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識き目  作者: 篁美都貴
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5/10

【5】

ようやく現場入りできました。

日曜のお昼過ぎ子供連れがまばらにいる公園。ちょっと浮いてるな俺たち。木陰から公園全体を眺めるが、特に変わったところのない普通の公園だ。

遊具や砂場、裏手は森になっているが都会の公園なのでそれほど広いわけでもない。

「入り口の近くのあのベンチだな。みくちゃんが見つかったのは」

「ふーん」

「誰もいないし、近くで見てみるか」

「うん」


識き目と約束した週末。木曜までまぁまぁ忙しく過ごしていた。金曜日の朝みくちゃんが見つかったとニュース速報が流れた時に、

「見つかったか…。ま、日数的には早い方だけど、今までの子たちとの違いはないかな」

ね?と隣に体育座りで姿を現した時にはびっくりしすぎて声が出なかった。ただ、俺の顔がものすごい形相だったのだろう、申し訳なさそうに謝ってきた識き目との間に『姿を現す時はモニターなどで一声掛ける』というルールが出来た。


当日は規制線が引かれていたが他の事件と同様なんの手掛かりも見つからなかった為、翌日には解かれたらしいと砂場で遊んでいた子のお父さんが教えてくれた。

いつもはもう少し賑わっているようだが、みくちゃんが見つかったばかりとあってあまり人がいないようだ。

背もたれのないベンチか。入口に近いから通りがよく見える。

「どうだ?」

「うーん…。何か変な感じがするような、しないような」

「どっちだよ」

ベンチの周りをキョロキョロしていた識き目がしゃがみこむと、草を描き分けて何かを拾い上げた。

「これ…」

「何だ…、…花?花がどうした?」

「これ、変かも」

「変?」

「ちょっと変な感じがする」

一輪の赤い花だった。つまんで俺の目の前で揺らしながら、

「この公園のものじゃない。ここで落としたか、置かれたものだと思う。多分、攫った奴に」

周りをざっと見渡してみる。確かに赤い花は咲いていないようだが、隈なく探したわけじゃないしな…。

「でも、公園だろ?子供が遊びで摘んで置いたりする場合もあるんじゃないか?変な感じってのはどういった感じなんだ?」

「う~ん。厄除けに近いものが込められてる感じ。攻撃的な感じじゃなくて守ってる感じがする」

「この花が厄除け?確かに変な感じだな。失踪事件の現場なのに厄除けか。無事に見つかるようにって意味で犯人が置いていったって事か?」

「変だよね」

「変だ。攫っといて無事に返そうって、優しいんだか…何だかわからん」

「あと…」

くんくんと花の匂いを嗅ぐとあの印象的な瞳が少し青みがかる。

「私と近い匂いがする」

「じゃあやっぱり、…妖怪?でいいか。人間の仕業じゃないのか」

「そうだと思う。目的はまだ分からないけど、危害を加えるような事はしていないと思う。この花の気配からは敵意っていうか禍々しさは全然感じない」

だとすると目的がより分からなくなってくるな。人目に付きそうな場所に返して、お守りみたいな花を置いていく。見つかったと速報が出たのはちょうど通勤時間帯だったから現場は大変だっただろうな。

「…智、あの子」

識き目の目線の先には公園の入口に立っている女の子がいた。こちらをじっと見ている。いや識き目の持っている花か?トコトコとこちらに向かって歩いてくる。二人で顔を見合せている内に目の前まで来てしまった。

恐る恐る挨拶すると、元気にこんにちわと返してくれた。

「そのお花、どこで見つけたの?」

「これ?」

識き目の方を見上げている少女に尋ねると、

「そう。私が見つかった時にポケットに入れてくれてたのに、落としちゃったと思ったから」

「へ?もしかして…」

ぺこりと礼儀正しく自己紹介してくれたのは小川みくちゃんだった。思わず識き目の方を見ると少女の方を静かに見つめていた。


ここまでご覧頂きありがとう御座います。

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