第十話 黒鎧の英雄
本日2話目です。相変わらず書き方がちょっと変わってるかもしれません。
玉座の間に重い沈黙が落ちていた。
クロの言葉が響く。
「七英雄の一人だ」
誰もすぐには言葉を返せない。
レオンは思わず尋ねた。
「七英雄って……何?」
フェリスが静かに説明する。
「千五百年前、最後の猫王と共に戦った七人の英雄です」
「世界を救った者たち」
「そして歴史から消された者たちでもあります」
その言葉にレオンは息を呑んだ。
国王レオガルドも険しい表情を浮かべる。
「確認された場所は?」
「北方国境砦です!」
兵士が即答する。
「生存者の証言によれば敵は一人」
「ですが誰も近付けなかったとのことです」
ライが鼻を鳴らした。
「相変わらずだな」
「知ってるの?」
レオンが聞くと、ライは当然のように頷く。
「昔、一緒に戦ったからな」
その一言で場が再び静まり返った。
その時、フェリスの耳がぴくりと動く。
「……来ます」
次の瞬間――
バリンッ!!
轟音と共に窓ガラスが砕け散った。
吹き込む強風の中、黒い鎧と漆黒のマントを纏った男が姿を現す。
男は静かに周囲を見渡し、やがてレオンへ視線を向けた。
「見つけた」
低く響く声。
その瞬間、フェリス、クロ、ライ、アカネの四柱が一斉に前へ出る。
男は苦笑した。
「相変わらずだな」
「猫ども」
アカネが即座に反応する。
「誰が猫だ!」
「猫だろ」
「神猫だ!」
「似たようなものだ」
アカネが本気で怒り始めた。
フェリスが静かに呟く。
「アルト……」
男は頷いた。
「久しぶりだな」
「白猫」
その名を聞いた瞬間、クロが舌打ちする。
「本当に生きてやがったか」
「簡単には死なんさ」
アルトは肩をすくめた。
国王が立ち上がる。
「何者だ」
男は落ち着いた様子で答えた。
「アルト・ヴァルグレイ」
「千五百年前の七英雄の一人だ」
玉座の間が騒然となる。
レオンは恐る恐る尋ねた。
「本当に……英雄なんですか?」
アルトは少し笑う。
「さあな」
「世間では死人らしい」
やがてアルトはレオンを見た。
「お前が新しい猫使いか」
「う、うん」
「弱いな」
即答だった。
ライが大笑いし、クロも否定しない。フェリスだけが申し訳なさそうな顔をする。
「まあ当然か」
アルトは続けた。
「前の猫王も最初は弱かった」
レオンの心臓が跳ねる。
「前の猫王を知ってるの?」
「知っている」
アルトは迷わず答えた。
「親友だった」
その言葉に空気が変わる。
レオンは一歩前へ出た。
「教えてください」
「千五百年前に何があったんですか」
誰も口を開かない。
アルトは少し考え、静かに首を振る。
「長い話になる」
「それに今は時間がない」
「どういうこと?」
レオンが聞いた瞬間だった。
アルトの表情が変わる。
「来るぞ」
その一言で空気が張り詰めた。
「何が?」
レオンが問い返す。
アルトは窓の外を見つめていた。
遥か上空の黒い点が急速に大きくなっていく。
フェリスの顔色が変わり、クロも険しい表情になる。
ライの身体を雷が走り、アカネの尻尾には炎が灯った。
レオンは震える声で尋ねる。
「何なんだよ、あれ……」
アルトは静かに答えた。
「災厄だ」
空が割れる。
黒雲の中心から巨大な黒竜が姿を現した。
その咆哮だけで王都全体が震え、兵士たちは絶望の表情を浮かべる。
だがアルトだけは冷静だった。
「間に合わなかったか」
男はゆっくり剣を抜く。
「レオン」
アルトが言う。
「英雄になる覚悟はあるか?」
答える暇はなかった。
黒竜が王都へ向かって降下を始めたからだ。
千五百年ぶりの災厄が、ついに目を覚ました――。
閲覧ありがとうございました。
猫ってなんであんなに可愛いんですかね。
最近思うんです。生まれ変わって猫になったら、と。
それはそれで違うかもと思う私と是非ともなってみたい私が混在しています。(いつもの世迷言です。)




