「よく言われる」
ユウは肩をすくめる。
景色の中の少年は楽しそうに笑っていた。猫たちも幸せそうだった。その光景は今のレオンとどこか重なって見える。
「私も普通の子供だった」
ユウは静かに言った。
「神獣も災厄も知らなかった。ただ猫が好きなだけの少年だった」
レオンは景色を見つめる。どこか懐かしい気持ちになった。
だが次の瞬間、景色が大きく揺らぐ。空が黒く染まり、村の外から悲鳴が聞こえてきた。
「え……?」
レオンは息を呑む。
黒い霧が村へ流れ込んでくる。人々が逃げ惑い、建物が崩れ、猫たちが怯えて鳴いていた。
「これって……」
「災厄だ」
ユウの声は静かだった。
だがその表情は硬い。
景色の中の少年は必死に猫たちを守ろうとしている。だが何もできない。小さな子供だった。守りたいものがあるのに守れない。その無力さが見ているだけで伝わってきた。
レオンは拳を握る。
「こんなの……」
「世界中で起きていた」
ユウが言う。
「私の村だけじゃない」
景色が変わる。燃える街、崩れる城、倒れていく神獣たち。どこを見ても絶望しか残っていなかった。
「その時だった」
ユウは前を向いたまま続ける。
「私は一匹の猫に出会った」
白い光が現れる。
そこには一匹の猫がいた。
普通の猫にしか見えない。
だが不思議な威圧感があった。
「その猫が……」
「初代猫神だ」
レオンは固まった。数秒遅れて言葉の意味が頭に届く。
「え?」
「私も最初は同じ反応だった」
ユウは少し笑う。
レオンは猫を見つめた。どう見ても猫だった。神々しいというより、かなり猫だった。
「もっとこう……神様っぽいと思ってました」
「私もだ」
ユウは即答した。
レオンは少しだけ安心する。
景色の中で、幼いユウは猫神と向かい合っていた。そして猫神は何かを語りかける。
言葉は聞こえない。
だが次の瞬間、眩い光が溢れた。
「それが猫王の力ですか?」
「そうだ」
ユウは頷く。
「そして私が最初の猫王になった」
レオンは黙って景色を見ていた。
猫王。
伝説の英雄。
ずっと遠い存在だと思っていた。
だが違う。
ユウも最初は自分と同じだった。猫が好きなだけの少年だったのだ。
「だから似てるんだな」
ユウは少し笑う。
「え?」
「お前と私だ」
レオンは驚いた。
ユウは真っ直ぐこちらを見ている。
「猫を見捨てられない」
「困っている奴を放っておけない」
「無茶だと分かっていても助けに行く」
レオンは何も言えなかった。
全部当たっていた。
「だから猫神はお前を選んだ」
静かな言葉だった。
だが胸の奥に深く響く。
レオンは視線を落とした。少しだけ嬉しかった。けれど同時に不安もあった。
「僕に……そんな資格があるんでしょうか」
初めて口にした本音だった。
猫王。
英雄。
世界を救う存在。
自分には大きすぎる。
ユウはしばらく黙っていた。そして小さく笑う。
「私も同じことを言った」
レオンは顔を上げた。
「え?」
「千五百年前にな」
ユウは肩をすくめる。
「だから安心しろ」
そう言って空を見上げた。その表情はどこか寂しそうだった。
「問題はそこじゃない」
レオンの胸がざわつく。
今までより重い空気だった。
ユウの目が遠くを見る。まるで千五百年前の記憶を見ているようだった。
「私が猫王になった後、世界はもっと酷いことになる」
レオンは息を呑む。
ユウは静かに続けた。
「そして黒竜もまた、その犠牲者だった」
白い世界の奥で黒い霧が大きく揺れた。まるで何かに反応するように。
「次は黒竜の話をしよう」
ユウの言葉と共に、周囲の景色が再び変わり始めた。
閲覧ありがとうございました。あとがきも何を書いてたかわからなくなってしまった…。以後気を付けます。




